2014/11/09 ウェストミンスター小教理問答26「私たちの王であるキリスト」
イザヤ書三三章二二節
キリストとは、預言者・祭司・王の三つのお働きをしてくださる方です。というお話しをしてきましたが、今日は、イエス様が私たちの王様であられる、という素晴らしい恵みを覚えましょう。イエス様が「ダビデの子」と何度も呼ばれました。今のイザヤ書の預言も、お生まれの直前にも、
ルカ一33「彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」
と預言されていたことも、イエス様が王である、と言っています。
問 キリストは、王の職務をどのようにして遂行されますか。
答 キリストは、私たちをご自身に従わせること、私たちを治め、守ること、また、彼と私たちのすべての敵を抑え、征服すること、によって王の職務を遂行されます。
さて、これは素晴らしい告白なのですが、その前に、「王様」とはどんな人だと思っているでしょうか。子どものゲームで「王様は誰だ」というのがありますが、みんなが「王様」になった人の真似をしなければなりません。なんだか、偉そうな人、みんなが言うことを聞かなければならない人、と思ってしまいます。最近、マンガや映画になった「王様ゲーム」という小説がありますが、あれも「王様からの命令は絶対に従わなければならず、従わないと殺されてしまう」というお話しだそうです。こういうのを「暴君」とか「独裁者」とも言いますが、もしイエス様がそういう意味で、偉そうにしていて、好き放題に振る舞う王様だ、というならとんでもないことになってしまいます。決してイエス様は、そんな悪い意味で王様なのではありません。
けれども、そういうひどい王様に現れるように、人間には、自分の好き勝手に振る舞って、人に命令をし、わがままになる、自己中心的な恐ろしいところがあるのだなぁ、とも思わずにはおれないのです。王様や神様や何様のつもりになって、自分のしたいように人を動かしたい、言うとおりになったらいいのになぁ、と思う気持ちはありませんか。王様のようになりたい、と考えていないでしょうか。
もしも、イエス様が私たちの所に来られて、救いの知識や、神様の道について教えて下さっても、私たちの中のワガママが強くて、それを拒んだり、自分のほうが偉いような態度を取ったりしたら、私たちは、折角の救いをもらわなくなってしまうかもしれません。人間社会には「拒否権」というものがありますが、神様に対しても「私は嫌です」と断ることが出来たら、神様の救いは、私たち次第になってしまいます。そして、私たちは頑固ですから、本当に神様に従うことなど自分の力では出来ないのです。神様にすべてをお任せするとか、神様にすべてをお捧げる、という本来のあり方に戻らずに、なんとか自分の自由や権利を残しておきたいものです。
でも、有り難いことに(本当に、有り難いことに!)イエス様は、私たちの預言者、祭司、だけでなく、王でもあられます。今日の信仰告白では、
私たちをご自身に従わせること、私たちを治め、守ること、また、彼と私たちのすべての敵を抑え、征服すること、によって王の職務を遂行されます。
と言われています。まず、私たちを、イエス様ご自身に従わせてくださいます。私たちの中に「従いたくない」「従わないほうが楽しいんじゃないか」という迷いや恐れがあっても、それで引き下がるような王だったら、王ではありません。私たちがイエス様に従うように導いてくださるのです。良い王様は、国の中に問題が起きても、ちゃんとそれらを解決します。でも、すぐに軍隊を送ったり、脅したりして、無理矢理やるのでは困ります。国民の安心や成長になって、平和に結びつくような、賢い方法を考えるのが、「よい王様」ですね。民の気持ちや思いを深くくみ取るのが、正しい政治です。同じようにイエス様は、よい王様ですから、私たちを無理矢理に「従わせる」「信じさせる」のではなくて、心の深い所に働いて、信じる心、従おうという決心へと導いてくださいます。そして、私たちが病気になったり、弱くなったり、間違ったりして、神様から離れそうになっても、そうなったら裁いて滅ぼす王ではなくて、「治め、守る」と約束されています。私たちを「治め、守ること」で、最後まで私たちを救いへと導いて下さる王様ですね。それを安心して信じて良いのは、イエス様が、預言者・祭司だけでなく、「私たちの王」という意味でも、贖い主キリストであられるからです。
そして、もう一つ、イエス様は、イエス様ご自身と私たちのすべての敵を抑え、征服すること、というのも、イエス様の王様のお仕事です。王様は、国の中を守るだけではありません。外から来る敵がいれば、しっかり国を守り、敵を打ち負かしてくれるのも大切なお仕事です。イエス様に逆らう敵には、サタンがいますし、神様に最後まで逆らう人々もいます。そのどちらも、イエス様よりも強いことはありません。イエス様は、必ずその敵を打ち負かし、最後には征服して下さいます。
けれども、忘れてはならないのは、イエス様が、やがて王となられて、すべてを治められるというだけでなく、今すでに王であると聖書は教えている、ということです。イエス様の力は、今、もう完全に全てを支配しておられます。
マタイ二八18わたしは天においても、地においても、いっさいの権威が与えられています。
と言われました。「一切」ですから、学校、勉強、仕事、遊び、テレビや世界の全てのことにおいて、イエス様は王である、ということです。
人間の側からすると、みんなはイエス様が王だとは思っていないし、自分が王様のようになろうとしているかもしれません。でもイエス様は、どんな所でも王であられて、人間の身勝手な振る舞いやサタンの悪巧みを、最後の滅びへと導いておられるのです。
ですから、私たちは、いつも祈りましょう。イエス様、あなたが全ての王であられることを信じます。どうか悪を滅ぼして下さい。今はどんなことがあっても、イエス様はここにも働いておられて、私たちを守り、治め、ますます神様に従わせてくださいます。有難うございます。いつもこのことを信じて、告白して、イエス様を賛美しながら歩ませて下さい。イエス様以外の言葉や力を恐れることなく、正しく歩めますように、と!