刮目して公開を待った『菊とギロチン』180分作品である。
時代は94年前、関東大震災の直前、それは僕の父親の生年である。アナーキスト 大杉栄を精神的支柱としていた政治結社ギロチン社の面々が、
大杉栄の獄死後、同じく貧しい境遇の集団である女相撲興行の一座と絡んで行くストーリー。
ギロチン社、反社会的な政治ゴロ集団に映るが。
さて、東出昌大や井浦新は出ているだけで、ファンは狂喜するだろうが、こんな長編に於いて見るべきは脇役の光る演技である。
『深夜食堂』のカウンターの常連、山中崇、宇野祥平なんか秀逸の演技だった。
ありとあらゆる作品に顔を出す、光石研こそ不在だったけれど。
とりわけ宇野祥平、従来のしみったれた貧乏オーラを出す役どころとは異なり、庶民を小バカにするブルジョワジーが憎いほどサマになっている。腕のある役者であることを再認識。
年間150本からの作品を観て、いちいちパンフレットなど買えないのだが、昨日は早速購入して余韻に浸る。そして宇野祥平、安田顕が主役を演じたところの『俳優 亀岡拓次』のモデルであることを知る。