キューピーヘアーのたらたら日記

ガンバレ日本!!!TB&コメント大歓迎♪

ドンファン (その5)

2008-06-11 17:55:38 | 私が作者です
それからまた1ヶ月がたった。

結果は凶と出た。

まあ、それまでの話でそうなることは良子をはじめ周君以外のみんなにはわかっていたが…。

健さんのアドバイスも、良子を始め関係者全員の心配も全部無駄になってしまった。

「話聞いたげるよ。」

良子は周君にそう言って、2階の廊下の奥のベンチへ誘った。

プレイボーイ周君は攻撃は天才的だが、ひとたびタチの悪い女に引っかかると

防御がてんでなってない初心者ボクサーだったというのが明らかになった。

ただし、打たれ強いボクサーであることもわかった。

「マリアちゃんと連絡が取れなくなっちゃったんです。」

と、しれっと言った。

「連絡が取れなくなったって?」

「ビザが切れて帰国したんですけど、

 彼女が教えてくれた電話番号にかけても繋がらないんです。」

「ふーん。」

「それで、マネージャーに聞けば連絡先がわかるかなって、

 久しぶりにお店に行ったんですけど、お店が潰れてた。

 最近、入管が厳しくなって、女の子を雇い入れられなくなって

 経営が難しくなっていたのは聞いてはいたんですが…。」

「いいかな?

 お父さんが肺の病気で治療代がいるから3万円貸してください、というのも嘘。

 お母さんが糖尿病で2万円貸してくださいというのも嘘。

 結納代に30万円いるっていうのも嘘。

 独身だというのも嘘なら、

 誕生日も嘘。

 あなたに教えた本名だって偽名。

 何もかもが嘘。」

それらは健さんのヨミだ。

「ようやく目が覚めた?」

「はい。」

周君は素直にそう返事した。

「何も外人パブに行かなくったって、周君のまわりには可愛い子がいっぱいいるじゃない。」

「えっ、誰が?」

「たとえば優子ちゃんなんかどーよ。」

あ、こんなこと言っちゃいけない。でも、口に出しちゃった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドンファン (その4) | トップ | ドンファン (その6) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

私が作者です」カテゴリの最新記事