ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

OLAFUR ELIASSON

2017-10-01 19:15:53 | アート
ややこしや 嘘か真か 影踊る

是非観たいと思っていたOLAFUR ELIASSONの展覧会を観てきた。



彼についての記事「ミュゼにスノッブはいらない」を読み興味があったから。科学、テクノロジー、政治が彼の関心事であり、ヒラリー候補を支持し英国のユーロ脱退を批判し、フランスのマクロン当選を喜んだアーチスト。そして他の多くの知識人同様トランプ当選に衝撃を受けこう語っている。

「アメリカ社会の多くの階層が疎外されていると感じてることを見もしなければわかろうともしなかった」

トランプ大統領当選についていろいろな分析がでそろった感があるが、そのなかのひとつは以下のようなもの。

「失業や貧困にあえぐ国民をよそに、ええかっこばっかしして口ばっかし、こいつらエスタブリッシュメントに一回げんこつ食らわしてやる。もちろん自分たちが選ぶ大統領がどんなろくでなし大統領かしってるさ、でも、いい気になってる奴らを叩きのめしたかったのさ」

さて、反トランプOLAFUR ELIASSONがミュゼあるいは彼の作品についてどんな考えを持っているか超簡単にまとめると

ミュゼはスノッブなエリートや通の独り占めじゃないよ。みんなに開かれ、自分が作品を理解するに頭がないなどと思わせず、誰でも快く迎え入れ、そこで驚嘆するような場所でなくちゃ。僕は、観客も参加し驚き楽しむそんな作品をつくりたいんだ。

で、この展覧会、素晴らしかったです。

まず、高度に洗練された美しさに圧倒されました。エコロジーとか、時空とかの彼の世界観の説明文なしに、テクノロジーを駆使しながら虚と実が交錯し交感する美しさに目を見張りました。以下、特に印象に残った4点についての感想

1 BIG BANG FOUNTAIN 2014

入るのが怖くなるような真っ暗な室内に恐る恐る足を踏み入れると、水の音がし突然暗闇に小さな噴水が作り上げる水の彫刻が浮かび上がる。その姿は様々に形を変える。これを観て、かつて九州を旅した時、山奥にゴーゴーとなる水の音を耳にし林のようなところを進んでゆくと巨大な滝がぬらりと現れ、竜神という言葉が浮かんだのを思い出しました。噴水も滝も同じ水。水は様々に姿を変える。水は生き物だ。

以下パンフレットより



2 YOUR SPACE EMBRACER 2004

天井からぶら下がった丸いわっかの影が四方の壁に大きくなったり小さくなったりして一周する。9月になると月が美しく毎晩のように月を眺め追いかけてるので、夜空の宇宙の縮小版を見せられてるようだった。

写真可なのでパチリ


3 MULTIPLE SHADOW HOUSE 2010

大きなスクリーンの前に映った自分の影が動きに任せて大きくなったり小さくなったりして映る。幼い子供さん達が自分の動きが映る不思議さに喜んでなかなか去ろうとしない。そこへ老若男女問わず参加し様々なポーズをし実物と影が遊んでるような光景が繰り広げられた。私も参加したよ。

写真パチリ



4 BEAUTY 1993

あまりの美しさに胸がいっぱいになるくらい感動した。細い細い、雨のような霧のような水が降っている。それが暗闇の中に淡い淡い虹色のカーテンのようにゆらめく。これは映像なのかと手を差し伸べると手が濡れる、床もしっとりと濡れている。

写真パチリ




自然のエッセンスを作品化した無駄の一切ないミニマリスムでありながら暖かく非常に美しい展覧会でした。

展覧会を観終えてから友達との待ち合わせ場所へ。ラーメン食べお茶しました。親の死、友の死、自分たちの老後と死、仕事のこと、年金のこと、、、誰もが迎える当たり前のこと。これも現実。虚も実も現実。











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