天皇誕生日
天皇陛下は74歳の誕生日をお迎えになった。その記者会見の全文から生物・環境にもお詳しい学者天皇としてのご発言部分。(産経webより)
地球温暖化について最近アジア・太平洋水サミットへ参加されたミクロネシア大統領、ツバル首相からは海面上昇の問題、タジキスタン大統領からはパミール高原の氷河の後退の話がありました。今年の東京は暖冬で、初めて雪が観測されたのは3月16日ということでした。明治10年の統計開始以来最も遅い初雪とのことです。このように世界各地で温暖化の問題が起こっており、今後人々の生活にさまざまな影響を与えていくことが心配されます。現在世界各地で環境に対する関心が高まり、良好な環境の下で人々が暮らせるよう、国境を越え、またさまざまな分野の人々が協力し合う状況が作られつつあることは誠に心強いことです。世界の国々が協力して地球環境を少しでも良い方向に進めていくことを願っています。
吹上御苑の自然観察会は吹上御苑を中心とした皇居の生物相を2000年の時点で記録するという科学博物館の生物相調査の結果に基づいて行われました。この調査は動物では1996年から2000年まで、植物では1997年から2000年まで行われ、動物群の中には2006年まで続けられたものもありました。自然観察会ではこの調査をされた研究者が解説に当たられ、調査のときに見いだした知見を観察会の参加者に伝えられました。このことは参加者にとって意義深いものであったのではないかと思います。
那須御用邸付属地の調査は栃木県立博物館により1997年から2001年にかけて行われ、その翌年に「那須御用邸の動植物相」という報告書が出版されました。この度の環境省への移管はこの調査を踏まえた上で行われました。環境省へ移管された地域が国立公園の一部として訪れた人々の自然への理解や関心を深める上に意義あるものとなればうれしいことです。この地域には炭焼きによる伐採を免れたブナが林になっており、調査した研究者と見に行ったことが印象に残っています。
ブルーギルのことですが、ちょうど30年前の1977年、淡水魚を専門にしておられた国立科学博物館の中村守純博士と淡水魚保護協会の木村英造氏とお話したことが、淡水魚保護協会の雑誌「淡水魚」に載せられ、その中でブルーギルのことにも触れています。琵琶湖にブルーギルが入ったのは、淡水真珠をつくるイケチョウガイの養殖のために貝の幼生が寄生する寄主としてブルーギルを使いたいということで、水産庁淡水区水産研究所から滋賀県水産試験場に移されたものが琵琶湖に逃げ出したことに始まります。当時ブルーギルを滋賀県水産試験場に移すという話を聞いたときに、淡水真珠養殖業者の役に立てばという気持ちも働き、琵琶湖にブルーギルが入らないようにという程度のことしか言わなかったことを残念に思っています。
30年前には釣った魚は食べることが普通でした。したがってブラック・バスやブルーギルを釣る人が多ければ、繁殖は抑えられ、地域の淡水魚相に変化をもたらすことはないと考えていましたが、現在は釣り人の間にキャッチ・アンド・リリースの習慣が浸透し、釣った獲物を食べるのではなく、そのまま放すことになったため、ブラック・バスやブルーギルが著しく繁殖するようになってしまいました。キャッチ・アンド・リリースということがこのように一般化するとは、考えてもいませんでした。ブラック・バスもブルーギルもおいしく食べられる魚と思いますので、食材として利用することにより、繁殖を抑え、何万年もの間、日本で生活してきた魚が安全に育つことができる環境が整えられることを願っています。この目的に沿う釣り人のボランティア活動にも大きな期待が寄せられます。
吹上御苑の自然観察会は吹上御苑を中心とした皇居の生物相を2000年の時点で記録するという科学博物館の生物相調査の結果に基づいて行われました。この調査は動物では1996年から2000年まで、植物では1997年から2000年まで行われ、動物群の中には2006年まで続けられたものもありました。自然観察会ではこの調査をされた研究者が解説に当たられ、調査のときに見いだした知見を観察会の参加者に伝えられました。このことは参加者にとって意義深いものであったのではないかと思います。
那須御用邸付属地の調査は栃木県立博物館により1997年から2001年にかけて行われ、その翌年に「那須御用邸の動植物相」という報告書が出版されました。この度の環境省への移管はこの調査を踏まえた上で行われました。環境省へ移管された地域が国立公園の一部として訪れた人々の自然への理解や関心を深める上に意義あるものとなればうれしいことです。この地域には炭焼きによる伐採を免れたブナが林になっており、調査した研究者と見に行ったことが印象に残っています。
ブルーギルのことですが、ちょうど30年前の1977年、淡水魚を専門にしておられた国立科学博物館の中村守純博士と淡水魚保護協会の木村英造氏とお話したことが、淡水魚保護協会の雑誌「淡水魚」に載せられ、その中でブルーギルのことにも触れています。琵琶湖にブルーギルが入ったのは、淡水真珠をつくるイケチョウガイの養殖のために貝の幼生が寄生する寄主としてブルーギルを使いたいということで、水産庁淡水区水産研究所から滋賀県水産試験場に移されたものが琵琶湖に逃げ出したことに始まります。当時ブルーギルを滋賀県水産試験場に移すという話を聞いたときに、淡水真珠養殖業者の役に立てばという気持ちも働き、琵琶湖にブルーギルが入らないようにという程度のことしか言わなかったことを残念に思っています。
30年前には釣った魚は食べることが普通でした。したがってブラック・バスやブルーギルを釣る人が多ければ、繁殖は抑えられ、地域の淡水魚相に変化をもたらすことはないと考えていましたが、現在は釣り人の間にキャッチ・アンド・リリースの習慣が浸透し、釣った獲物を食べるのではなく、そのまま放すことになったため、ブラック・バスやブルーギルが著しく繁殖するようになってしまいました。キャッチ・アンド・リリースということがこのように一般化するとは、考えてもいませんでした。ブラック・バスもブルーギルもおいしく食べられる魚と思いますので、食材として利用することにより、繁殖を抑え、何万年もの間、日本で生活してきた魚が安全に育つことができる環境が整えられることを願っています。この目的に沿う釣り人のボランティア活動にも大きな期待が寄せられます。
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