キューピーヘアーのたらたら日記

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ドンファン (その7)

2008-06-12 14:52:13 | 私が作者です
良子と周君の間に何の進展も無いまま、日々が過ぎていった。

良子は周君を充分意識していた。

でも、周君からは何のお誘いも無い。

それもそうだ、良子は自分の携帯の番号もメールアドレスも教えていなかった。

それは、規則なのだ。

職員が当事者のかかえる問題に巻き込まれないための、必要不可欠な規則だ。

それを守らなかったら、職を辞さねばならない。


良子は最近、変わったとよく言われる。

実際、ジャージ一筋だったのが、ローライズのデニムもはいて出勤するようになった。

化粧も、目立たないようにだがするようになった。

周君のことを思うと、華やいだ気持ちを抑えられなくなる。

季節は春だ。

菜の花やタンポポの花の美しさに目を奪われた。

恋をすると世界はこんなにも違った表情を見せるのか、としみじみ思った。



その日はカラオケの前に、智恵美ちゃんと優子と3人で座り、

なんともない世間話をしていた。

何か歌おうという話になり、優子がmihimaru GTを練習すると言い出した。

「周君たら、mihimaru GTのみっくんのパートをやれって言うのよ。

 自分はヒロコの唄を歌うからって。

 それって逆じゃ~ん。男ならラップくらいやれよってか。」

良子は自分の顔が引きつっているのがわかった。

智恵美ちゃんが目ざとくそれをキャッチし、

「優子ちゃんと周君、最近ラヴラヴなの~。」

とフォローしてその後言葉を飲み込み、良子の反応をうかがった。

「え?2人はどこまで進んでるの?」

良子は動揺を隠しながらたずねた。

「トモダチよ、トモダチー。」

初めてのパターンだ。

周君は今までメンバーさんとは浮いた噂をたてなかった。

あの後、周君の中で何かが変わったのか?


その後、優子は外人パブに有り金をつぎ込んで元の文無しになってしまった周君のために、

デート代をおごっている話などを楽しそうに話し続けた。

良子は上の空で聞いていた。



夜中に良子は周君のことを想い涙した。

どうして?

私のことが好きって言ってくれたじゃない。

あの言葉は一時の気まぐれだったの?

私もその他大勢の女たちのうちの一人に過ぎなかったの?

こんなことなら、もっと早く自分の携帯番号とメールアドレスを周君に知らせとくんだった。

自分は周君の気持ちを受け流してしまったのか?

「考えとく」と言っといてそのまま放置してしまった自分が悪いんじゃないか?

いろんな想いが交錯して一睡も出来なかった。

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