2月の終わり、各地でひな祭りが行われているころ、お隣の八女の町を歩きました。八女は一国一城令で城が破却されるまで、30年足らずですが城下町でした。その後は八女郡の産物の集散地、久留米藩の在郷町として栄えます。この日はお城の南を迂回するように通っている旧往還を歩きました。当時の幹線道路です。写真の枚数が多いので3回に分けて投稿します。
往還の近くにある文政年間創業の酒蔵です。どこでも古くからの町には醸造業があります。今年のお中元はこの蔵元の大吟醸酒にしました。私はまだ口にしたことがありません。
往還の入り口付近。バスが通っているのは旧国道です。往還はここから右に行きます。古い仏壇店がありますが、八女は伝統工芸の産地でその代表が仏壇です。市内には何軒もの仏壇屋があります。
西矢原町。南北に旧八女往還が走っています。ここから南へ歩いていきます。往還沿いは商家が建ち並んでいた往事の面影をいまに残しています。
旧寺崎邸。建物は修復されて雑貨のアンテナショップとコーヒー豆の店が入っています。コーヒー豆の店は久留米にも店舗があり、美味しい豆を売っているので私も利用しています。古民家を修復し、内部を新しい用途に更新するのをリノベーションというそうです。
旧寺崎邸の側面。修復にあたり焼杉板が使われています。
民家の玄関に置かれた箱雛。見学自由でした。箱雛は仏壇屋や大工の副業として作られ豪華な雛飾りに手が届かない庶民のあいだに広まりました。
伝統工芸のもう一つの代表が提灯です。仏壇とも縁が深いですね。このほか八女の伝統工芸には石灯籠、和紙、竹細工などがあります。みなこの地方に産するものが素材です。
旧丸林本家。新しいデザインの久留米絣もんぺをメインに婦人服の店になっています。
右がもんぺの店。左端はゲストハウスとして使われています。硝子戸の張り紙を見ると、大学教授の個人蔵書を並べた私設図書館にもなっているようです。
ゲストハウスの硝子戸に映る旧往還の表情。
仕舞屋になった商店のウィンドウに飾られた、意味のない置物に興味がひかれます。
古松町に来ました。ここから往還は東へ方向を変えます。
角の店の煙草販売。切手も売っていたようです。いまは駄菓子屋になっています。
古民家を利用した酒屋。ネット販売の商社が酒の実店舗として数年前に開業しました。
酒店内の箱雛。店名の由来はこの地区に恵比須様が多いからだそうです。
往還は城の南を東へと延びています。
左の建物は市の指定文化財になっていますが修復の予定はあるのでしょうか。
ことしの初め、真ん中の古民家に竹簾や藤敷物などを製造する企業が店を出しました。
いまの当主は八代目。創業二百年を超える老舗の提灯屋。
ここ八女福島は重要伝建築地区の指定を受け、古民家再生が進んでいます。近年はNPOなどが所有者に代わって建物の修復・管理運営をし、出店者を呼び込む取り組みが行われています。
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