本書は映画女優であり、エッセイストでもある高峰秀子が、その時々の人と行った対談集である。
私が高峰秀子に開眼したのは、2年ほど前、文春文庫で「わたしの渡世日記」を読んでからである。
それまで高峰秀子については映画のヒロインで、「二十四の瞳」や「カルメン故郷に帰る」といった映画に出ていた綺麗な女優さん、としか思っていなかった。しかし、たまたま読んだこの本で、彼女について目から鱗が落ちる思いがした。
「人間......単なるウンコ製造機で終わる人はいないだろう」のくだりを読み、ヒロインがここまで書くかと驚いた。そういえばこの本には「尻の毛まで抜かれる」とか「失禁寸前」とか下ネタが結構多い。
本書には5歳の時、はしなくも子役デビューした後、養母との確執や親戚一同の生活を背負ってきた彼女の半生が綴られている。映画出演のため小学校もろくに通えず、映画を地で行くような、普通ではない人生を歩んだ彼女の足跡が記されている。
また彼女は各界の著名人に愛された。彼女はそれらの人々におもねることなく、自然体で近づいて行った。数多い著書を読んでいると、彼女には一種の覚悟があるように思われる。それは養母の芸名であった高峰秀子を演じ、普通ではない生活を送ってきた彼女が、一番望んでいるのは普通の生活を送るということである。そのために必要でないもの、虚飾は振るい落とすという、彼女の人生観と物事を判断する目が養われた。
要するに、この人は人間が出来ているのである。老年期を迎えた私など、人間が小さいと自省することしきりである。残念なことに、彼女は5年前に死去している。
そこで「高峰秀子かく語りき」である。
彼女が20代の頃から60人近くの人と対談した記録である。分厚い本で、実はまだ少ししか読んでいない。若い時から老年期に至るまでの、彼女の話の変化を見ていくのが楽しみである。
秋の夜長にぴったりの話題。
私も読みかけの、村上春樹の本を今から読もう~!
昨日の、ゴミ分別コストが下がるとは。。。分別=自分の為だったなんて。。。
やる気が出ました!!