HIMAGINE電影房

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初春気分にもってこい 『老夫子』

2009年01月05日 | 中華圏映画

 今日から仕事始めの方も多いことでしょう。そんなわけでこのHIMAGINE電影房も活動を再開したいと思います。
 さて今年最初の紹介作品は正月にふさわしくアニメ作品といきましょう。1979年(81年表記もあり)の香港アニメーション映画『老夫子』です!

        

連載開始が1964年という長寿連載ユーモア漫画である王澤・著の「老夫子」であるが、日本ではあたりまえだが知名度はとても低い。過去にツイ・ハーク製作、ニコラス・ツェー主演『恋のQピット』(01)が公開された程度でしかないが、現地では何度も映像化(実写)されており、日本でいえばまるで「サザエさん」か「あんみつ姫」みたいな状況である。この映画は数ある「老夫子」映画の中で最初のカラー・アニメ化作品なのだ。

        

 ストーリーはちょいと説明が難しい。元が4コマ(複数コマの場合もある)漫画なので話があっちへ行ったりこっちへ行ったりと統合性がないのだ。(この辺も「サザエさん」と同じですね)何せこの映画、監督が三人もいるんですからアタリ前です。
 簡単にいうと主人公・老夫子がドジをして働いていたレストランを追い出され途方にくれているとき、ひょんなことで強盗団に手を貸す羽目になってしまい警察には追われ、戦利品のダイヤを奪ったとして強盗団にも追われてしまうという典型的な香港流ドタバタ喜劇なのだ。「香港市民の生活を描写」する『ミスター・ブー!』シリーズやこの時期話題を呼んでいた新浪潮(ニューウェーブ)派の作品とは根っこは同じなのである。

        

 この作品の注目ポイントは画像でも分かるとおりブルース・リー(と思われるキャラクター)を代表するクンフー・武侠映画ネタである。
 給仕として働いていたレストランで、老夫子がインネンをつけるヤクザたちと武侠映画ではお約束の“腕試し”(客棧戯)を行ったり、ブルース・リー(風キャラクター)の武館で道場破りと闘ったり、挙句の果てには擂台戦でアントニオ猪木風レスラーと対決までしてしまうというすばらしさ。あぁ!結局クンフー・武侠映画というのは香港市民にとって「あって当たり前」な存在なのかもしれない。

        

 この映画、実はラストが2通りあって、広東語版では老夫子とその仲間たちが強盗団と失われたダイヤをめぐって倉庫内での対決で(まるで『五福星』だね)、一方の北京語版では擂台戦のリングで強盗団に絡まれているときに、師父であるブルース・リー(風キャラクター)が助けに入り、それを見た各国の武芸者たちが彼を倒そうとリングに殺到するが、難なくこれを退け観客の大声援に答えエンド、というものだ。
 どちらもそれなりにいいが、スタンダードな香港喜劇を堪能したいのならば広東語版、クンフー映画的興奮に酔いたいのであれば北京語版、といった楽しみ方がベストかも。

         


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