ＯＪ （その４）

「じゃあ、誰が本当のマチさんかを判定するクイズをします。

　オカザキジローの誕生日は？」

１番と２番のマチさんが同時に

「２月16日！」と答えた。

３番が真似をして「２月16日」と答えた。

「では、映画『ふられる』でオカザキジローが受賞した賞は？」

１番と２番が困惑しながら目を合わせている。

「日本アカデミー主演男優賞！」

と３番が大きな声で返答した。

「ブー、ノミネートされただけでした。

　今のは引っ掛け問題でした。」

「ずるーい。」と３番が口を尖らせた。

「では、３番の方に質問します。」

「何で私が３番なのよ！」

「まあ、３番目に来たから…、いいじゃない。

　映画『変々』の監督の名前は？」

「え…、北野武監督？」

こいつ、オカザキジローのファンなのかも怪しい。

「ブー。」

「じゃあ、長嶋かんとくう？」

オイオイ。

「五木聡監督よ。」

と１番が答えた。すると、

「イン・ザ・フールも五木監督。」

と、負けじと２番が答えた。

「ちなみに『思考警察』も五木監督です。」

と、１番が言った。

３番がしゃしゃり出た。

「ああ、恥垢警察、見てた見てた。」

「恥垢じゃなくて、し、こう警察。」

「膣口警察！ちゃんと見てたわよ。麻生ブス子と共演してたやつでしょー？」

「麻生仏子！共演者の名前くらいちゃんと憶えなさい。」

「ブス子はブス子でいいのよ。

　何でも撮影中にオカザキと出来ちゃって、その後、オカザキを手ひどく捨てたって話じゃーん。

　あんなの女の敵よ。」

「そんな情報、どこで仕入れたのよ。」

「パーマ屋のお姉さんが言ってたわ。」

「そんなの当てになるもんですか！私の勘では、オカザキジローが麻生仏子を捨てたのよ。」

「それもおかしいわ。二人は仲のいい友達なのよ。」

「あ～ら、男女の仲にほんとの友情なんて存在するかしら？」

「するのよ！」

３人は三つ巴の口喧嘩を始めた。