聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2022/2/6 Ⅰ列王記19章、Ⅱ列王記2章「エリヤとエリシャ」こども聖書㊻

2022-02-05 12:31:21 | こども聖書
2022/2/6 Ⅰ列王記19章、Ⅱ列王記2章「エリヤとエリシャ」こども聖書㊻

 先回まで、預言者エリヤの話を見てきました。エリヤは、時の王に立ち向かって、干ばつを宣言し、彼が祈ると天から火が下る奇蹟まで起きました。しかし、その華々しい奇蹟によっても、王や民が回心して、主なる神に立ち戻ることはありませんでした。失意の中で、主がエリヤに示されたのが、若いエリシャに、後を継がせることでした。

Ⅰ列王記十九16…シャファテの子エリシャに油を注いで、あなたに代わる預言者とせよ。

 最初にエリヤがエリシャを見つけたとき、エリシャは畑で耕していました。

19エリヤはそこを去って、シャファテの子エリシャを見つけた。エリシャは、十二くびきの牛を先に立て、その十二番目のくびきのそばで耕していた。…

 十二軛とは十二対、二十四頭の牛を持っていたのですから、エリシャの家はとても裕福であったのかもしれません。アハブ王でさえ干ばつで家畜を生き延びさせるのに頭を抱えていたのですから。ともかくエリシャは畑を耕していました。それでも構いません。

…エリヤが彼のところを通り過ぎるとき自分の外套を彼に掛けたので、20エリシャは牛を放って、エリヤの後を追いかけて言った。「私の父と母に口づけさせてください。それから、あなたに従って行きますから。」



 「外套」を掛けられたエリシャは「あなたに従います」と言いました。今でも、自分の仕事着、ユニフォーム、また服を、自分の後継者に与える、という仕草はありますね。エリシャはエリヤから、外套を着せられたのです。こうしてエリシャはエリヤとともに数年間、預言者としての訓練を受けました。その間にあの王アハブは死に、その子も死んで新しい王になりました。エリヤももう世代交代です。主はエリヤに二つの町を回らせました。エリシャは待っているようにと止められても、エリヤから離れませんでした。二つの町は、どちらにも預言者の仲間たちがいましたから、エリヤは彼らに最後の挨拶をして、エリシャをよろしく頼んだのかもしれません。二つの町で、預言者の仲間から、

3…ベテルの預言者の仲間たちが…5…エリコの預言者の仲間たちがエリシャに近づいて来て、彼に言った。「今日、主があなたの主人をあなたから取り上げられることを知っていますか。」エリシャは、「私も知っていますが、黙っていてください」と答えた。

 エリシャとエリヤの関係は「あなたの主人」と言われるほど、親しかったのです。だから主がエリヤを取り上げられると分かっていても、「黙っていてください」と言ったのでしょう。そうして、二人はヨルダン川へ行き、川の向こうに渡りました。

9渡り終えると、エリヤはエリシャに言った。あなたのために何をしようか。私があなたのところから取り去られる前に求めなさい。」するとエリシャは、「では、あなたの霊のうちから、二倍の分を私のものにしてください」と言った。

 「二倍の分」とは、欄外に参考箇所として挙げられている申命記21:17では、

長子として認め、自分の全財産の中から二倍の取り分を彼に与えなければならない。その子は父の力の初穂であるから、長子の権利は彼のものである。

 長男は「二倍の取り分」をもらう。今では不公平に思える規定ですが、当時はとても必要な規定でした。誰が家の後を継ぐのかは、とても大事な事だったのです。エリシャが「あなたの霊のうちから二倍の分を私のものに」と願ったのは、エリヤの長子としてください。あなたの後継ぎとして私を祝福してください、という意味でした。エリヤは嬉しかったでしょうか。その大変さを思って心が痛みもしたでしょうか。

10エリヤは言った。「あなたは難しい注文をする。しかし、私があなたのところから取り去られるとき、あなたが私を見ることができれば、そのことはあなたにかなえられるだろう。できないなら、そうはならない。」

 エリヤは自分が取り去られると知っていました。しかし、その時、それをエリヤが見ることが出来るかどうかは分かりません。この事は主とエリシャに任せたのでしょう。

11こうして、彼らがなお進みながら話していると、なんと、火の戦車と火の馬が現れ、この二人の間を分け隔て、エリヤは竜巻に乗って天へ上って行った。




 さてエリシャはエリヤが取り去られた時、エリヤを見ることが出来たのでしょうか? そう、見えなくなる前に見た、のですね。ですから、エリシャの願い通り、彼はエリヤの霊のうちから二倍の分をもらう、つまりエリヤの長子・後継者となりました。その証拠に、最初にエリヤから掛けられた外套が、エリシャには残されました。

…彼は自分の衣をつかみ、それを二つに引き裂いた。13それから、彼はエリヤの身から落ちた外套を拾い上げ、引き返してヨルダン川の岸辺に立った。

 こうしてエリシャはエリヤの外套を着、働きを引き継ぎました。難しい、大変なこと、辛い別れも伴う事でしたが、その業が後々にまで引き継がれ、私たちに手渡されています。難しく、辛い別れもある、でも、主の働きをするこの尊い働きを受け継いでいます。そうして、今ここから派遣されます。「でも、エリシャは火の戦車を見たけれど、私たちにはいないもの」と言いたくなるでしょうか?後に町が敵に包囲されて、召使いが恐怖に絶望した時、エリシャはこう言いました。

Ⅱ列王記六章16節…「恐れるな。私たちとともにいる者は、彼らとともにいる者よりも多いのだから」と言った。17そして、エリシャは祈って主に願った。「どうか、彼の目を開いて、見えるようにしてください。」
主がその若者の目を開かれたので、彼が見ると、なんと、火の馬と戦車がエリシャを取り巻いて山に満ちていた。

 見えなくても、火の馬と戦車が私たちを山と囲んでいる。ワクワクしませんか。主は、見えない守りや一瞬の励ましで取り囲んでくださいます。だから、勇気と希望をもって、主を証し出来ます。やがて私たちも次の世代に、この証しを手渡していくのです。



「エリヤの神、エリシャの神、そして私たちの主イエス様。エリヤからエリシャへと働きが受け継がれた中にも、尊いドラマがありました。どうか、あなたが委ねてくださっている働きも、あなたの恵みの中で輝かせてください。難しいことをもあなたが許されるならば果たされます。どうか、力を与えてください。一瞬の励ましをも見させてくださって、あなたの御業を証しさせ、また次の世代へと引き渡していかせてください」
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