黒日売、故郷に帰る

　石之日売命の嫉妬によって、「黒日売は、歩いて吉備の国まで帰らされた」と、古事記には書かれているのですが、彼女の父親は、瀬戸内を支配している海の大王者です。黒日売は、最初だけは、多分、難波内だけは、大后の指図に従って、陸上を歩いて帰っていたのですが、大后の支配が及ばなくなった、多分、兵庫の湊の辺りからは父親の船に乗って、大后の意志には反して、楽々と、吉備の黒崎まで帰って来られたのではないかと、私は一人想像しているのです。

　この仁徳の黒日売救出作戦は成功して吉備まで、無事に、帰すことができました。でも、「摩佐豆古和藝毛玖」と恋焦がれている黒日売の事が、いつまで経っても、忘れることは有りません。かえって、「逢いたい」という思いが日に日に募ってきます。
　「黒日売に逢いたい。どうすればもう一度逢うことができるか」という思いが強くなります。

　そこで、又、天皇は戦略を考えるのです。