かずさんの、ふらり日々是好日の記

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652 無償提供金型などの関税評価レベルの向上プログラムが必要?

2009-05-14 | 関税評価
 こんばんは。
 同業の友人との会話は、趣味や旅行、健康、経済の話などとともに、AEO制度への対応や、低迷する輸出入貨物量など多岐に及びますが、輸出入者にとってインパクトのある税関による立入調査の内容に話題が集まることがあります、以下、そのような中での一こまの切り取りですが、読者はどう感じられますか?

 昨年の11月27日に、財務省がホームページで、「平成19事務年度における関税・消費税の事後調査結果」を発表していますが、通関時の輸入申告価格が過小のため税額不足が見つかった品目の上位は電気機器、機械類で、この上位品目は近年、不動の横綱、大関となっています。また、 この品目は、関税無税が多いために、追徴は消費税です。

 申告が過少になった原因は、発表のあった事例を見ると、輸入者が海外での製造や、海外での生産に使用する日本から供給する部分品の国内生産に必要な金型等を、海外向けか、国内向けに無償提供していて、その無償提供の費用を製品の輸入時に関税評価して加算していなかったというものが多そうです。

日本のメーカーが厳しい競争に打ち勝つため、世界規模の最適生産、最適分業を目指す中で、日本で優秀な金型を調達して様々な形で輸入品の製造のため無償提供することは広く行なわれます。
 有償提供すれば、関税評価の問題は出ないわけですが、少しでも見かけのコストを下げるためや、製造サイドの負担軽減のためなどいろいろの理由で無償提供が行われるようです。

この無償提供は、①直接、海外の製造者に提供する単純な方法以外に、②日本の協力工場に無償提供して、それで協力工場が部分品を製造して海外に輸出し、その部分品を使って出来た完成品を日本に輸入するのような場合があり、この双方が一つの輸入品について行なわれることもあります。
 また、近年の、商品サイクルは短くなっています。
 パソコンは年2回のモデルチェンジがあり、新製品を作るごとに、金型が作られます。
 
 税関の調査で、毎年、同じ業種で、同じようなパターンの申告漏れが発見され、しかもそれが上位を占め続けるというのは異常事態といえるでしょう。

 恐らく、コンプライアンスを重視する企業は、世界共通のルールで行われている関税評価について、相応の社員教育を施していると想像できますが、それでも同じ間違いが毎年上位になるということは、

 ① 納税者に制度的に非常識なルールを強いている ②納税者側の教育が不足している ③ 正しく申告するための納税者の事務負担が大き過ぎる ④申告漏れをしてもペナルテイがないか軽いので、当初から正しく申告しなければとのインセンテイブが働き難い ⑤税務当局がさほど問題視していない

などの要因が考えられます。

 ただ、同じような業種の同じような間違いを見つける調査を毎年行なわざるを得ないのは行政効率からは疑問がありそうです。多分、②~④の要因が重なっているのでしょうが、税の公平性に関わることですから、改善に向けた毅然とした対応プログラムが必要かもしれません。

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