３．ラブレター

　キーンコーンカーンコーン。
　僕が帰る時、下駄箱の中に一通の手紙が入っていた。兎の封筒で可愛らしかった。
　なんだろうと思い、開けてみたらラブレターだった。
　「今日の放課後、音楽室で待っています。ユキ。」
　心臓がバクバクと破裂しそうになった。生まれて初めてラブレターをもらったので、どうしていいかわからなかった。行くしかないと思い、早速、音楽室のドアを開けた。
　ユキがいた。窓から差し込む光で、一段とかわいく見えた。まるで天女だった。
　このまま、天国に上っていくみたいに輝いていた。
　ユキとは、幼なじみで昔は、よく遊んでいた。父親同士も友達だった。家では親戚みたいにいつもくっついていた。中学校に入ってからはクラスも違い、会わなくなっていた。
　久しぶりに見たユキは魅力的になっていた。
　見つめあう二人。一時の沈黙。
　「ハヤトの事が好き。」ユキはようやく口を開いた。恥ずかしくて、瞳に涙をためていた。
　「俺もずっとユキが好きだった。」ハヤトがユキに近づいて、涙を拭った。恥ずかしがる二人。
　「もう少し早く言えばよかった」テヘッと舌を出してとぼけた。
　「バカだな」ハヤトがそっとユキを抱き寄せた。
　夕日が沈みかけていた。野球部員の声が遠くに聞こえた。
　沈む夕日を背に浴びて、二人はいつまでも抱き合っていた。