孤立する米国、中国主導のAIIBで変わる世界構図 2015年03月27日 15:49 発信地:ワシントンD.C./米国
http://www.afpbb.com/articles/-/3043797?ctm_campaign=nowon_txt
【3月27日 AFP】中国が設立を主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank、AIIB)」をめぐり、米国が孤立を深めている。欧州勢の参加表明は、AIIBに否定的な立場を取ってきた米国にとって不意打ちだった。
英国、ドイツ、フランス――欧州の米同盟国が次々とAIIB参加を決めるのを、米国は指をくわえて見ているしかなかった。アジアの同盟国、韓国も26日、参加を決定したと発表。既に参加表明国が約30か国に上る中、オーストラリアも参加を検討している。国際通貨基金(International Monetary Fund、IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事も、AIIBの設立計画を歓迎する声明を出した。
AIIBは、米国が強い影響力を持つ世界銀行(World Bank)やアジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)と競合する国際開発金融機関となる可能性がある。
元IMF幹部(中国担当)のエスワル・プラサド(Eswar Prasad)氏は「経済的・政治的に緊密な同盟国が相次いで参加を表明したのは、米国にとって想定外だった」と述べ、世界の経済政策を主導する立場としての米国のパワーは縮小していると指摘した。
中国が昨年10月に発表した資本金500億ドル(5兆9500億円)のAIIB設立構想に対し、米オバマ政権は控えめながら熱心なロビー活動を展開してきた。米政府高官は、AIIBによって国際的な開発支援の審査・融資基準が低下するとほのめかしている。
ジェイコブ・ルー(Jacob Lew)米財務長官は先週、議会で「AIIBは、これまで国際金融機関が築いてきた高い基準に忠実だろうか。労働者の権利を保護したり、環境に配慮したり、汚職問題に適切に対処したりできるのか」と、疑問を投げ掛けた。
だが、こうした米国の率直な反対姿勢は失敗に終わった。元米財務省職員のスコット・モリス(Scott Morris)氏は、こう説明する。「米国は、比較的早い段階で孤立した。極めてあからさまに批判を口にしていたからだ。その結果、米国はAIIB参加を検討する国々とオープンな議論を重ねる機会を失った」
■「自信過剰」な米国へのいら立ち
国際金融システムの構築に精通している米国は、自信過剰になり、中国の誘引力や資金力を過小評価していたのかもしれない。
「米国はリーダーとしての地位しか知らない。中国など他の国々が台頭してきている現実に、心理的に順応できていない」と、カナダのシンクタンク、国際ガバナンス・イノベーション・センター(Centre for International Governance Innovation、CIGI)のホンイン・ワン(Hongying Wang)氏は分析する。
また、米政府は同盟国を含む一部の国に、停滞した多国間経済の現状に対する倦怠(けんたい)感が漂っていた点も軽視していたと、専門家らは指摘している。米国は、2010年に新興国の議決権比率を引き上げるIMF改革を阻止したほか、世銀の意向を無視しているとしばしば批判されている。モリス氏は「より大規模な多国間制度に意欲的な国々は、あまり積極的でない米国の立場にいら立ちを募らせていた」と述べた。
■変わる世界の構図
孤立を自覚した米国は、年内にも発足予定のAIIBとの協調に向けて、態度を軟化させつつある。米財務省は先日、公式ブログで中国への「直接的な関与」を続けると表明し、他の友好国と連携して「AIIBが高い基準を導入・実施していくためにはどうすればよいか、具体的に提案していく」方針を示した。
ただ、米国がこれ以上の行動を取るのは難しいとみられる。AIIBに参加しようとすれば米議会の反発は避けられず、「政治的な要因から極めて困難だろう」とモリス氏はみている。
いずれにせよ、AIIBをめぐる一連の動きによって、世界の構図には変化が生じている。中国は、自国が主導するプロジェクトに多数の参加国を集めることで「成熟の最終段階」に入ったことを証明し、国際社会で「建設的なリーダーシップ」を発揮できることを示したと、プラサド氏は説明。「中国が世界に及ぼす影響力の拡大に、米国が対抗するのは一層、困難になる」との見方を示した。(c)AFP/Jeremy TORDJMAN
http://www.afpbb.com/articles/-/3043797?ctm_campaign=nowon_txt
【3月27日 AFP】中国が設立を主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank、AIIB)」をめぐり、米国が孤立を深めている。欧州勢の参加表明は、AIIBに否定的な立場を取ってきた米国にとって不意打ちだった。
英国、ドイツ、フランス――欧州の米同盟国が次々とAIIB参加を決めるのを、米国は指をくわえて見ているしかなかった。アジアの同盟国、韓国も26日、参加を決定したと発表。既に参加表明国が約30か国に上る中、オーストラリアも参加を検討している。国際通貨基金(International Monetary Fund、IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事も、AIIBの設立計画を歓迎する声明を出した。
AIIBは、米国が強い影響力を持つ世界銀行(World Bank)やアジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)と競合する国際開発金融機関となる可能性がある。
元IMF幹部(中国担当)のエスワル・プラサド(Eswar Prasad)氏は「経済的・政治的に緊密な同盟国が相次いで参加を表明したのは、米国にとって想定外だった」と述べ、世界の経済政策を主導する立場としての米国のパワーは縮小していると指摘した。
中国が昨年10月に発表した資本金500億ドル(5兆9500億円)のAIIB設立構想に対し、米オバマ政権は控えめながら熱心なロビー活動を展開してきた。米政府高官は、AIIBによって国際的な開発支援の審査・融資基準が低下するとほのめかしている。
ジェイコブ・ルー(Jacob Lew)米財務長官は先週、議会で「AIIBは、これまで国際金融機関が築いてきた高い基準に忠実だろうか。労働者の権利を保護したり、環境に配慮したり、汚職問題に適切に対処したりできるのか」と、疑問を投げ掛けた。
だが、こうした米国の率直な反対姿勢は失敗に終わった。元米財務省職員のスコット・モリス(Scott Morris)氏は、こう説明する。「米国は、比較的早い段階で孤立した。極めてあからさまに批判を口にしていたからだ。その結果、米国はAIIB参加を検討する国々とオープンな議論を重ねる機会を失った」
■「自信過剰」な米国へのいら立ち
国際金融システムの構築に精通している米国は、自信過剰になり、中国の誘引力や資金力を過小評価していたのかもしれない。
「米国はリーダーとしての地位しか知らない。中国など他の国々が台頭してきている現実に、心理的に順応できていない」と、カナダのシンクタンク、国際ガバナンス・イノベーション・センター(Centre for International Governance Innovation、CIGI)のホンイン・ワン(Hongying Wang)氏は分析する。
また、米政府は同盟国を含む一部の国に、停滞した多国間経済の現状に対する倦怠(けんたい)感が漂っていた点も軽視していたと、専門家らは指摘している。米国は、2010年に新興国の議決権比率を引き上げるIMF改革を阻止したほか、世銀の意向を無視しているとしばしば批判されている。モリス氏は「より大規模な多国間制度に意欲的な国々は、あまり積極的でない米国の立場にいら立ちを募らせていた」と述べた。
■変わる世界の構図
孤立を自覚した米国は、年内にも発足予定のAIIBとの協調に向けて、態度を軟化させつつある。米財務省は先日、公式ブログで中国への「直接的な関与」を続けると表明し、他の友好国と連携して「AIIBが高い基準を導入・実施していくためにはどうすればよいか、具体的に提案していく」方針を示した。
ただ、米国がこれ以上の行動を取るのは難しいとみられる。AIIBに参加しようとすれば米議会の反発は避けられず、「政治的な要因から極めて困難だろう」とモリス氏はみている。
いずれにせよ、AIIBをめぐる一連の動きによって、世界の構図には変化が生じている。中国は、自国が主導するプロジェクトに多数の参加国を集めることで「成熟の最終段階」に入ったことを証明し、国際社会で「建設的なリーダーシップ」を発揮できることを示したと、プラサド氏は説明。「中国が世界に及ぼす影響力の拡大に、米国が対抗するのは一層、困難になる」との見方を示した。(c)AFP/Jeremy TORDJMAN
各国がAIIBに駆け込み参加 何清漣氏「運営手法や投資理念に問題」
http://www.epochtimes.jp/jp/2015/03/html/d58976.html
【大紀元日本3月30日】中国提唱のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に駆け込みで参加する国が相次いだ。今月に入ってからイギリスをはじめ、ヨーロッパの先進各国が参加の意向を表明したほか、先週、韓国やロシア、ブラジルなどが、さらに29日はオーストラリアも新たに参加の意向を表明した。40カ国超の参加が確実視され、勢いがついてきているように見える。ただ、問題も山積みだ。経済学者の何清漣氏は米VOAの寄稿記事で、運営手法や投資理念の違いで問題を抱えていると指摘した。
中国は「AIIBでの拒否権を持たない」ことを欧州諸国と約束したため、イギリスなど多くの先進国が参加を表明した。しかし、運営面の不安は残ると何氏は指摘する。まず、15~20席ある取締役会の枠の中、域外国にはわずか3席を与えているだけだ。現在、欧州7カ国が参加を表明している。どの国を選ぶのか、中国は頭を悩ますことになる。各国の機嫌を損なうまいと「取締役会の枠を拡大する可能性がある」と何氏は推測する。
さらに、「AIIBの運営では、いかなる国も単独での決定権を持たない」と中国は自らの拒否権も持たない考えを示した。公平な運営をアピールしているが、「物事が決められない」と何氏は懸念する。
共産党機関紙・人民日報はAIIBの強みについて、世界銀行などは融資を受ける国に市場の開放や人権問題の改善を要求しているのに対し、AIIBにはこういう縛りがないと強調した。
これについて、何氏は 「中国の従来のやり方と一致している」と述べた。これまでも中国は人権状況の悪いアフリカ諸国に無償援助や低金利融資を行うことによって、国連人権委員会で中国の非難提案を毎回頓挫させた。「中国はそもそも、対外経済援助と投資との境界線を曖昧にしていた」と指摘し、経済利益よりも政治成果を重んじる姿勢に問題があると述べた。政治的な成果を得るために、途上国の債権を放棄するのも中国の常套手段だ。
中国は当初、中国、中央アジア、欧州を結ぶ新たな貿易・輸送ルートの確立を目指す「シルクロード経済圏」をAIIBとリンクさせ、インフラの整備を通じて同地域での主導権を握ることを考えていた。また、中国企業に整備プロジェクトを受注させ、低迷が続く国内経済の底上げにつなげる、という打算もあった。しかし、シルクロード経済圏に有る多くの国の国家信用格付けが低く、投資した資金の回収が問題になる可能性が高い。
何氏は欧州諸国が融資を受ける国の人権問題を不問にしても、利益を度外視することはしない。「援助で投資を促進し、政治的な繋がりを強化する」中国のやり方を受け入れられないだろうとの考えを示した。AIIBを思うままに操るのは中国にとって難しい問題となりそうだと結論付けた。
(翻訳編集・江音)
http://www.epochtimes.jp/jp/2015/03/html/d58976.html
【大紀元日本3月30日】中国提唱のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に駆け込みで参加する国が相次いだ。今月に入ってからイギリスをはじめ、ヨーロッパの先進各国が参加の意向を表明したほか、先週、韓国やロシア、ブラジルなどが、さらに29日はオーストラリアも新たに参加の意向を表明した。40カ国超の参加が確実視され、勢いがついてきているように見える。ただ、問題も山積みだ。経済学者の何清漣氏は米VOAの寄稿記事で、運営手法や投資理念の違いで問題を抱えていると指摘した。
中国は「AIIBでの拒否権を持たない」ことを欧州諸国と約束したため、イギリスなど多くの先進国が参加を表明した。しかし、運営面の不安は残ると何氏は指摘する。まず、15~20席ある取締役会の枠の中、域外国にはわずか3席を与えているだけだ。現在、欧州7カ国が参加を表明している。どの国を選ぶのか、中国は頭を悩ますことになる。各国の機嫌を損なうまいと「取締役会の枠を拡大する可能性がある」と何氏は推測する。
さらに、「AIIBの運営では、いかなる国も単独での決定権を持たない」と中国は自らの拒否権も持たない考えを示した。公平な運営をアピールしているが、「物事が決められない」と何氏は懸念する。
共産党機関紙・人民日報はAIIBの強みについて、世界銀行などは融資を受ける国に市場の開放や人権問題の改善を要求しているのに対し、AIIBにはこういう縛りがないと強調した。
これについて、何氏は 「中国の従来のやり方と一致している」と述べた。これまでも中国は人権状況の悪いアフリカ諸国に無償援助や低金利融資を行うことによって、国連人権委員会で中国の非難提案を毎回頓挫させた。「中国はそもそも、対外経済援助と投資との境界線を曖昧にしていた」と指摘し、経済利益よりも政治成果を重んじる姿勢に問題があると述べた。政治的な成果を得るために、途上国の債権を放棄するのも中国の常套手段だ。
中国は当初、中国、中央アジア、欧州を結ぶ新たな貿易・輸送ルートの確立を目指す「シルクロード経済圏」をAIIBとリンクさせ、インフラの整備を通じて同地域での主導権を握ることを考えていた。また、中国企業に整備プロジェクトを受注させ、低迷が続く国内経済の底上げにつなげる、という打算もあった。しかし、シルクロード経済圏に有る多くの国の国家信用格付けが低く、投資した資金の回収が問題になる可能性が高い。
何氏は欧州諸国が融資を受ける国の人権問題を不問にしても、利益を度外視することはしない。「援助で投資を促進し、政治的な繋がりを強化する」中国のやり方を受け入れられないだろうとの考えを示した。AIIBを思うままに操るのは中国にとって難しい問題となりそうだと結論付けた。
(翻訳編集・江音)
AIIBの本質は中国共産党の世界戦略にもとづく「政治工作機関」
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成27年(2015) 3月30日(月曜日)通巻第4500号(小誌4500号記念特大号)
http://melma.com/backnumber_45206/
中国のアジアインフラ投資銀行への大いなる疑問
本当の中国の狙いを誤解していないか
日本の国際情勢分析や論調はいつもおかしいが、今回の中国共産党主導の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)に参加表明しない日本は選択を間違えているという、恐ろしくも正反対の議論が突出しており、ばかばかしいにも程があるという感想を抱く。そのまとめとして本稿を書く。
第一に、中国が目ざす「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)なるものは「国際金融機関」ではなく中国共産党の世界戦略にもとづく「政治工作機関」であるという本質をまったく見ようともしない不思議である。
第二に、あわよくば米国主導のブレトンウッズ体制(つまり世界銀行・IMF体制)に変わる中国主導の金融秩序構築を模索するものであること。すなわちドル基軸体制に真っ向から挑戦し、人民元基軸体制をアジアに構築しようという壮大な野心から生まれた、きわめて大風呂敷の構想であることである。
第三に、この銀行を設立することは中国経済のひずみを解決するための出口でもあることだ。 すなわち余剰生産の鉄鋼、セメント、建材、石油副産物などの国内在庫を一斉するための吐き出し機関ともなりうるし、失業対策になやむ中国が諸外国にプロジェクトを持ちかけ、それをファイナンスすることによって大量の中国人失業者を海外へ送り出せるメリットがある。
この点を吟味する分析が日本ではあまりにも少ない。
▼外貨準備世界一のトリック
世界中が幻惑されたのは、中国の外貨準備が世界一という数字のトリックだった。
中国の外貨準備は3兆4830億ドル(14年末)とされるが、ちょっと待った。CIA系シンクタンクの調査ではすでに「不正に外国へ持ち出された外貨」が3兆7800億ドルである。
つまり表向き、あることになっている「外貨準備」、じつは底をついているのである。その証拠に中国は米国債の保有額を減らしている。日本がまもなく世界一の座を復活させるだろう(15年一月末で日中間の差は50億ドルしかない)。
また中国の国家ファンドが保有した筈の日本株式はすでに売り払っているうえ、じつは中国は猛烈に海外から外貨を借りまくっている。外貨準備増加額より外国金融機関からの借り入れ額が上回っている。
こうして不都合なデータを中国は巧妙に伏せていることに特大の注意が必要である。
ところが、日欧のメディアはアジアインフラ投資銀行に対して過剰な評価をし始めた。
IMFのラガルデ専務理事もADBの中尾武彦相殺も「協力できる可能性はあるかもしれない」などと発言のニュアンスが対立型から様変わり、日本の麻生財務相は「入らないと言っているわけではない」と融資条件や運用方法の透明性を問題視した。
そう、「透明性」が最大の問題で、理事会に日欧が入り込む隙間のない独裁となるだろうから、融資条件の開示させない段階で加盟するなどというのは政治的発言か何か別の思惑があり、日欧の発言をよくよく吟味すれば「加盟しない」と発言しているのである。
中国経済分析で世界的に有名なエリザベス・エコノミー女史は「はじめからお手並み拝見で、AIIBはAIIBと割り切って放置すれば良かった。米国の反対声明がかえって、中国の銀行設置に力を与えた」と皮肉る。
もとより「アジアインフラ投資銀行」に英独仏伊が参加表明したため、豪、デンマークなど合計41ヶ国が参加することとなった(3月30日現在)。
英紙「フィナンシャルタイムズ」は、米国オバマ政権に「失望」が広がっていると報道し(3月19日)、対照的に中国語の媒体は「英国の決断」などとし、同行に加わらない日米に冷淡な分析をしている。中国としては政治的得点になる。
だから日本のマスコミはますまるおかしな論調となる。
たとえば日本のイエローパーパー『日刊ゲンダイ』が、日本の立場を徹底的に批判し、中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加表明したドイツ、フランス、イタリア、そして英国に先を越され、日本政府が無能ぶりを天下に曝したと報じたことが、中国メディアは嬉しくて仕方がないらしい。同紙が『日本の完敗』と書いたことがよほど気に召したらしいのだ。
▼英国のホントの参加理由はシティ・ルールが守られるのか、どうかだ
もうすこし状況を把握してみよう。
英国の思惑は次の三点に集中している。
第一はMI6をいう情報機関をほこる英国にはそれなりのインテリジェンス戦略から発想される政治的計算がある。
英国にとってAIIBに加盟を表明しないことには情報が得られない。その高度の情報を同盟国である米国に提供できる。
そもそも世界金融を差配しているのはウォール街である。そのウォール街の論理はグローバリズムであり、そのルールを決めているのは英国のシティである。
英米がシティ・ルールを破壊するような行為に中国がでれば、いつまでも協力的態度をつづけるか、どうか。
第二に加盟国となれば、AIIBの規則や条件に英国が(独仏伊豪も)注文や条件を付けられる。つまりシティのルールを尊重してくれるのか、どうか。欧米が警戒するニカラグア運河への投資なども、中国の貯湯妄信的融資には激しく反対することになるだろう。
第三が「ウィンブルトン方式」である。
英国はすでに二年前からシティにおける人民元取引をみとめ、同時に中国国債も取引されている。おなじくフランクフルト市場でも。これは「ウィンブルトン方式」と言われ、市場関係者からみれば「貸し会場ビジネス」である。つまり有名なテニスの世界大会を開催し、たとえイギリス選手の活躍がなくとも、集まってくる人々(外国籍の)が落とすカネが魅力であるという意味である。
こうした文脈からいえば英国のアジアインフラ投資銀行に参加表明も、そこにシティとしてのビジネス拡大の可能性を見たからであり、対米非協力への傾斜という政治的思惑は薄い。
ならば独仏など「ユーロ」加盟国の反応はどうか。
ユーロを主導するドイツは、これが人民元市場ではないことを見抜いた。
イタリアとフランスの参加表明はユーロが米ドルよりも強くなれば良いという斜に構えた動機であり、また加盟すれば幾ばくかの情報が取れるという打算に基づく政治的行動だろう。
▼アジアの資金渇望を中国は巧みに衝いた
さて米国は嘗て宮沢政権のおりに、日本が設立を目指したAMF(アジア通貨基金)を構想の段階で横合いから強引に潰したように、中国主導のドル基軸に挑戦するような国際機関の動きには警戒している。
基本的動機は戦後の世界経済を牛耳るブレトンウッズ体制(つまり世界銀行・IMF体制)に中国が挑戦してきたと認識が強かったからである。しかし米国は中国の動きを牽制したが、潰そうとはしなかった。それだけ日本は押さえ込める自信があっても、中国を制御する政治力は、もはや米国にはないということでもある。
繰り返すが中国がアジアインフラ投資銀行を設立する思惑は(1)人民元の拡大と(2)アジアにおける人民元の覇権、(3)中国主導のアジア経済訂正の確立という、金融帝国主義であり、南シナ海での侵略行為によって四面楚歌となった政治状況を、カネを武器に主導権の回復を狙うものである。
インフラ整備の資金調達になやむアセアン諸国ならびにインド経済圏は喉から手が出るほど欲しい資金を中国が供与してくれるのなら政治的行動は抑える。露骨なのはカンボジア、ラオス、タイ、インドネシアなどだ。つまり反中国でまとまりつつあったアセアンの団結への動きを、中国はみごとに攪乱しているのだ。
だが裏側はどうか。
この新銀行は貸し付け条件も金利の策定方法も、審査方法もまったく白紙の状態であり、基本的に銀行のガバナンスを知らない国が国際銀行業務をスムースに展開できるのか、どうかが疑問視されている。
つまり日本が経済制裁をしている北朝鮮への融資を中国が勝手に決めた場合などが早くも想定され、強く懸念される。
アジア諸国の港湾浚渫など整備プロジェクトや鉄道輸送に力点をおいた融資を行うだろうが、それはアジアにおける中国の軍事戦略「真珠の首飾り」を実行するための経済面からの補完手段である。港湾を中国は将来の原潜や空母寄港地として利用する魂胆も見え透いていないか。
▼アジアインフラ投資銀行に参加表明しないのが得策だ
AIIBにはいくつかの致命的欠陥がある。
第一に人民元の拡大を狙う同行の資本金が米ドル建てという不条理に対して納得できる説明はない。
くわえて同行の本店ビルは北京で建設が始まったばかりで、どう最速に見積もっても2017年度ごろに完成である。
第二に資本金振り込みにも至っておらず、拙速の開業があっても2016年、そのころに中国の外貨準備が潤沢のママであろうか?
第三に中国の外貨準備が激しい勢いで減速しており、いずれ資本金振り込みさえ怪しい雲行きとなりそうなことに誰も懸念を表明しないことは面妖というほかはない。
いずれアジアインフラ投資銀行は空中分解か、最初の貸し付けが焦げ付き、増資を繰り返しながらの低空飛行となるだろう。日本は歯牙にもかける必要がないのである。
そして設立まではやくも不協和音が鳴っている。
ロシアは参加表明をしない方向で検討していた事実が浮かんだのである(多維新聞網、3月26日)。
ロシアのセルゲイ・ストルチャク財務副大臣は「ロシアは過去一貫して米国の金融支配に反対し、新しい国際機関の設立を呼びかけてきたので、AIIBの主旨には賛同する。しかしながら、この新組織にロシアが加盟するかどうかは未定である」と記者会見した。
第一に中国主導の度合いは拒否権に象徴されるが、ロシアが中国の風下に立つ積もりはない。
第二に英独仏など西側が加盟すると、ウクライナ問題でロシア制裁中のかれらが、ロシアの要望する融資案件には反対にまわるに違いない。ロシアは原油価格暴落以後、多くのプロジェクトが足踏み状態にあり、資金重要が強いが、逆に英独仏が対ロ融資に反対すれば、ロシアが加盟する意味がない。
第三に大国の政治力は単に金融力でははかれず、ロシアは軍事大国であり、その矜持がある。ロシアと中国の絆は軍事、政治的結びつきが強く、金融面での協力関係はそれほど重要とは言えない。
とはいうもののロシアは現在14の飛行場を建設中のほか、160キロの地下鉄、ハイウェイなど160件のプロジェクトを推進もしくは計画中で、2000億米ドルが必要と見つもられている。
さらにややこしい問題はロシアが一方で期待する「BRICS銀行」にしてもブラジル、インドより、ロシアのGDP成長は遅れており、そもそもロシアとブラジルは原資負担にも追いつけない状況となってしまった。
BRICS銀行も設立そのものが危ぶまれ始めている。
平成27年(2015) 3月30日(月曜日)通巻第4500号(小誌4500号記念特大号)
http://melma.com/backnumber_45206/
中国のアジアインフラ投資銀行への大いなる疑問
本当の中国の狙いを誤解していないか
日本の国際情勢分析や論調はいつもおかしいが、今回の中国共産党主導の「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)に参加表明しない日本は選択を間違えているという、恐ろしくも正反対の議論が突出しており、ばかばかしいにも程があるという感想を抱く。そのまとめとして本稿を書く。
第一に、中国が目ざす「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)なるものは「国際金融機関」ではなく中国共産党の世界戦略にもとづく「政治工作機関」であるという本質をまったく見ようともしない不思議である。
第二に、あわよくば米国主導のブレトンウッズ体制(つまり世界銀行・IMF体制)に変わる中国主導の金融秩序構築を模索するものであること。すなわちドル基軸体制に真っ向から挑戦し、人民元基軸体制をアジアに構築しようという壮大な野心から生まれた、きわめて大風呂敷の構想であることである。
第三に、この銀行を設立することは中国経済のひずみを解決するための出口でもあることだ。 すなわち余剰生産の鉄鋼、セメント、建材、石油副産物などの国内在庫を一斉するための吐き出し機関ともなりうるし、失業対策になやむ中国が諸外国にプロジェクトを持ちかけ、それをファイナンスすることによって大量の中国人失業者を海外へ送り出せるメリットがある。
この点を吟味する分析が日本ではあまりにも少ない。
▼外貨準備世界一のトリック
世界中が幻惑されたのは、中国の外貨準備が世界一という数字のトリックだった。
中国の外貨準備は3兆4830億ドル(14年末)とされるが、ちょっと待った。CIA系シンクタンクの調査ではすでに「不正に外国へ持ち出された外貨」が3兆7800億ドルである。
つまり表向き、あることになっている「外貨準備」、じつは底をついているのである。その証拠に中国は米国債の保有額を減らしている。日本がまもなく世界一の座を復活させるだろう(15年一月末で日中間の差は50億ドルしかない)。
また中国の国家ファンドが保有した筈の日本株式はすでに売り払っているうえ、じつは中国は猛烈に海外から外貨を借りまくっている。外貨準備増加額より外国金融機関からの借り入れ額が上回っている。
こうして不都合なデータを中国は巧妙に伏せていることに特大の注意が必要である。
ところが、日欧のメディアはアジアインフラ投資銀行に対して過剰な評価をし始めた。
IMFのラガルデ専務理事もADBの中尾武彦相殺も「協力できる可能性はあるかもしれない」などと発言のニュアンスが対立型から様変わり、日本の麻生財務相は「入らないと言っているわけではない」と融資条件や運用方法の透明性を問題視した。
そう、「透明性」が最大の問題で、理事会に日欧が入り込む隙間のない独裁となるだろうから、融資条件の開示させない段階で加盟するなどというのは政治的発言か何か別の思惑があり、日欧の発言をよくよく吟味すれば「加盟しない」と発言しているのである。
中国経済分析で世界的に有名なエリザベス・エコノミー女史は「はじめからお手並み拝見で、AIIBはAIIBと割り切って放置すれば良かった。米国の反対声明がかえって、中国の銀行設置に力を与えた」と皮肉る。
もとより「アジアインフラ投資銀行」に英独仏伊が参加表明したため、豪、デンマークなど合計41ヶ国が参加することとなった(3月30日現在)。
英紙「フィナンシャルタイムズ」は、米国オバマ政権に「失望」が広がっていると報道し(3月19日)、対照的に中国語の媒体は「英国の決断」などとし、同行に加わらない日米に冷淡な分析をしている。中国としては政治的得点になる。
だから日本のマスコミはますまるおかしな論調となる。
たとえば日本のイエローパーパー『日刊ゲンダイ』が、日本の立場を徹底的に批判し、中国主導のアジアインフラ投資銀行に参加表明したドイツ、フランス、イタリア、そして英国に先を越され、日本政府が無能ぶりを天下に曝したと報じたことが、中国メディアは嬉しくて仕方がないらしい。同紙が『日本の完敗』と書いたことがよほど気に召したらしいのだ。
▼英国のホントの参加理由はシティ・ルールが守られるのか、どうかだ
もうすこし状況を把握してみよう。
英国の思惑は次の三点に集中している。
第一はMI6をいう情報機関をほこる英国にはそれなりのインテリジェンス戦略から発想される政治的計算がある。
英国にとってAIIBに加盟を表明しないことには情報が得られない。その高度の情報を同盟国である米国に提供できる。
そもそも世界金融を差配しているのはウォール街である。そのウォール街の論理はグローバリズムであり、そのルールを決めているのは英国のシティである。
英米がシティ・ルールを破壊するような行為に中国がでれば、いつまでも協力的態度をつづけるか、どうか。
第二に加盟国となれば、AIIBの規則や条件に英国が(独仏伊豪も)注文や条件を付けられる。つまりシティのルールを尊重してくれるのか、どうか。欧米が警戒するニカラグア運河への投資なども、中国の貯湯妄信的融資には激しく反対することになるだろう。
第三が「ウィンブルトン方式」である。
英国はすでに二年前からシティにおける人民元取引をみとめ、同時に中国国債も取引されている。おなじくフランクフルト市場でも。これは「ウィンブルトン方式」と言われ、市場関係者からみれば「貸し会場ビジネス」である。つまり有名なテニスの世界大会を開催し、たとえイギリス選手の活躍がなくとも、集まってくる人々(外国籍の)が落とすカネが魅力であるという意味である。
こうした文脈からいえば英国のアジアインフラ投資銀行に参加表明も、そこにシティとしてのビジネス拡大の可能性を見たからであり、対米非協力への傾斜という政治的思惑は薄い。
ならば独仏など「ユーロ」加盟国の反応はどうか。
ユーロを主導するドイツは、これが人民元市場ではないことを見抜いた。
イタリアとフランスの参加表明はユーロが米ドルよりも強くなれば良いという斜に構えた動機であり、また加盟すれば幾ばくかの情報が取れるという打算に基づく政治的行動だろう。
▼アジアの資金渇望を中国は巧みに衝いた
さて米国は嘗て宮沢政権のおりに、日本が設立を目指したAMF(アジア通貨基金)を構想の段階で横合いから強引に潰したように、中国主導のドル基軸に挑戦するような国際機関の動きには警戒している。
基本的動機は戦後の世界経済を牛耳るブレトンウッズ体制(つまり世界銀行・IMF体制)に中国が挑戦してきたと認識が強かったからである。しかし米国は中国の動きを牽制したが、潰そうとはしなかった。それだけ日本は押さえ込める自信があっても、中国を制御する政治力は、もはや米国にはないということでもある。
繰り返すが中国がアジアインフラ投資銀行を設立する思惑は(1)人民元の拡大と(2)アジアにおける人民元の覇権、(3)中国主導のアジア経済訂正の確立という、金融帝国主義であり、南シナ海での侵略行為によって四面楚歌となった政治状況を、カネを武器に主導権の回復を狙うものである。
インフラ整備の資金調達になやむアセアン諸国ならびにインド経済圏は喉から手が出るほど欲しい資金を中国が供与してくれるのなら政治的行動は抑える。露骨なのはカンボジア、ラオス、タイ、インドネシアなどだ。つまり反中国でまとまりつつあったアセアンの団結への動きを、中国はみごとに攪乱しているのだ。
だが裏側はどうか。
この新銀行は貸し付け条件も金利の策定方法も、審査方法もまったく白紙の状態であり、基本的に銀行のガバナンスを知らない国が国際銀行業務をスムースに展開できるのか、どうかが疑問視されている。
つまり日本が経済制裁をしている北朝鮮への融資を中国が勝手に決めた場合などが早くも想定され、強く懸念される。
アジア諸国の港湾浚渫など整備プロジェクトや鉄道輸送に力点をおいた融資を行うだろうが、それはアジアにおける中国の軍事戦略「真珠の首飾り」を実行するための経済面からの補完手段である。港湾を中国は将来の原潜や空母寄港地として利用する魂胆も見え透いていないか。
▼アジアインフラ投資銀行に参加表明しないのが得策だ
AIIBにはいくつかの致命的欠陥がある。
第一に人民元の拡大を狙う同行の資本金が米ドル建てという不条理に対して納得できる説明はない。
くわえて同行の本店ビルは北京で建設が始まったばかりで、どう最速に見積もっても2017年度ごろに完成である。
第二に資本金振り込みにも至っておらず、拙速の開業があっても2016年、そのころに中国の外貨準備が潤沢のママであろうか?
第三に中国の外貨準備が激しい勢いで減速しており、いずれ資本金振り込みさえ怪しい雲行きとなりそうなことに誰も懸念を表明しないことは面妖というほかはない。
いずれアジアインフラ投資銀行は空中分解か、最初の貸し付けが焦げ付き、増資を繰り返しながらの低空飛行となるだろう。日本は歯牙にもかける必要がないのである。
そして設立まではやくも不協和音が鳴っている。
ロシアは参加表明をしない方向で検討していた事実が浮かんだのである(多維新聞網、3月26日)。
ロシアのセルゲイ・ストルチャク財務副大臣は「ロシアは過去一貫して米国の金融支配に反対し、新しい国際機関の設立を呼びかけてきたので、AIIBの主旨には賛同する。しかしながら、この新組織にロシアが加盟するかどうかは未定である」と記者会見した。
第一に中国主導の度合いは拒否権に象徴されるが、ロシアが中国の風下に立つ積もりはない。
第二に英独仏など西側が加盟すると、ウクライナ問題でロシア制裁中のかれらが、ロシアの要望する融資案件には反対にまわるに違いない。ロシアは原油価格暴落以後、多くのプロジェクトが足踏み状態にあり、資金重要が強いが、逆に英独仏が対ロ融資に反対すれば、ロシアが加盟する意味がない。
第三に大国の政治力は単に金融力でははかれず、ロシアは軍事大国であり、その矜持がある。ロシアと中国の絆は軍事、政治的結びつきが強く、金融面での協力関係はそれほど重要とは言えない。
とはいうもののロシアは現在14の飛行場を建設中のほか、160キロの地下鉄、ハイウェイなど160件のプロジェクトを推進もしくは計画中で、2000億米ドルが必要と見つもられている。
さらにややこしい問題はロシアが一方で期待する「BRICS銀行」にしてもブラジル、インドより、ロシアのGDP成長は遅れており、そもそもロシアとブラジルは原資負担にも追いつけない状況となってしまった。
BRICS銀行も設立そのものが危ぶまれ始めている。
AIIB 日本は当面参加を見送り 3月31日 5時53分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010033351000.html
AIIB 日本は当面参加を見送り
中国が設立を提唱しているAIIB=アジアインフラ投資銀行について、日本は組織運営の透明性が確保されるかどうかを確認する必要があるとして当面は参加を見送り、引き続き中国側の出方を見守るなど、慎重に判断していく方針です。
日本は、財務省を中心に国際機関が融資や投資を判断する場合、参加国の利害を調整する理事会の設置が必要だと主張し、融資や投資がどのような審査を経て決定されるのかなど中国に説明を求めてきましたが、明確な回答を得られていないとしています。
またAIIBは中国の強い発言権が予想され、日本とアメリカが中心となって設立したアジア開発銀行や世界銀行など既存の国際機関にとって、支援の枠組みを揺るがすことも懸念されるとしています。
さらに、日本を抜いて世界第2位のGDPまで成長した中国が、経済力を背景に領土問題など外交的な圧力を一層拡大しかねないという懸念もあります。
一方、政府内には、インフラ輸出の推進やAIIBの運営の透明性を確保するためにも、参加する必要があるという指摘が出ているほか、経済界からも参加に期待する声が出ています。
また中国としても、アジア開発銀行の運営などで実績のある日本の参加を望んでいるとみられています。
日本は、AIIBが年内に設立されるまで参加は可能とみていて、引き続き中国側の出方を見守るとともに、日本と同様の立場を取るアメリカと緊密に情報を交換しながら、参加についてさらに慎重に判断していく方針です。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150331/k10010033351000.html
AIIB 日本は当面参加を見送り
中国が設立を提唱しているAIIB=アジアインフラ投資銀行について、日本は組織運営の透明性が確保されるかどうかを確認する必要があるとして当面は参加を見送り、引き続き中国側の出方を見守るなど、慎重に判断していく方針です。
日本は、財務省を中心に国際機関が融資や投資を判断する場合、参加国の利害を調整する理事会の設置が必要だと主張し、融資や投資がどのような審査を経て決定されるのかなど中国に説明を求めてきましたが、明確な回答を得られていないとしています。
またAIIBは中国の強い発言権が予想され、日本とアメリカが中心となって設立したアジア開発銀行や世界銀行など既存の国際機関にとって、支援の枠組みを揺るがすことも懸念されるとしています。
さらに、日本を抜いて世界第2位のGDPまで成長した中国が、経済力を背景に領土問題など外交的な圧力を一層拡大しかねないという懸念もあります。
一方、政府内には、インフラ輸出の推進やAIIBの運営の透明性を確保するためにも、参加する必要があるという指摘が出ているほか、経済界からも参加に期待する声が出ています。
また中国としても、アジア開発銀行の運営などで実績のある日本の参加を望んでいるとみられています。
日本は、AIIBが年内に設立されるまで参加は可能とみていて、引き続き中国側の出方を見守るとともに、日本と同様の立場を取るアメリカと緊密に情報を交換しながら、参加についてさらに慎重に判断していく方針です。