キューピーヘアーのたらたら日記

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『愛について語るときに我々の語ること』 レイモンド・カーヴァー 村上春樹訳

2019-07-24 14:35:23 | 
レイモンド・カーヴァーの短編集。

読むのはこれで3回目だが新鮮だった。

大雑把な位置づけとしては、

『頼むから静かにしてくれ』==>初期

『愛について語るときに我々の語ること』==>転換期

『大聖堂』==>後期

といったところだろうか、、。


以下、僕の感想を書いておく。





『ダンスしないか?』

家の前庭で家具を全部ガレッジセールに出している男。

2対あるナイトスタンドと読書灯が、

かつて彼に妻がいたことを物語っている。

男は昼間から酒を飲み、

日暮れ時に訪れた若いカップルとダンスに興じる。

若い男が飲みすぎに慎重なところの対比が面白い。

人生って、世の中って、

こんなんだねって思わせるとこがいい。



『ファインダー』

ある日突然、玄関に両手のない男が

肩からポラロイドを下げて現れて、

写真を押し売りする。

不気味だ。

だが、主人公は愛想よくその男を受け入れる。

主人公の家は、家族が急にどこかに行ってしまったんだ、

と男は言い当てる。

哀れな男の境遇と主人公の空虚な生活がシンクロして、

不思議な達成感のあるエンディング。




『ミスター・コーヒーとミスター修理屋』

主人公も周りの人たちも、皆ダメ人間。

奥さんも、その愛人も、

愛人の元奥さんも、二番目の元奥さんも、

子供も、65歳の母親も、イカレテいる。


でも、神様は言った。「ダメ人間こそ救われる」


ぐおっ 救われない

どおっ 救われる

うおっ 救われない

どりゃーっ 救われる




『ガゼボ』

中年にさしかかった夫婦が

モーテルのマネージャーの職にありつく。

家賃、電気・ガス料金タダで給料まで出る。

妻は帳簿、夫は設備の保守・庭の芝刈り。

最初の1年は順調だった。

が、、、、、


爛れた人生に乾杯!

みんな一生懸命生きているんだ。


お気に入りの作品<3

思い出のガゼボ(東屋)が美しい。





『私にはどんな小さなものも見えた』

夜中、ナンシーが物音で目が覚めると、

隣人が薔薇の木のなめくじ取りをしていた。






『菓子袋』

レスは本のセールスの仕事をしている。

ある日、出張のついでに

サクラメントに住む父親と会う。

両親は父の浮気が原因で離婚していたのだ。





『風呂』

交通事故により昏睡状態になった8歳の息子を

看護する両親の話。

村上春樹編訳のアンソロジー『バースデイ・ストーリーズ』

にも収録されていた。





『出かけるって女たちに言ってくるよ』

好きじゃない作品







『デニムのあとで』

わかる。

わかるわかる、その気持ち。

悔しいよね。


レイモンド・カーヴァーの技が光る作品。






『足もとに流れる深い川』

アメリカ中流階級亭主族の生活ぶりがよくうかがえる。

「足もとに流れる深い川」とは

暴力とセックスのことか!?





『私の父が死んだ三番目の理由』

ダミーというあだ名のろうあ者の哀れな一生。

この短編もお気に入り。





『深刻な話』

正式な離婚のちょっと前の時点の夫婦の話。

奥さんのほうは吹っ切れてるが、

旦那のほうがまだ未練がましい。

やりきれないね。






『静けさ』

床屋でのいざこざから

その町に住んでるのが嫌になったというお話。






『ある日常的力学』

また離婚する夫婦の話、乱暴な、、、








『何もかもが彼にくっついていた』

若い夫婦の素敵な話。

カーヴァー作品の中ではまれな、まっとうな2人。





『愛について語るときに我々の語ること』

二組の夫婦がキッチンのテーブルを囲んで

愛について語り合う。

なんか、現代アメリカ人が、

愛がなんだがわからなくなってる、

って言いたいような話。


僕の心にも、君の心にもある、

その感情のことだよ!!

って言えない人たち。





『もうひとつだけ』

また、別れる夫婦の話。

旦那は娘にもとことん嫌われてる。





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