1Gbpsの光回線契約(KDDI光回線借用)以外は、
J:COM MOBILE 料金割引より「ギガ大増量」で攻める
石野純也・ケータイジャーナリスト
2021年11月30日
KDDI傘下のケーブルテレビ会社JCOM(ジェイコム)は、
格安スマホサービスの「J:COM MOBILE」で新たなサービス「ギガ盛セット」を2022年2月に始める。
JCOMの他のサービスとセットで契約することで、料金は据え置きのままデータ容量を大幅に増やす。
J:COM MOBILEには現在4プランあり、1ギガバイト(GB)・月1078円▽5GB・1628円▽10GB・2178円▽20GB・2728円だ。
J:COM MOBILEとJCOMの他のサービスを同時に契約して「ギガ盛セット」にすると、
料金はそのままでデータ容量を、1GBは5GB▽5GBは10GB▽10GBは20GB▽20GBは30GB--と大幅にアップする。
既存の利用者も条件を満たしていれば「ギガ盛セット」が適用になる。
ケーブルテレビ会社のアドバンテージ
格安スマホ事業者の大手は、月3~4GBで1000円前後に料金を設定している。
IIJmioは4GBで1078円、OCNモバイルONEは3GBで990円などだ。
それらと比べるとJ:COM MOBILEは少し割高に見えるが、JCOMが地域に密着したケーブルテレビ会社であることを生かし、
訪問で初期設定などのサポートサービスを行って差別化も図っている。
このようなサービスはJ:COM MOBILEならではだろう。
データ増量の条件となるJCOMのセット契約は、対象を広く設定した。
ケーブルテレビの「J:COM TV」や固定インターネット通信の「J:COM NET」だけでなく、
電力サービスの「J:COM 電力」やWiMAX(ワイマックス)方式を使った
モバイルルーターの「J:COM NET」とのセットでもデータ容量の増量が適用される。
ケーブルテレビや固定インターネット通信の場合、提供している地域が限定されてしまうが、
提供地域が広い電力サービスや、全国どこでも契約できるモバイルルーターを含めることで、
ギガ盛セット割の恩恵を受けられる利用者を増やした。
JCOMの石川雄三社長によると「200円、300円といった割引ではお客様に価値を実感していただけないため、
データ容量の大幅な増量に踏み切った」という。
大手通信事業者がオンライン専用の低価格プランを作ったことで、格安スマホの料金も今年は大きく値下がりしている。
料金での差別化は難しくなり、わずかな値下げより、データ容量を大幅に増やした方が、インパクトも大きいと言えるだろう。
KDDIの「すみ分け」戦略
一方、KDDI側の視点で見ると、傘下の格安スマホ事業者同士を差別化する狙いがありそうだ。
KDDIは、auやUQ mobileに加え、オンライン専用プランのpovo2.0を直接運営している。
これらのブランドに加えて、子会社のビッグローブがBIGLOBEモバイルを、JCOMがJ:COM MOBILEを提供する。
格安スマホ事業者を傘下に持つことで、他社グループへの流出を防ぎつつ、
au PAYなどの非通信サービスを推進していくのが同社の戦略だ。
J:COM MOBILEには、ケーブルテレビという強力な販路があり、KDDIの他のサービスとすみ分けを図っている。
ケーブルテレビや電力など他のサービスとのセット契約特典を提供することで、
すみ分けの色合いがさらに濃くなったと言えそうだ。
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