恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

19.ギャンブラー 3

2006年05月02日 | ギャンブラー
 カフェの近くにあるパチンコ屋で、約三万円勝った。
 77番台の数字とナンパに成功した女神がついているって事か。
 これはミドリとのデート代にしよう。
 今日は、何から何までついているようだ。もうそろそろ夜の十時になる。ミドリは仕事が終わったのだろうか。
 家に置いてある車を取りに行った。中古で買った古い軽自動車だ。ワイパーが壊れた時に限って雨が降る。
 今日は、晴天なのですんなりワイパーが動いているというわけだ。
 エンジンも途中で止まったりする。そんな時は、後ろで押してもらうか。気合でエンジンをかけるしかないのだ。
 古い車を乗りこなすのもギャンブルだ。いつどこで止まるか分からない車に乗って、ドキドキ感を味わう。
 まるで、競馬のオグリキャップが二位と一位の間を行ったり来たり走っているような感じだ。ハラハラするだろう。
 遅い車に乗っても早い車に乗っても、高級車に乗っても、古い車に乗っても、自分に合った車に乗れればそれだけでいい。
 女は高級車がいいというが、ミドリもそんな女なのだろうか。
 昔から、女は高級車に弱い生き物だ。確かにカッコイイと思うが、俺には似合いそうにない。
 カフェの前の駐車場で、カチッとタバコに火を点けていると、ヴィトンのバックを持ったミドリが急いで出てきて、俺の事に気付くと、ドアの所で手を振っていた。
 俺は、くわえたタバコを足で踏み潰すと、手を振り返した。ミドリが近づいて来た。
 「終わったの?」
 「今終わった所です。」
 「そうか。それじゃ車に乗りなよ。」助手席のドアを開けてやると、ミドリは車に乗り込んだ。
 「古い車ですね。」乗り込むと、グルッと見渡してミドリが言った。
 「やっぱりいい車が良かったかな。レンタカーでも借りてくればよかったかな。」私は、また一本タバコをくわえた。
 「いいえ。私古い車好きですよ。」
 「そうなの。」
 「味があるって言うか。古いのが好きですね。」俺達は、見つめあうとお互い視線をそらした。
 「これから、どこ行こうか。」と言って、お気に入りのジッポでタバコに火を点けた。
 「クラブに行きませんか。」
 「クラブ?」
 「若い人たちが踊っている所ですよ。チョット音楽がうるさいですけどね。」
 「いいね。一回行ってみたかったんだ。」
 車を発進させようとすると、キュルキュルとエンジンが止まった。ミドリは、苦笑いを浮かべた。
 どうも女を乗せると調子が悪いようだ。焼き餅でも焼いているのか。ミドリに車を発進させるように言って、俺が車を押した。
 車はゆっくりと進み、エンジンがかかった。俺は急いで乗り、クラブがある街へと行く事にした。 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 18.ギャンブラー 2 | トップ | 20.ギャンブラー 4 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ギャンブラー」カテゴリの最新記事