恋愛ブログ

世にも不思議な物語。
出会いの数だけドラマがある。
一日一話愛の短編物語。
〜ショートストーリー〜

2.夏の夜の夢

2005年05月13日 | 幻の恋
 ある七月の暑い夜、星を囲むように月が輝いていた。真ん丸い大きな月を見ると大好きだった人のことを考えてしまう。
 今頃、あの人は、どうしているだろう。
 浴衣でも着て、花火でもしているのだろうか。
 彼女の浴衣姿を想像しただけでも幸せになれる。
 一緒に線香花火ができたらとても幸せだろう。
 ジリジリと線香花火を見つめあう。息を止めて、落ちる瞬間までじっと見つめあう。
 線香花火が落ちて微笑む、ふっと明かりが消え、真っ暗になる。そこで二人は、初めてのキスを交わす。ゆっくりと線香花火が落ちるように。お互いの気持ちを確かめ合うように。
 そうなれば、私は世界一の幸せ者に違いない。
 そんな事を考えていると月が答えてくれそうな気がした。
 「どうやったら、あの人に会えるのでしょうか。」
 月は何も答えず淡く光照らすだけだった。
 月さえも私を見捨ててしまうのか。
 花火のように、恋心が浮かんで消えた夏の夜の夢だった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1.愛の魔術 | トップ | 3.ラブレター »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

幻の恋」カテゴリの最新記事