5月30日~6月1日、シンガポールでアジア安全保障会議が行われた。
南シナ海、東シナ海で軍事覇権を拡大する中共は孤立を深めているようだ。
南シナ海、東シナ海で軍事覇権を拡大する中共は孤立を深めているようだ。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成26(2014)年6月2日(月曜日)通巻第4257号
http://melma.com/backnumber_45206/
「アジアで四面楚歌の中国」だが、そのことを認識できない中国の軍人
パラノイアは日米攻撃に移って、シャングリラホテルは寒々としていた
5月30日からシンガポールで開催された「アジア安保会議(シャングリラ対話)で、安倍首相が基調演説を行い、中国を正面から批判した。アジアにおける対中姿勢の明確な変化が背景にあり、このシャングリラ対話は今後の国際政治に重大な意味を持つことになる。
安倍首相はこう演説した。
「既成事実を積み重ね現状の変化を固定する(中国の)動きは強い非難の対象である」
「南シナ海での紛争を回避するため実効ある行動規範が出来ることを期待する」
「航行や飛行の自由を保全するためアセアン各国への支援は惜しまない」
「集団的自衛権や国連平和活動をふくむ法制基盤の再構築について日本国内で検討を進めている」
この発言は従来の日本の消極的関与からアジアの安全に関して強い積極性を示したため注目されてしかるべきだが、日本のマスコミの反応は鈍かった。
シャングリラ対話は2002年からシンガポールのシャングリラホテルで継続されているが、日本の首相が参加したのは初めてであり、またアセアン諸国へ対中包囲網の形成を示唆し、アジアの安全保障に日本が積極的に乗り出す姿勢を示したことは今後に相当な影響を持つのである。
げんにフィリピンとベトナムは米国のピボット(基軸変更)発言以後、急速に日本への依存をたかめているように。
シャングリラホテルの舞台裏ではもうひとつ重要会談が進んでいた。
安倍首相は同会議に参加していたヘーゲル国防長官と会談し、小野寺防衛大臣も個別に会談をもった。また米国の斡旋で日米韓の防衛相会議も開かれた。歩み寄りはなかったが、韓国の姿勢にやや柔軟性がでた。
ヘーゲル国防長官は「ベトナム、フィリピンと領有権をあらそう海域で埋め立てや掘削作業を強行する中国は(地域を)不安定化させている」と名指しで中国を批判したうえ、
(1)中国は地域諸国と協力して地域を安定させるのか、
(2)平和と安全保障を危機にさらすのか。
「二つに一つだ」と迫った。
中国の対応は頑なで硬直的でヘーゲル発言に猛反発した。王冠中・副総参謀長は「根拠がない。アジアの平和は中国抜きには成立しないし、火に油を注ぐような米国発言は歓迎できない」と居丈高。
同会議に出席していた朱成虎ともなると「米国は重大なミステークを犯した。偽善の最たる例であり、米国の言い分は中国が何をやってもすべて悪く米国はすべてが正しいと言っているようなもの。米国は中国に敵対するのではなく「パートナー」として扱うべきではないのか」
朱成虎は「核の先制使用も辞さない」と物騒な発言をして、人民解放軍の強硬派を代弁し、米国でもっとも嫌われる軍人論客だが、続けてこう言った。
「もし米国が敵対を続けるのであれば中国はそれなりに対応しなければならなくなるだろう。中国は米国の忠実な友であるにもかかわらず」(ウォールストリート・ジャーナルへのインタビュー、同紙6月1日)。
オバマ政権のなかで、ヘーゲルがもっとも強硬な対中論を主張するが、国務省は親中路線を維持しており、日本の突出を寧ろ抑える側にある。
したがって中国は米国内の矛盾と日米離間を巧妙についており、ひたすらシャングリラ対話でも強硬路線をまくし立てた。
深刻な亀裂が浮き彫りとなった「対話」だった。
http://melma.com/backnumber_45206/
「アジアで四面楚歌の中国」だが、そのことを認識できない中国の軍人
パラノイアは日米攻撃に移って、シャングリラホテルは寒々としていた
5月30日からシンガポールで開催された「アジア安保会議(シャングリラ対話)で、安倍首相が基調演説を行い、中国を正面から批判した。アジアにおける対中姿勢の明確な変化が背景にあり、このシャングリラ対話は今後の国際政治に重大な意味を持つことになる。
安倍首相はこう演説した。
「既成事実を積み重ね現状の変化を固定する(中国の)動きは強い非難の対象である」
「南シナ海での紛争を回避するため実効ある行動規範が出来ることを期待する」
「航行や飛行の自由を保全するためアセアン各国への支援は惜しまない」
「集団的自衛権や国連平和活動をふくむ法制基盤の再構築について日本国内で検討を進めている」
この発言は従来の日本の消極的関与からアジアの安全に関して強い積極性を示したため注目されてしかるべきだが、日本のマスコミの反応は鈍かった。
シャングリラ対話は2002年からシンガポールのシャングリラホテルで継続されているが、日本の首相が参加したのは初めてであり、またアセアン諸国へ対中包囲網の形成を示唆し、アジアの安全保障に日本が積極的に乗り出す姿勢を示したことは今後に相当な影響を持つのである。
げんにフィリピンとベトナムは米国のピボット(基軸変更)発言以後、急速に日本への依存をたかめているように。
シャングリラホテルの舞台裏ではもうひとつ重要会談が進んでいた。
安倍首相は同会議に参加していたヘーゲル国防長官と会談し、小野寺防衛大臣も個別に会談をもった。また米国の斡旋で日米韓の防衛相会議も開かれた。歩み寄りはなかったが、韓国の姿勢にやや柔軟性がでた。
ヘーゲル国防長官は「ベトナム、フィリピンと領有権をあらそう海域で埋め立てや掘削作業を強行する中国は(地域を)不安定化させている」と名指しで中国を批判したうえ、
(1)中国は地域諸国と協力して地域を安定させるのか、
(2)平和と安全保障を危機にさらすのか。
「二つに一つだ」と迫った。
中国の対応は頑なで硬直的でヘーゲル発言に猛反発した。王冠中・副総参謀長は「根拠がない。アジアの平和は中国抜きには成立しないし、火に油を注ぐような米国発言は歓迎できない」と居丈高。
同会議に出席していた朱成虎ともなると「米国は重大なミステークを犯した。偽善の最たる例であり、米国の言い分は中国が何をやってもすべて悪く米国はすべてが正しいと言っているようなもの。米国は中国に敵対するのではなく「パートナー」として扱うべきではないのか」
朱成虎は「核の先制使用も辞さない」と物騒な発言をして、人民解放軍の強硬派を代弁し、米国でもっとも嫌われる軍人論客だが、続けてこう言った。
「もし米国が敵対を続けるのであれば中国はそれなりに対応しなければならなくなるだろう。中国は米国の忠実な友であるにもかかわらず」(ウォールストリート・ジャーナルへのインタビュー、同紙6月1日)。
オバマ政権のなかで、ヘーゲルがもっとも強硬な対中論を主張するが、国務省は親中路線を維持しており、日本の突出を寧ろ抑える側にある。
したがって中国は米国内の矛盾と日米離間を巧妙についており、ひたすらシャングリラ対話でも強硬路線をまくし立てた。
深刻な亀裂が浮き彫りとなった「対話」だった。
アジア安保会議 日米VS中国の対立さらに 産経新聞2014年6月1日(日)07:59
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140601058.html
■「一方的に領有権主張」「根拠ない」
安倍晋三首相や小野寺五典(いつのり)防衛相、ヘーゲル米国防長官は31日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議の場で、中国による覇権的な海洋進出や挑発行動を強く批判した。中国側も反論し、アジア太平洋での日米対中国の対立の図式が一層鮮明となった。
中国は南シナ海における強引な海洋進出で、ベトナムやフィリピンとの緊張を増幅させている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国では、対中感情が悪化している。
◆新華社「火に油」
安倍晋三首相は31日、シンガポールの首相府でリー・シェンロン首相と会談。中国による南シナ海での石油掘削活動を念頭に、「境界未画定海域において一方的な開発は進めるべきではない」と指摘すると、リー首相は「全ての当事者に抑制した対応を求めたい」と同調した。
会議では、マレーシアやインドネシアの参加者も南シナ海での中国の行動に懸念を表明した。
「中国は一方的な行為によって南シナ海の領有権を主張している」
ヘーゲル米国防長官は31日、アジア安全保障会議での演説で、フィリピンやベトナムと領有権を争う海域で埋め立てや石油掘削を強行する中国は「(地域を)不安定化させている」と名指しで批判した。
ヘーゲル氏はまた、尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、日米安全保障条約の適用範囲だと明言。そのうえで、中国には周辺国と協調して地域を安定化させるのか、平和と安全保障を危機にさらすのか、「2つの選択肢がある」と迫った。
ヘーゲル氏は演説後、中国代表団の王冠中・人民解放軍副総参謀長(次官級)と会談した。王氏は、ヘーゲル氏の演説での厳しい中国批判について、「根拠がない」などと不満を表明。これに対しヘーゲル氏は「地域におけるすべての紛争は、外交を通じて解決されなければならない」と述べたという。
中国国営新華社通信は31日、ヘーゲル氏の中国批判について、「アジアの平和は米国と同盟国だけでは絶対に実現しない。火に油を注ぐような米国の言動は歓迎できない」とする評論を配信した。
◆「捕鯨」にチクリ
中国は、全国人民代表大会外事委員会の傅瑩(ふ・えい)主任を中心に、大規模な派遣団を組んでアジア安全保障会議に参加した。傅氏はソフトな語り口で知られるものの、2月にドイツで開かれた安全保障会議でも、安倍首相の靖国参拝を非難するなど、日本批判の急先鋒(せんぽう)だ。
傅氏は5月30日に行われたアジア安全保障会議の公開討論で、安倍首相について「釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題を拡大し、『中国が脅威だ』と言っている」と批判。「(中国脅威論の)神話を作りあげ、それを言い訳に防衛政策を変更しようとしている」と続けた。
尖閣諸島をめぐっては、杉山晋輔外務審議官が31日の討論会で、力による現状変更ではなく「国際法による解決」の重要性を主張した。だが、傅氏は「国際法という言葉をたくさん使うが、(その意味は)自分の国の法律のようだ」と反発。
同時に「安倍首相は、国際法順守のよい例を示したいのなら捕鯨をやめたらどうか。友人としての提案だ」と当てこすった。
中国は1日の全体会合では、王氏が講演する予定で、再び対日批判を展開することも予想される。
冷え込む日中関係が改善に向かう道のりは険しそうだ。(シンガポール 比護義則、吉村英輝)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140601058.html
■「一方的に領有権主張」「根拠ない」
安倍晋三首相や小野寺五典(いつのり)防衛相、ヘーゲル米国防長官は31日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議の場で、中国による覇権的な海洋進出や挑発行動を強く批判した。中国側も反論し、アジア太平洋での日米対中国の対立の図式が一層鮮明となった。
中国は南シナ海における強引な海洋進出で、ベトナムやフィリピンとの緊張を増幅させている。東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国では、対中感情が悪化している。
◆新華社「火に油」
安倍晋三首相は31日、シンガポールの首相府でリー・シェンロン首相と会談。中国による南シナ海での石油掘削活動を念頭に、「境界未画定海域において一方的な開発は進めるべきではない」と指摘すると、リー首相は「全ての当事者に抑制した対応を求めたい」と同調した。
会議では、マレーシアやインドネシアの参加者も南シナ海での中国の行動に懸念を表明した。
「中国は一方的な行為によって南シナ海の領有権を主張している」
ヘーゲル米国防長官は31日、アジア安全保障会議での演説で、フィリピンやベトナムと領有権を争う海域で埋め立てや石油掘削を強行する中国は「(地域を)不安定化させている」と名指しで批判した。
ヘーゲル氏はまた、尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、日米安全保障条約の適用範囲だと明言。そのうえで、中国には周辺国と協調して地域を安定化させるのか、平和と安全保障を危機にさらすのか、「2つの選択肢がある」と迫った。
ヘーゲル氏は演説後、中国代表団の王冠中・人民解放軍副総参謀長(次官級)と会談した。王氏は、ヘーゲル氏の演説での厳しい中国批判について、「根拠がない」などと不満を表明。これに対しヘーゲル氏は「地域におけるすべての紛争は、外交を通じて解決されなければならない」と述べたという。
中国国営新華社通信は31日、ヘーゲル氏の中国批判について、「アジアの平和は米国と同盟国だけでは絶対に実現しない。火に油を注ぐような米国の言動は歓迎できない」とする評論を配信した。
◆「捕鯨」にチクリ
中国は、全国人民代表大会外事委員会の傅瑩(ふ・えい)主任を中心に、大規模な派遣団を組んでアジア安全保障会議に参加した。傅氏はソフトな語り口で知られるものの、2月にドイツで開かれた安全保障会議でも、安倍首相の靖国参拝を非難するなど、日本批判の急先鋒(せんぽう)だ。
傅氏は5月30日に行われたアジア安全保障会議の公開討論で、安倍首相について「釣魚島(尖閣諸島の中国名)問題を拡大し、『中国が脅威だ』と言っている」と批判。「(中国脅威論の)神話を作りあげ、それを言い訳に防衛政策を変更しようとしている」と続けた。
尖閣諸島をめぐっては、杉山晋輔外務審議官が31日の討論会で、力による現状変更ではなく「国際法による解決」の重要性を主張した。だが、傅氏は「国際法という言葉をたくさん使うが、(その意味は)自分の国の法律のようだ」と反発。
同時に「安倍首相は、国際法順守のよい例を示したいのなら捕鯨をやめたらどうか。友人としての提案だ」と当てこすった。
中国は1日の全体会合では、王氏が講演する予定で、再び対日批判を展開することも予想される。
冷え込む日中関係が改善に向かう道のりは険しそうだ。(シンガポール 比護義則、吉村英輝)
アジア安保会議 首相、中国の威圧批判 ASEANとの連携重視
産経新聞2014年5月31日(土)07:59
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140531086.html
【シンガポール=比護義則】安倍晋三首相は30日夜、シンガポールで同日開幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席、基調講演した。首相は「法の支配」の順守を強調し、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)、パラセル(同・西沙)両諸島での領有権争いをめぐりフィリピンやベトナムの行動を支持、「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動きだ。強い非難の対象とならざるを得ない」と中国を批判した。
首相は、「海における法の支配」について「国家は法に基づいて主張する」「力や威圧を用いない」「紛争解決には平和的収拾を徹底すべし」との3原則を示し「当たり前のことであり、人間社会の基本だ」と訴えた。その上で「最も望まないことは、威圧と威嚇が、ルールと法に取って代わり、不測の事態が起きないかと恐れなければならないことだ」と指摘した。
南シナ海で中国がベトナムやフィリピンと領有権をめぐり対立していることや、日中間の連絡メカニズムが運用に結びついていないことを挙げて、中国に対し「交わすべきは言葉だ」と交渉のテーブルにつくよう促した。
また、「米国との同盟を基盤に、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を重んじながら、地域の安定、平和、繁栄を確固たるものとしていく」と述べ、日米同盟を基軸としたASEAN地域の安全保障に貢献する姿勢を表明。空や海などの国際公共財を重視する姿勢を打ち出し、ASEAN各国に「航行、飛行の自由を保全しようとする努力に支援を惜しまない」と約束した。
日本が戦後70年近くにわたり平和国家として歩み続けてきた実績を踏まえ、世界平和に貢献する「積極的平和主義」に基づく取り組みを強化する姿勢を打ち出した。さらに「もっと世界の平和に貢献したい」と訴え、首相が目指す集団的自衛権の行使容認や国連平和維持活動(PKO)について政府・与党内で検討を進めていることを説明し、各国の理解を求めた。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20140531086.html
【シンガポール=比護義則】安倍晋三首相は30日夜、シンガポールで同日開幕したアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に出席、基調講演した。首相は「法の支配」の順守を強調し、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)、パラセル(同・西沙)両諸島での領有権争いをめぐりフィリピンやベトナムの行動を支持、「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動きだ。強い非難の対象とならざるを得ない」と中国を批判した。
首相は、「海における法の支配」について「国家は法に基づいて主張する」「力や威圧を用いない」「紛争解決には平和的収拾を徹底すべし」との3原則を示し「当たり前のことであり、人間社会の基本だ」と訴えた。その上で「最も望まないことは、威圧と威嚇が、ルールと法に取って代わり、不測の事態が起きないかと恐れなければならないことだ」と指摘した。
南シナ海で中国がベトナムやフィリピンと領有権をめぐり対立していることや、日中間の連絡メカニズムが運用に結びついていないことを挙げて、中国に対し「交わすべきは言葉だ」と交渉のテーブルにつくよう促した。
また、「米国との同盟を基盤に、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を重んじながら、地域の安定、平和、繁栄を確固たるものとしていく」と述べ、日米同盟を基軸としたASEAN地域の安全保障に貢献する姿勢を表明。空や海などの国際公共財を重視する姿勢を打ち出し、ASEAN各国に「航行、飛行の自由を保全しようとする努力に支援を惜しまない」と約束した。
日本が戦後70年近くにわたり平和国家として歩み続けてきた実績を踏まえ、世界平和に貢献する「積極的平和主義」に基づく取り組みを強化する姿勢を打ち出した。さらに「もっと世界の平和に貢献したい」と訴え、首相が目指す集団的自衛権の行使容認や国連平和維持活動(PKO)について政府・与党内で検討を進めていることを説明し、各国の理解を求めた。