かずさんの、ふらり日々是好日の記

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665 「悪気はなかった!!」は免罪符か?(事例2 副資材無償提供の評価申告もれ)

2009-06-04 | 関税評価
 企業のコンプライアンス状況を重視する通関制度が整備されるとともに、関税法における加算税制度が定着期を迎えています。

輸入者にとって、税関による税務調査(事後調査)はそれなりに身構えて迎えることですが、上場企業のような輸入者では、① 海外製造の発注担当 ② 発注担当の連絡によって副資材を海外製造委託先に輸出する担当 ③ 海外製造委託先のインボイスを受取り通関業者に輸入通関を依頼する担当 ③ 輸出者との間の決済をおこなう経理担当 がそれぞれ異なることや、どれからの担当が異なることはまま有ります。

事例2 
どのような申告をして通関したかは税関の調査官は承知していますから、税務調査ではインボイスに表示の決済金額以外に、関税定率法の関税評価事項がないかどうかがチェックされます。

事例1のような契約価額(決済金額)とインボイス価額が異なるということは、原則としてありえないことですが、関税評価による加算要素があるにも係わらず申告していないことは、毎年の税関事後調査結果を見ても、そう、珍しいことではありません。

 婦人アパレルを中国に製造委託し、製品を日本に輸入して販売することを業務の一部としている会社があります。
その際、ファスナー、ボタン、その他の副資材は日本から無償供給していますので、その提供費用は輸入申告に当たり評価申告をして加算する必要があります。

この会社への税関の事後調査は、2年に一度行なわれており、前々回の2005年調査、前回の2007年調査の際には、多くの輸入についてこの加算漏れが指摘され、修正申告をして過少申告加算税を納付しています。

会社は、調査の都度、このような場合には関税評価するように社内周知・指導していますが、なにぶん担当者が多く、入れ替わりもあるため、十分浸透せず、2009年調査でも同じような指摘を多々受ける可能性があります。これまでと同じように修正申告すればいいでしょうか?

税関がどう判断するかの問題で、第三者が安易に想像するのはひかえますが、適正な関税評価を行なうよう社内管理をしていないと、以下のような関税法での処分がないとは言えないという頭の体操をして見ます。

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1 重加算税はご承知のように「仮装、隠ぺい」があった場合に課されますが、この事例のような場合に、何度も無償提供資材で過少申告をしていたような時に、無償提供の事実を隠ぺいしていたとして重加算税を課されることになるのかどうか、判断に迷うところです。

 今のところ、このような例があるのかどうかの情報はありませんが、今後の当局の動向が注目されます。 

2 一方、同じ会社が、何年も同じ間違いをし続けて改善されないと、副資材を加算して申告すべきということは認識しているにも係わらず、意識的に申告していないとみなされる余地があり、もし、そうなら税のほ脱の意思ありとして、犯則調査の対象になりうることになります。

税関の犯則調査の背景は、発表された内容以外は窺い知る事が出来ませんが、この事例のようなことを背景にした犯則調査が行われうることは否定できないでしょう。

また、税のほ脱罪は、「・・・偽りその他不正の行為により関税を免れ・・・」(関税法第110条)と、故意がその成立要件です。

 もし、故意や未必の故意は無かったことが調査で明らかになったとしても、前回の664の最後に記載したように、「重過失による虚偽申告」罪に問われる可能性があります。

事例の会社は、輸入を業務としていますから、誤った申告をしたことについての重過失を広く認定されても抗弁しづらい立場にあると考えられます。

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日本郵政が、障害者団体向け郵便料金割引制度を悪用してダイレクトメール(DM)を送った郵便法違反事件に博報堂子会社の「博報堂エルグ」がかかわったとされ、同社役員が起訴されていることを受け、博報堂と新規の広告契約を当面見合わせる方針を明らかにしたとの報道がありました。子会社のコンプライアンスの不始末は、親会社に及びますね(~_~;)
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花の彫刻家といわれるエミリオ・ロバの「マグノリア」が気に入って、何人かの方への新築祝いや、ちょっとした贈り物に利用していますが、好評です。使えますよ(^^♪







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