第三者委座長が驚いたLINE社長の“不適切な説明”
今沢真・経済プレミア編集部
無料通信アプリ「LINE(ライン)」の個人情報管理に不備があった問題で、
親会社のZホールディングスが設けた第三者委員会が6月11日、第1次報告を公表した。
報告では、問題発覚後の3月23日に出沢剛・ライン社長が行った記者会見で、
韓国で保管していたデータの国内移転に関して不適切な説明があったことを明らかにした。
「アルバム」の韓国からの移転は3年後
出沢氏は記者会見で、韓国のデータセンターで保管しているラインのトークの画像、動画、
ファイルを6月に国内に移転すると説明した。
また、ライン公式アカウントの画像、動画、ファイルは8月までに国内移転を完了すると説明した。
ところが実際には、ラインの「アルバム」内の画像を韓国から国内に移転するのは「2024年上半期」を予定しており、
3年後であることがわかったという。
アルバムはグループやトークルームのメンバーが閲覧するために画像を保存する機能だ。
また「キープ」と呼ばれる機能で保存したデータを韓国から国内に移転するのは
「22年上半期」であり、1年後になることも判明した。
キープは自ら閲覧するためにライン上でテキストや画像、動画を保存する機能だ。
調査の過程で発覚
第三者委の報告は、宍戸常寿座長(東大大学院教授)がオンラインで記者会見し公表した。
6月に移転するとしたライン社の発表について「画像、動画などが完全に日本国内に移転するとユーザーに受け止められるのが自然。
ユーザーファースト目線および正確な情報提供を目指す意識の欠如があった」と厳しく指摘した。
さらに、「このようなことが二度と起こらないように、速やかなガバナンス(企業統治)体制の構築を求める」とし、
ガバナンスの早急な改善が必要だと言及した。
第三者委がこの問題を認識したのは、データ移転の技術検証の過程で、
3月の説明とデータ移転計画が一致しなかったためだという。
宍戸氏は「データ移転の時期が(説明より)後ろになっていることがわかり驚いた。
遅れるのであれば、それも3月の時点でしっかり説明すべきだった」と述べた。
ライン「24年前半までに移転完了」
これに対しライン社は、第三者委の会見後に「ユーザーへの説明が十分でなかった」とする資料を公表した。
資料では(1)アルバム内の画像は22年前半に新規データの国内保管を開始し、24年前半までに既存データを含め国内移転を完了
(2)キープ内の画像・動画・ファイルは、22年前半までに国内移転を完了する――と説明した。
第三者委の報告は、ライン社が問題発覚前の時点で「データは日本に閉じている」と政府に虚偽の説明をしていたことも指摘した。
第三者委は9月ごろに最終報告を出す予定。
ラインの情報管理の不備は今年3月に発覚し、韓国でデータを保管していた問題や、
利用者の個人情報が中国の関連会社から閲覧可能になっていたことが判明した。
<連載「けいざい多面鏡」は随時掲載します>
虚偽説明だったLINE社長
記者会見でトップが約束していたが・・・・
その場凌ぎであった
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