１８．ギャンブラー ２

　ノリコは、エリートのヨウジに連れられて、赤いスポーツカーでカフェを出ると、夜景が見えるレストランに来ていた。
　ビルの七階にあるそのレストランは、ジャズの生演奏があっていた。店の従業員も鮮麗された人ばかりだった。
　私にぴったりの場所。私の様な女が来る所のような気がした。音楽に耳をすましていると、目の前のヨウジが話しかけて来た。
　「結構いい店だろ。友達が経営している店なんだ。」
　「あら。そうなの。すごーい。」シャンパンを飲みながら話していると、友達らしき人が、挨拶に来た。
　背が高くて、私好みのジャニーズ系の顔つきをしていた。
　私に心地よいお辞儀をすると、カウンターに入って、お気に入りのお酒を探していた。一つ探し出すと、私達の所に持ってきて、お美しいあなたへ私からですと言った。
　私は、笑顔でありがとうと言うと、ヨウジがオイオイ俺の彼女を取るなよと言っていた。
　二人の居心地のいい対応にとても満足していた。窓から見える夜景が綺麗で、素敵な時間を過ごした。
　その後に、ヨウジと部屋に戻り、ベッドを共にしていた。ヨウジとのやり取りにうっとりとしていた。
　そうやって何人の女と過ごしてきたのか気になった。
　私の様ないい女も中にはいたのかもしれない。嫉妬すると、手に力が入り、ヨウジの背中にキズをつけていた。それに構わず、赤ちゃんを抱くように、私を優しく包んでいた。
　少し眠っていると、ソワソワとヨウジが服を着ていた。
　机の上に素っ気無くお金を置いていた。２０万円くらいあるだろうか。私は、その姿を見て怒鳴った。
　「そのお金どういうつもりなの。私をその辺の女と一緒にしないで。お金なんていらないのに、そんなのひどい。」
　「一夜だけだろ。女は、いつも一夜だけだと決めているんだ。お互い傷つかないようにね。」ヨウジはウィンクをした。私は、お金を投げつけて抵抗した。
　「やめろよ。お金はあった方がいいだろ。美女は金がかかるだろうしね。」
　「私はただ一緒にいて欲しかったの。お金なんていらない。一緒にいて欲しいだけなの。」ノリコが泣き叫ぶとヨウジは、ドアから出て行った。
　ドアの閉まる音が頭で響いた。それと同時に、ベッドの上で泣き叫んでいた。何であんな男に体を許してしまったのだろう。せっかく素敵な夜だと思っていたのに最悪になっていた。
　いい男ほど、ムカつくやつはいない。それでもいい男が好きな自分がいる。どうすればいいの。私を本当に愛してくれる男はいるのだろうか。
　ベッドで横になって、高級そうな天井をボンヤリ見ていた。
　それから、涙を乾かす為に外に飲みに行くことにした。