その昔、B級ホラー映画ブームの頃に日本ヘラルド映画という配給会社が、「こんなの誰も観ないんじゃないの?」というようなホラーやアクション映画を連続で配給・公開した事があった。『悪魔の改造人間』、『吐きだめの悪魔』『スコルピオン』『片腕サイボーグ』『ドラゴン忍者』…多感な中高生時代だったので、すげー興味あったのだが、残念な事に番組を流してたのが普段ポルノ映画等を上映している3番館だったので、観る事が叶わなかった。いま思えばあの頃までがきちんと《映画館》というものが存在していた時期だったのだな。今やシネコンかミニシアターくらいしかないもんね。
そんなヘラルドによる怒涛のB級映画ラッシュの1本に『CIA殺しの報酬』(1982:米)という作品がある。当時のアメリカ製アクション映画としては珍しく香港チックな格闘アクションがある、という情報だけは日本公開時(87年頃)に雑誌で得てはいたのだが、中々現物にお目にかかれなくて、中古ビデオでも見つけたことはあったけれどスルーしたりして「観たいけれど観たくない」状態が長々と続いたが、それが去年、クンフー&マーシャルアーツ映画ファンの知り合いからコピーを頂いた事からようやく鑑賞のはこびとなった。
「すげー安っぽいんですケド…」
これが20年以上、観る事が出来なかった映画を観た最初の感想だ。話が浅い(これはB級アクション映画だから当然として)、キャストに華がない…正に《儲からない》スパイラル全開、《添え物》《プログラム・ピクチュア》という表現がピッタリな作品である。間違っても単品では上映される事はなかろう。CIAの末端組織で働く主人公が、裏切り者の元CIA情報員を捕らえる任務に就くが、本当の目的は彼がCIAの行った残虐行為について記した手記を奪うためだった。それを知った主人公は手記とそれを託された彼の妹をCIAの放った刺客から守り闘うという内容で、ジョークも寒いし、ラブシーンにも魅力なし。ハッキリいってマーシャルアーツ要素がなければ見向きもしないような作品だった。諜報部員モノのジャンルであればどうにでも内容も明るくできそうなものだが…ちなみにアクション・コーディネーターは韓国クンフー映画ファンにその名を知られている楊成五(タイガー・ヤン)という人物、わたしはよく知りませんが。どうりで格闘アクションの動作がテコンドーぽいわけだ。
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はじめまして、ようこそ当ブログへ!
特殊工作員・諜報部員もののジャンルなので、物語はどうしても暗くなってしまいますね。中途半端なマーシャルアーツ要素がなければ、もっと欧米冒険小説っぽくポリテカル・サスペンス映画になっていた可能性はありますが、場末映画の悲しさかそうはできなかったのでは。あのレベルなら『アメリカン忍者』のほうがよっぽど傑作だと思いますね、私は。
そうなんですか!そんな背景があって製作されたなんて…とにかくご教示感謝いたします。
そうですね。監督や製作者の力量が映画の《見映え》を良くしますからね。