風のBLOG

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2017年 秋 『ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎』 九州巡回公演 第9週目

2017-11-26 21:37:59 | 全国巡回公演

9月下旬から始まった『ジャンヌ・ダルク』の九州ツアーも、気が付けば2か月たち12月に入ろうとしています。

トップの写真は、長崎県の小浜高校にて終演後の撤去作業を手伝ってくれた有志の生徒さんです。

第9週目は、

11月20日 (月)中津東高等学校

11月21日 (火)中津北高等学校

11月22日 (水)大分工業高等専門学校

11月24日 (金)小浜高等学校

大分から長崎へ九州を横断する中で、新たな出会いや再会、そして風が歩み続けてきた道のりをより鮮明に感じることのできた1週間になりました。


中津東高等学校

最初の学校は、シャルル7世を演じる石岡和総の母校での公演です!

前回の『ハムレット』と同様に公演中も終演後も、とても元気な姿を見せてくれました。

なんとお手伝いに参加してくれたサッカー部のコーチを務める先生は、石岡の同級生でした。開演前の挨拶で担当の先生がそのことを伝えた瞬間、客席の驚きの声がとても印象的でした。

公演は、とても自由に演劇を楽しむ姿を失わずに、終始、真剣な眼差しを舞台に注いでくれました。学校の雰囲気は、在校する生徒さんや先生方によって常に変化していくものだと思います。しかし、この日の公演は以前、ハムレットを上演した中津東高校を鮮明に思い出すほど、変わらぬ表情に出会わせてもらいました。

写真は卒業生から在校生に色紙の受け渡しです。

石岡自身にとっても、この体育館で在校中にハムレットを観劇し、風への入団を決心した彼のスタート地点です。あの時、客席にいた石岡と共に舞台に立っている喜びと、その彼が劇団員として高校生の前に立っているこの時間の流れが、風の巡回公演を行い続けるとても大切にしたい意義を発見させてくれました。

終演後のお手伝いも、当初サッカー部の生徒さんと聞いていましたが、野球部や女子バスケ部と快く参加してくれました。先生方もそんな彼ら、彼女たちの背中を見つめながらも、十代に負けない姿で劇団員と共に動いてくれました。

 

そして中津市2日目は

中津北高等学校

朝、学校に到着するとすでにお手伝いの生徒さんが体育館で待っていてくれ、「公演楽しみにしてました!」と寒さを吹き飛ばすほどの笑顔で劇団員を迎えてくれました。

開場すると体育館に広がる驚きの声が、朝の時間をギリギリまで参加してくれた生徒さんだけではなく、学校全体が演劇を待ち望んでいてくれていたことを感じさせてくれました。公演は朝の笑顔と打って変わってひりつく様な緊張感を持ちながら、ジャンヌの姿を目で追っているようでした。

カーテンコールでは、担当の先生から”中津北流のお礼”を全校生徒と先生方から盛大な拍手でいただきました。
そして、終演直後の退場指導を行う先生が一言「すごい舞台だね。ここに置いておいてほしいね。」と生徒さんたちに語り掛けている声に、舞台裏にいた劇団員はとても嬉しく、また公演の終わりと別れが近づいている寂しさを共有した気がします。

先生の言葉に背中を押されてか、急遽、舞台裏見学が行われました。

撤去作業には朝に参加してくれた皆さんだけでなく多くの生徒さんが参加してくれました。劇団員が事細かに説明する必要のないくらいに、自分たちでどのように運ぶべきかを話し合いながら、考えて動いている姿がとても印象的でした。


大分工業高等専門学校

雨がパラパラと降るなか、この日も朝から学生会の皆さんが大道具搬入作業を手伝ってくれました。それも一限の授業のない学生は、搬入が終わるまで参加してくれ、授業のある学生さんは少し後ろ髪引かれるような姿を見せてくれました。

高専での公演は一般の高等学校と異なり5年間の一貫教育があるので、普段の公演よりもより幅の広い年齢層との出会いがあります。1年生から3年生の他校と変わらぬ高校生らしい反応から、4年生・5年生のより批評的な視線も相まって互いに楽しむことや、真剣に見つめることを再確認させあいながら舞台を見つめていました。終演後の挨拶では学生会長さんが「僕にはジャンヌのように神の声は聞こえませんが、学生たちの声をよく聞いて学校をより良く出来るようにしていきたいです。」と、いま観た演劇をすでに自分のものにし、真摯に学生に向き合おうとする立派な姿に出会わせてくれました。

終演後の撤去作業もまた学生会の皆さんが参加してくれ、自分たちで声をかけ合いながら他の人の作業をしっかりと見つめ、進んで手を出し協力的に作業を行っていました。演劇は俳優や演出、照明や音響、舞台美術と様々な人間が関わる芸術だからこそ、私たちも日々の作業についても意見の出し合いや、協力することの重要性をお手伝いの皆さんにも伝えたいと考えています。

普段の姿に戻った体育館。『ジャンヌ・ダルク』の公演を共に創り、お互いの胸の中に今日という日を持ち続けたいと願い座長の柳瀬は最後の挨拶をいています。

そして写真には残せませんでしたが、こちらの学校には中津東高校で石岡の担任をされていた先生が、教え子の姿を観るために来てくれていました。

 

小浜高等学校

第9週目、最後の学校は長崎県の小浜高校です。なんとも嬉しいことにこちらでも朝の寒いなかから搬入作業に沢山の生徒さんが参加してくれました。開演直後から演劇との出会いに驚きの表情を持ちながらも、とても集中した視線を舞台に注いでくれていました。

何よりもジャンヌに最後に審判を伝える台詞では、とてもショックな表情とジャンヌの内面を必死に感じ取ろうとしていた生徒さんたちがとても印象的でした。

舞台撤去の時には観劇の時と同じくらいに集中し、楽しみながら作業していた姿が劇団員に大きな喜びを与えてくれました。ジャンヌ役の高階と話したいと、有志で最後までお手伝いをしてくれた生徒さんを加えると50名近くのお手伝いがありました。

全校生徒230名もいない小浜高校ですので、1/5の生徒さんがいたことに後になって驚かされました。

ジャンヌ・ダルクの九州ツアーも折り返しを過ぎ、来週で11月が終わります。

第9週目を終え、自分たちが舞台に立つことから演劇の創りだす様々な可能性に出会わせてもらった一週間になったと実感しました。沢山の出会いがあり、常に別れのなかで巡回公演を突き進んいきますが、必ずどこかで出会えることを信じ次の公演の地に向かっていきます。

生徒を見守る先生方の姿や願いを真摯に受け止め公演を続けることが、見守られていた存在が舞台に立ち、見守る存在になっていることに驚きと責任をより強く感じました。

風は冬の寒さに負けることなく九州を駆け抜けていきます。

風のバスとトラックを見つけたらいつでも声をかけて下さい!再会の日を心待ちにしています。

 

アンセラン/ピエール・コーション

白石圭司


2017秋『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』東・西日本巡回ツアー最終週

2017-11-26 16:08:13 | 全国巡回公演

9月から始まった『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2017秋 東・西日本巡回公演は、

11月6日[月] 金光大阪中学校・高校(大阪府/同校体育館)

11月7日[火] 中百舌鳥中学校(大阪府/同校体育館)

の公演で最終週を迎えました。

ブログの投稿が遅くなり、両校のみなさん、本当にごめんなさい。

この週は両日とも大阪府での公演。エネルギー溢れる生徒さんたちと、その生徒さんたちを想う先生方に支えられ、学校と劇団が一緒になって演劇の場をつくれたと感じる2日間でした。

金光大阪中学校・高校

前日の日曜日、学校の体育館で舞台の仕込みを行いました。金光大阪中学校・高校の大きな体育館は2階にあります。そこへ、今さっき試合を終えたばかりのサッカー部の生徒さんたちがお手伝いに来てくれました!部活の指導をされている先生と楽しそうに声を掛け合い、軽快なフットワークで荷物を運び込んでくれたサッカー部のみなさん。試合後すぐに駆けつけてくれてありがとう。みなさんの笑顔や、絶妙なチームワークに元気をもらいました。

そして公演当日。体育館は生徒さんと先生方でいっぱいになりました。体育館の水銀灯が消え、いよいよ芝居が始まります。およそ1000人の視線が舞台に注がれました。始まりから終わりまで、本当に集中して、目の前で起きていることを見続けてくれました。中学生が笑うことで空間が和らいだり、高校生が引き締まった雰囲気をつくったり、と、色々な場を生み出してくれました。

終演後には演劇部のみなさんと座談会・舞台見学を行いました。話を聞いてみると彼らは、自分たちのこれからの活動について、とても真剣に考えていました。舞台装置、音響、照明、俳優や演出、今日見て、聞いて、触れたすべてに関心を持ってくれていました。模索をしながら、お互いに言葉を交わし合い、「みなさんがつくりだしてみたい演劇部」を探し続けてほしいと思います。

さらに、サッカー部、野球部のみなさんが撤去のお手伝いをしてくれると事前に伺っていたのですが、なんと!嬉しい悲鳴が上がるほどたくさんの部活動の生徒さんが撤去作業のために集まってくました。みんなとてもいい表情で俳優と話したり、積極的に荷物を運んでくれたり、頼もしかったです!とてもいい時間と思い出をつくることができました。

この公演を行うために、担当をしてくれた西村副校長先生も、みなさんが芝居を見る姿や手伝いをしてくれる姿に喜んでくれていました。金光大阪中学校・高校のみなさん、ありがとうございました。また再会できることを願っています。


中百舌鳥中学校

中百舌鳥中学校での公演も、記憶に刻まれる一日となりました。

体育館に入場して来た中百舌鳥中学校の生徒さん。私たちも驚くほどの元気の良さで、これから始まる芝居で、どんな出会いができるのか、ドキドキワクワクしていました。

開演直前、担当の周藤先生が生徒さんたちに呼び掛けます。『一瞬でも目を逸らすと、場面は変わっているかもしれません、大切なことを見逃さないように、見てくださいね!』

先生が生徒さんたちに声を掛けた通りみなさんは、細かな動きから言葉まで、どんな瞬間も見逃さずに、あちらこちらで舞台で起きていることに反応をしていました。思いきり笑い、疑問に思ったことは言葉にし、真剣になり、集中する。客席のみなさんの迫力には驚かされました。凄かったです。終演後の撤去の時間も、体育館の中は笑い声でいっぱいになり、賑やかでした。誰も彼もが一生懸命に進んで荷物を運んでくれました。面白い話を聞かせてくれたり、丁寧に挨拶をしてくれたり、優しく声を掛けてくれたり、本当に楽しかったです。部活が始まる寸前までみなさんは撤去作業に協力してくれました。中百舌鳥中学校のみなさんのこと、忘れません。いつかこの日のこと、思い返してくれたら嬉しいです。

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2017年秋の巡回公演は幕を閉じました。この秋も、たくさんの出会い(そこには積み重ねてきた色んな時間も)がありました。『今日出会ったばかりなのに、こんなふうに話ができるなんて。別れを言うのが寂しい。会えて良かった。』と、言葉を贈ってくれた生徒さんがいました。直接言葉を交わし合うことが出来たあなたのなかに、演劇と言う場を通じて出会うことが出来たあなたのなかに、いつか、何かが起きること(自分に自信を持ったり、人や物事と向き合う始まりを見いだしたり)を、私たちは願って、その一瞬に自身のすべてを懸けて旅を続けてきました。この度の時間と出会いと記憶を体に刻み、これからも真摯に人、演劇と向き合っていきます。

生徒のみなさん、先生方、本当にありがとうございました。

アニー・サリバン役: 渋谷愛