恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

20.my story

2006年09月18日 | 自分の恋
 キッチンの漫画の絵を描いている男の人がいるのだが、従業員の似顔絵を書いていて、驚くほど似ていて、面白かった。
 私の同じ時間帯にバイトに入る少女漫画家の女の人と文句を言い合うのも楽しかった。映画の話しや女心や男心について語っていたような気がする。
 昼は、高校の非常勤講師をして、夜は、ファミレスのバイトをしていて、精神的にも肉体的にもきつかったのだが、帰る時のそんな一時の時間、控え室でみんなと話すと気が楽になった。
 私がアルバイトをして二年目くらいに、目が金魚のデメキンの様に大きくて、ジーンズがよく似合う女の子がキッチンのアルバイトとして入って来た。
 私は見た瞬間、遠い昔に忘れていた感情が少しずつだが表れていた。心が胸を押していた。その子の話しを聞くと、海外に留学するらしく、お金を貯めていると言った。若いのによく考えているなと感心した。これは恋が期待できるかなと思ったが、彼氏がいて、恋という文字が浮かんですぐ消えた。
 恋もなれたもので、時々落ち込んではいたのだが、しょうがない事だった。出会いの神様は、私には微笑んではくれないのだ。
 仲のいいキッチンのお兄さんが私に彼女がいない事を心配してくれて、デメキンとうまく行く様に応援してくれていたのだが、私はそんなに器用な男ではなかった。
 その間、女の人をたくさんの人から紹介してもらったのだが、シックリこなくて全部断った。私の様な男は珍しいと言うだろう。
 そんな事もあって、鼻がデカイ大学生が新しくキッチンに入って来た。若くて、よく働く青年だ。
 青年とバイトに一緒に入っている時に、お客さん同士がケンカをして血だらけになっていた。茶碗を投げて、もう一人の男の頭に当たったらしいのだ。
 頭から血を流しながら帰って行ったのだが、散らばった茶碗やご飯粒の片づけが大変で、青年と文句をブツブツいいながら片付けた。
 その青年からも従妹を紹介してもらったのだが、うまくいかなかった。紹介してもらった後に、その従妹は、他の知らない男と結婚したと噂で聞いた。
 そんな風に、色々な所で時間は流れていたのだ。
 流れていないのは、私だけかもしれなかった。そう考えたら悲しかったりもしたが、どうする事も出来なかった。
 青年とよく恋の話しをしていたのだが、ある時、「彼女が出来た」と呟いた。私はすぐには信じられず疑っていた。クリボーやおかっぱ頭の女の子が同じ様な事を言っていたので、本当に彼女がいたのだ。
 相手は、マッハ5の山ちゃんだった。話しを聞くと恋木神社にお参りしたからだと言った。
 それを聞いて、私はすぐそのカップルを連れてお参りに行った。
 私がおみくじを引くと、せつなくて悲しい事が書いてあったのだが、神様には嘘はつけないという事があらためて分かった。宗教に入ろうかとさえ思った。
 その後に、私の念願の就職が決まった。
 神のお導きではないが、何か見えない糸でも繋がっているのではないだろうか。 就職さえ見つかったら彼女も見つかるかなと思って、生まれてから今まで頑張って来た様な気がするが、いざ就職が見つかってしまうと、前と変わらなかった。
 お金があろうとなかろうと、ギャンブルをしていようとしていまいと、就職に就いていようと就いていなくても、その人の存在が好きなのだから、関係ないなと思った。
 私はまだまだ浅はかだから、落ち込んでしまう。
 だけど、まだ仕事も決まったばかりだし、人生これから良い事もあると信じて生きていきたいのである。
 
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