風のBLOG

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『Touch~孤独から愛へ』2021年秋 全国巡回公演ツアー 第2・3週目

2021-10-10 19:54:24 | 全国巡回公演

全国の緊急事態宣言が解除になり、本格的にツアーも始動し、Touch班の公演は9月から10月をまたぎ、新たな試みと共に各地を駆け巡りました。

 

9月29日(水) 山梨県 甲府城西高等学校

10月1日(金) 兵庫県 北摂三田高等学校

10月3日(日) 愛知県 知立市文化会館自主事業『Touch~孤独から愛へ』バリアフリー公演

10月5日(火) 広島県 呉昭和高等学校

10月7日(木) 群馬県 みなかみ町立水上中学校 

 

甲府城西高等学校

9月の段階で山梨県のまん延防止重点措置は解除にはなりましたが、全国的に緊急事態宣言の解除を待つ段階でありました。

写真では見えづらいと思いますが前列7列を空け、一人ひとりの間隔を広げ、上演中は劇場の扉を開けて密・密閉を避けての公演を行いました。

劇場の扉が開いているという決して観やすい状況ではなかったと思いますが、生徒の皆さんの眼差しは静かに舞台に向けられていました。

クスクスと笑いを堪える姿や、ラストシーンでは涙を見られまいと前のめりでそっと拭いている姿が印象的でした。

全校生徒がマスクをしての観劇が日常的になっていますが、マスクの下で一人ひとりの表情が浮き上がっているように見えました。

 

北摂三田高等学校

密を避けての公演を考え、本番を午前・午後の2回公演を行うため、前日に学校へ向かい仕込み作業を行いました。

学校に到着するとバレー部・男子バスケットボール部の約40名の皆さんが、搬入作業を手伝うために待っていてくれました。

荷物を運ぶという作業にとらわれずに、公演を行うための協力者として活き活きと参加していてくれた皆さんの姿に劇団員は驚きと共に次の日の本番が楽しみになりました。

そして2回の本番を終え、バラシの時にはなんと200名近くの生徒の皆さんが参加してくれました。

各部活のチームワークや学年ごとの仲の良さだけでなく、声を掛け合い枠組みに捕らわれずに学校全体が行事と向き合っている姿に北摂三田高校の底力を見ました。

本番を見つめる生徒の皆さんは真剣な眼差しと共にしっかりと舞台を支える力を持って2時間、北摂三田高校の”Touch”を共に創りあげていました。

 

 

知立市文化会館自主事業 『Touch~孤独から愛へ』バリアフリー公演

 

2019年5月に『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2021年の2月に『星の王子さま』でバリアフリー公演を行った【パティオ池鯉鮒・かきつばたホール】で、

『Touch~孤独から愛へ』のバリアフリー公演の初公開を迎えることが出来ました。

開演の前には舞台説明を行います。俳優が舞台上で舞台の広さや道具の位置を足音や声を駆使して説明し、舞台手話通訳者が俳優の言葉を客席に繋ぎ、字幕もそのサポートを行いながら進めていきます。

会場の入り口には、Touchの舞台になっているアメリカ合衆国・北フィラデルフィアの位置を触って把握することが出来る立体地図と、舞台の構造を把握するための立体図が設置されています。

様々な交流に備えて手話以外にも、筆談や身体表現を駆使し舞台での対話を劇団員全員が行いました。

交流の中には、音声ガイド監修・大河内直之さんの点字を出す装置に興味を持って触っている姿もありました。

舞台手話監修の河合依子さん主催の“岐阜ろう劇団いぶき”の皆さんも駆けつけてくれました。

 

呉昭和高等学校 

今年の9月に公演を予定していましたが緊急事態宣言下に伴い、延期となりましたが10月の公演が叶った呉昭和高校。

この学校は3年後には閉校となってしまうため、3学年が揃う最後の年と伺いました。

そして「今年の3年生は修学旅行を4回延期しても実施できなかった。体育祭・文化祭も縮小し生徒には芸術鑑賞行事だけはどうしてもやりたかった」と座長の柳瀬が校長先生から伺いました。

校長先生は開演前に、「登場人物が何を見て、社会からどう見られているのかをしっかり見つめてほしい。彼らの姿から自分自身の生活をしっかり見つめてほしい。」

と生徒の皆さんの未来へ向けたメッセージを送りました。

 

水上中学校

風の活動拠点であるみなかみ町の中学校での公演でした。

水上中学校は今年度で3校の統合により、閉校してしまう学校です。

そして本来であれば9月に実施の予定でしたが、コロナの影響で延期となりました。しかし、閉校前の行事として先生方のご尽力によってこの日を迎えました。

コロナ禍において、子供たちの体験する機会や経験の場が失われていく中、それでも子供たちには経験という瞬間瞬間の中での学びは必要です。文化芸術を通して私たちが演劇の場から先生方の願いを届け、子供たちの輝く表情を生む協力が出来ればと日々の公演の場から考えます。

 

今週、初日に伺った甲府城西高等学校の芸術鑑賞行事担当をされた先生が開演前の挨拶の中で、

「この状況下の中で、本当に実施できるのかどうか直前まで不安でした。今日、実施できることが本当に嬉しい。しかし、開演できることが成功ではない。生徒の皆さんがこの公演を観て喜べることが成功と言えると思います。」

開演の直前にハンマーで殴られたかのような言葉でした。公演を迎えられたことを喜んでいる場合ではない。私たち風が向き合う客席は真剣な眼差しの中から舞台に様々な主体を持ち込んでいます。

担当をされている先生方、事業担当の皆さん、そして保護者の方々も客席を見つめる存在として様々な想いが交錯していると言えます。

そして舞台を見つめる客席は今の状況に抗うかのように、演劇に触れることや出会いの経験・この時間を共有している瞬間瞬間を捉えている。

日々、一校一校、一人ひとりの客席に出会う為に、”Touch=触れる”ことを題名とした風の舞台が一人ひとりの心に触れる公演を行えるよう劇団員一致団結しこれからのツアーを駆け抜けて行きたいと考えます。

 

STAFF 白石圭司