落葉松亭日記

ニュース・評論スクラップ、凡夫の日々雑感、山歩記など

500円映画劇場

2008年01月05日 | 音楽、映画
 初詣の帰り自分へのお年玉に駅前のスーパーでDVDを買ってかえった。
 この4日間毎日一本ずつ堪能した。若い頃リバイバル上映されていたが、広告を眺めるだけだった。それが今こうしてDVDで安価に鑑賞できるのは有り難いことだ。








西部戦線異常なし 1930年米映画 ルイス・マイルストン監督 アカデミー監督賞、作品賞
 第一次世界大戦、とあるドイツの町で招集された若者たちが戦場に赴き死んでゆく物語。
 学校から駆り出されるときは軍靴の音を聞きながら先生から愛国心を鼓舞され志願を余儀なくされる。しかし戦場の悲惨さを思い知ることになる。広大な原野で塹壕を這いずりフランス軍と白兵戦になる迫力シーンは日露戦争や大東亜戦争もかくやと想像される。
 悲惨な戦争はいやだが、かといって平和念仏だけでは国防はない。そうなる前になんとか防がなければならない。若い方々は必見だと思う。

嵐が丘 1939年米映画 ウイリアム・ワイラー監督
 マール・オベロン、ローレンス・オリビエ、デビッド・ニーブン他
 ヨークシャーの嵐が丘と呼ばれる地方、アーンショー家に養子に迎えられたヒースクリフとその家の娘キャシーの生涯をかけた悲恋の物語。ヒースの花咲く丘や厳しい冬景色を背景に展開する舞台劇のような人間ドラマは素晴らしかった。

レベッカ 1940年米映画 アルフレッド・ヒチコック監督 アカデミー作品賞、撮影賞
 ジョーン・フォンテイン、ローレンス・オリビエ 他
 ヒロイン(ジョーン)は英国紳士マキシム(オリビエ)の後妻として広大なマンダレイ屋敷に迎えられる。屋敷には先妻レベッカに心酔する家政婦がいる。能面のような家政婦の表情の中に、いつしかヒロインは美しい先妻レベッカと自分を引き比べられていることを感じ、マキシムもまた自分をそのように見ているのではないかと錯覚にとらわれるようになる。やがてレベッカの死の真相がわかる事件が発生する・・・
 レベッカの幻影に自分を苛んでいくヒロインの表情をカメラは巧く捉える。フォンテインの演技もすばらしい。
 この監督の作品はいつも緻密な構成と心理描写でぐいぐいと引き込まれてしまうのだ。

市民ケーン 1941年米映画 オーソン・ウェルズ主演監督 アカデミー脚本賞
 オーソン・ウェルズ、ジョセフ・コットン他
 Wikipediaによればこの映画は世界一だそうだ。
「BFI(英国映画協会)が10年毎に全世界の映画批評家の意見を集約して世界映画史上作品ベスト10を選出しているが、この作品は1962年、1972年、1982年、1992年、2002年と、この40年間連続第1位に選出されている。(The Sight & Sound Top Ten Poll 2002) また、AFI(米国映画協会)も米国製作映画ベスト100の作品中第1位(AFI's 100 YEARS...100 MOVIES)として選出している。」

 ケーンは子供の頃、母の家業の宿泊客から料金のかたに得た金鉱の権利書で大富豪になり、やがて若くして新聞王になった。しかしその手法は協力者からは批判される。知事選挙にも出馬するがスキャンダルを暴露され落選する。その後愛人の為にオペラハウスを建設するが実力を買いかぶられたことで自殺未遂事件の引き起こしたりする。
 ケーンは最後に「薔薇のつぼみ」という言葉を残し死ぬ。物語はこの言葉の意味を探ろうとする新聞記者がケーンに関わった人物を探訪し、ケーンの生涯を回想する形式で進む。

 莫大な富を得、権力をものにしたが人間不信に陥ったかのような晩年、果たして幸せであったろうかというのがテーマだろうと思う。
 オーソン・ウェルズはこの作品を制作したときは弱冠20代の若者だったそうである。後世に残る様々な映画手法を駆使し、自身もケーンを主演するし天才と云われる所以だ。