ロシアのプーチン首相が来日し、随分精力的に日程をこなされたとのこと。
北方領土返還の課題がどの報道でも取上げられていますが、この来日にあわせ「税関相互支援」、「原子力」、「刑事協力」、「水産物の密漁・密輸入防止」などの協定や覚書が交わされました。
1 税関相互支援協定
税関分野の相互支援協定は、珍しいものではなく1997年の日米の協定を初めとして、経済連携協定の中の一つとして税関の支援を盛り込んだものや、税関の支援だけの政府間協定(今回のロシアはこのケースです。)、税関当局間取決め等、形式はいろいろありますが、19カ国、地域との間で結ばれています。今後も、経済連携協定(EPA)が結ばれる際は、盛り込まれるでしょう。
どの国と結ばれているかは次のページで見てください。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka210512.htm
そこで、この協定でどんなことが変わるのか気になるところですが、麻薬や武器・放射性物質の密輸や、低価申告による脱税などについての相互の情報交換がよりスムーズに行なわれるようになります。
関税法第108条の2(情報提供)には外国税関当局との「一定の条件下」での情報提供ができるとの規定がありますが、相互支援協定が結ばれると、この関税法が求めている「一定条件」が充足されていることを支援協定が担保しています。
また、協定では、情報提供は、指定された職員(コンタクトポイントといわれます。)間で直接伝達することになっていますし、密輸や脱税などについての協力関係はかなり太くなる素地が出来ると考えられます。
なお、コントロールドデリバリー(監視付き移転)といって、麻薬が入っているコンテナーと承知してロシアから日本に輸出を認め日本で摘発して密輸組織の撲滅を図るというようなことへの協力や情報交換も協定の中に入っています。
2 日本海側からの効率物流を提案
中日新聞の報道で、12日に開催された全国知事会とロシア極東地域の各州知事との意見交換会で、石井富山県知事が標記のことに協力を求めたとの記事がありました。
これは、今年の春に、名古屋市内から伏木富山港を経てシベリア鉄道を使ってノボシビルスクに自動車やビールなどを試験輸送した際、ウラジオストク港の通関手続きで10日間かかった、日本や中国なら1-2日で終わるとして、ロシアの通関手続きを短縮してシベリア鉄道等を使った日本海側からの効率的な物流ルート実現するよう求めたものです。写真は、ウラジオストク駅です。
外国の税関手続きについて、いろいろ注文を持っておられる荷主も多いでしょうが、建設的な意見を色んな機会を利用して関係者に伝えることは必要と考えられます。
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北方領土返還の課題がどの報道でも取上げられていますが、この来日にあわせ「税関相互支援」、「原子力」、「刑事協力」、「水産物の密漁・密輸入防止」などの協定や覚書が交わされました。
1 税関相互支援協定
税関分野の相互支援協定は、珍しいものではなく1997年の日米の協定を初めとして、経済連携協定の中の一つとして税関の支援を盛り込んだものや、税関の支援だけの政府間協定(今回のロシアはこのケースです。)、税関当局間取決め等、形式はいろいろありますが、19カ国、地域との間で結ばれています。今後も、経済連携協定(EPA)が結ばれる際は、盛り込まれるでしょう。
どの国と結ばれているかは次のページで見てください。
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka210512.htm
そこで、この協定でどんなことが変わるのか気になるところですが、麻薬や武器・放射性物質の密輸や、低価申告による脱税などについての相互の情報交換がよりスムーズに行なわれるようになります。
関税法第108条の2(情報提供)には外国税関当局との「一定の条件下」での情報提供ができるとの規定がありますが、相互支援協定が結ばれると、この関税法が求めている「一定条件」が充足されていることを支援協定が担保しています。
また、協定では、情報提供は、指定された職員(コンタクトポイントといわれます。)間で直接伝達することになっていますし、密輸や脱税などについての協力関係はかなり太くなる素地が出来ると考えられます。
なお、コントロールドデリバリー(監視付き移転)といって、麻薬が入っているコンテナーと承知してロシアから日本に輸出を認め日本で摘発して密輸組織の撲滅を図るというようなことへの協力や情報交換も協定の中に入っています。
2 日本海側からの効率物流を提案
中日新聞の報道で、12日に開催された全国知事会とロシア極東地域の各州知事との意見交換会で、石井富山県知事が標記のことに協力を求めたとの記事がありました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/ab/ff85e34633b0c471276081007b694be3.png)
外国の税関手続きについて、いろいろ注文を持っておられる荷主も多いでしょうが、建設的な意見を色んな機会を利用して関係者に伝えることは必要と考えられます。
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税関の相互支援協定、今月のロシアとの締結で現在19カ国と締結されました。FTA/EPAと比べて事業者に直接のメリットがないのでいまいち関心が薄くなるかもしれませんが、麻薬のの密輸の防止といった社会的に非常に重要な役割にも関るのでいっそうの充実を望みたいですね。
ひとつ疑問に思ったのですが、税関相互支援の情報交換って、外為法の輸出管理キャッチオール規制のインフォーム案件にもつながってくるのでしょうか? インフォーム案件は聞いた話では税関からのインプットによる発動が多いそうです。
例えば先日の北朝鮮向けタンクローリーの無許可輸出事件は、キャッチオール違反でMETIはインフォーム発動しています。物は韓国の税関で止められています。韓国とも税関の相互支援協定は2004年からありますね。韓国との相互支援協定はなくても今回のこのケースは止められたと推測していますが、同時期にタイムリーに話題として出てきたので、どうなんだろうつながりはあるのかなと思いました。
どう思われますか?
こんばんは。コメントありがとうございます。
税関の相互支援協定と、インフォーム案件との関連は、良く判りません。政府の関係機関のつながりや情報交換の状況は、当事者でない限りうかがい知ることは出来ないでしょう。
日本国内でも、輸出管理に関連しそうな役所は、METIはじめ、税関、警察の公安関係、内閣調査室や公安調査庁などいろいろですし、この関係がどうなっているのかや、まして、外国の関係機関とのつながりは、見えません。
外為法の輸出管理の告発はMETIの権限ですから、先日のタンクローリー事件ををMETIが持ち出したのは判ります。
各国税関は、日々の通関業務で、実際の貨物の動きを見ていますから、この分野からの情報が輸出管理の実効を確保するために役立っているのは想像できそうです。