秋といえば読書の秋という事で家で読むのもなんだから、ファミレスで小説を読むことにした。小説のタイトルは「愛の物語」私にはいかにもって感じだが、何も読むものがなくて、これになったというわけだ。
ファミレスに入るとあまり客は入っていなかった。午前二時という事もあったからだろう。奥の窓際の席に男が二人。トイレの方向に若いカップルが手を握って見つめ合っていた。今の時間に来る客は、飲み屋帰りか、若いカップルだけなのかもしれない。
愛想笑で店員が客席に案内をした。私は店員を引き止めてドリンクバーを一つ頼んだ。背が小さい女の店員だった。手に持っているコンピュータのメニューに打ち込むと笑顔でカウンターの中に入って行った。
私は、本を取り出して続きを読んだ。この本には丁度ファミレスで出会う男女が書いてあった。
フムフムと読んでいると、隣に若い子が座った。若いわりに化粧が濃くて、口紅を真っ赤に塗っていた。
髪はショートカットで、まつ毛が長く、大きな目で店員を見ていた。服装も派手で、シマシマのミニスカートで長袖のシャツはダランと手にかぶさっていた。
店員を呼ぶとケーキとドリンクバーを頼んでいた。
頼むと机の上に覆いかぶさり、グッタリ寝ていた。店員が愛想笑でケーキを持ってくると、彼女はビクッと起き上がり閉じる目を見開いて店員を見ていた。店員は苦笑いを浮かべるとまた中に入っていった。
彼女は、ジッとケーキを見ていた。私も彼女とケーキをジッと見ていた。彼女が微笑むとケーキを一口食べた。おいしそうに食べている彼女に興味があった。こんなにおいしそうに食べる人は見たことがなかった。私が見ていることに気付いた彼女が話しかけてきた。
「お兄さん。何読んでるの?」幼い顔とは違って色っぽい声をしていた。
「えと、なんていえばいいのかな。」私が戸惑っていると、彼女が覗き込んで愛の物語だねと微笑んで言った。
「それ面白いの?」彼女が食べながら聞いた。
「面白くはないけど、為になるよ。」
「男の人ってそんな本を読むんだ。」
「いや、男というか。自分だけだよ。」
「ふーん」彼女が大きな目をパチパチさせていた。ケーキの方に視線を戻すとおいしそうにまた一口食べた。
「君何歳?」私は気になったので聞いた。
「何歳に見える?」
「えと。二十歳くらいかな。」
「ブーはずれ。」彼女が口を尖らせていた。私はおちょくられているのだろうかと腹が立ったがなんとかこらえた。
「実は何歳?」私はもう一度聞いた。
「十八だよ。」
「えと。君は高校生なんだ。こんな遅くまで遊んでいたら親から怒られない?」
「怒られない。」
「何で?」
「親いないから。」近頃の親は何をしているのかと思ったが、別に親でもなければ親戚でもないから構わないことにしようと思った。
私は構わず本を読むことにした。本を読んでいると彼女がずっと私の方を見ていたので何かついてると聞いた。
「もう話し終わりなの。お兄さんつまんなーい。」
「つまんないって。別に話したくて話しているわけじゃないんだよ。」
「マジつまんなーい。」チョットかわいい顔をしているからと言ってなめられている。ここは大人としてビシッと言おう。
「あのね。私は本を読みに来たの。君の相手をいちいちしてたら夜が明けるだろう。」
「今の超おもしろーい」
「何が?」
「夜が明けるの所」今時の高校生はみんなこんな感じなのかと腹が立った。もう二度と話さないと誓い本をずっと見ていた。
それから三十分くらい経った頃。茶髪のゴツイ男が入ってきて、キョロキョロと店内を見渡すと、隣に座って彼女と話しをしていた。
「お前、どこ行ってたんだよ。探したんだぞ。」
「見ての通りファミレス」
「心配しただろう。」
「うん。」
「じゃ帰るか。」
「うん。」私との対応よりもやけに素直な会話だった。きっと彼氏とケンカかなんかしたのだろう。彼氏には、優しいのだろうか。肩を組んでイチャイチャして帰って行った。
私は、本を読むのがバカらしくなり、そのままファミレスを出て行った。
ファミレスに入るとあまり客は入っていなかった。午前二時という事もあったからだろう。奥の窓際の席に男が二人。トイレの方向に若いカップルが手を握って見つめ合っていた。今の時間に来る客は、飲み屋帰りか、若いカップルだけなのかもしれない。
愛想笑で店員が客席に案内をした。私は店員を引き止めてドリンクバーを一つ頼んだ。背が小さい女の店員だった。手に持っているコンピュータのメニューに打ち込むと笑顔でカウンターの中に入って行った。
私は、本を取り出して続きを読んだ。この本には丁度ファミレスで出会う男女が書いてあった。
フムフムと読んでいると、隣に若い子が座った。若いわりに化粧が濃くて、口紅を真っ赤に塗っていた。
髪はショートカットで、まつ毛が長く、大きな目で店員を見ていた。服装も派手で、シマシマのミニスカートで長袖のシャツはダランと手にかぶさっていた。
店員を呼ぶとケーキとドリンクバーを頼んでいた。
頼むと机の上に覆いかぶさり、グッタリ寝ていた。店員が愛想笑でケーキを持ってくると、彼女はビクッと起き上がり閉じる目を見開いて店員を見ていた。店員は苦笑いを浮かべるとまた中に入っていった。
彼女は、ジッとケーキを見ていた。私も彼女とケーキをジッと見ていた。彼女が微笑むとケーキを一口食べた。おいしそうに食べている彼女に興味があった。こんなにおいしそうに食べる人は見たことがなかった。私が見ていることに気付いた彼女が話しかけてきた。
「お兄さん。何読んでるの?」幼い顔とは違って色っぽい声をしていた。
「えと、なんていえばいいのかな。」私が戸惑っていると、彼女が覗き込んで愛の物語だねと微笑んで言った。
「それ面白いの?」彼女が食べながら聞いた。
「面白くはないけど、為になるよ。」
「男の人ってそんな本を読むんだ。」
「いや、男というか。自分だけだよ。」
「ふーん」彼女が大きな目をパチパチさせていた。ケーキの方に視線を戻すとおいしそうにまた一口食べた。
「君何歳?」私は気になったので聞いた。
「何歳に見える?」
「えと。二十歳くらいかな。」
「ブーはずれ。」彼女が口を尖らせていた。私はおちょくられているのだろうかと腹が立ったがなんとかこらえた。
「実は何歳?」私はもう一度聞いた。
「十八だよ。」
「えと。君は高校生なんだ。こんな遅くまで遊んでいたら親から怒られない?」
「怒られない。」
「何で?」
「親いないから。」近頃の親は何をしているのかと思ったが、別に親でもなければ親戚でもないから構わないことにしようと思った。
私は構わず本を読むことにした。本を読んでいると彼女がずっと私の方を見ていたので何かついてると聞いた。
「もう話し終わりなの。お兄さんつまんなーい。」
「つまんないって。別に話したくて話しているわけじゃないんだよ。」
「マジつまんなーい。」チョットかわいい顔をしているからと言ってなめられている。ここは大人としてビシッと言おう。
「あのね。私は本を読みに来たの。君の相手をいちいちしてたら夜が明けるだろう。」
「今の超おもしろーい」
「何が?」
「夜が明けるの所」今時の高校生はみんなこんな感じなのかと腹が立った。もう二度と話さないと誓い本をずっと見ていた。
それから三十分くらい経った頃。茶髪のゴツイ男が入ってきて、キョロキョロと店内を見渡すと、隣に座って彼女と話しをしていた。
「お前、どこ行ってたんだよ。探したんだぞ。」
「見ての通りファミレス」
「心配しただろう。」
「うん。」
「じゃ帰るか。」
「うん。」私との対応よりもやけに素直な会話だった。きっと彼氏とケンカかなんかしたのだろう。彼氏には、優しいのだろうか。肩を組んでイチャイチャして帰って行った。
私は、本を読むのがバカらしくなり、そのままファミレスを出て行った。
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