#507「太平洋ひとりぼっち(2)」の続きです…
分隊長>あの島がおまえの任地、ベロベロ島だ。
≫荷物と兵員の積み込みを急げ!
>木村大尉!
分隊長>おう! 和田君! 案内役を頼むぞ。
和田少尉>はい。
分隊長>こっちは女子挺身隊の「このは紅葉」だ。
このは紅葉>お願いします。
和田少尉>時間がありませんので、お二人とも、とにかく車にお乗り下さい。
分隊長>おまえは自動車に乗ったことがない?
まあ、心配するな、駆逐艦ほど揺れんぞ(笑)
……なに、自分で乗れないのか?
乗せるのも手間がかかるな…目方が軽いからまだ良いが…。
分隊長>このベロベロ島は太平洋上の絶海の孤島である。
孤島であるが故に補給がままならず、かつ戦況の悪化により、本島の守備戦力を維持することが困難になった。
よって、本島守備隊は後方基地へ転進し、戦力の立て直しを図ることとなった。
「転進」というのは体よく聞こえるが、要するに撤退すると言うことだ。この島を捨てると言うことだ。
分隊長>だが、ただで捨てるのは惜しい、もっと有効に使って捨てよう…と上層部は考えたようだ。
そこで、おまえの任務だ。
おまえはこの島に残り、気象観測をする。毎日気象情報を送信するのだ。これも重要な軍事情報だ。
このは紅葉>わたしだけで?
分隊長>そうだ、おまえ一人でだ。もはや、一兵卒も無駄には出来ない状況だからな。
気象観測と通信はそれほど難しくはあるまい。
ここまではわかったか?
このは紅葉>はい。
分隊長>そして、もう一つ重要な任務がある。
きわめて困難なことで無茶だと思うが、軍令部ではそのもう一つの方を主に考えているようだ。
分隊長>近いうちにこの島に米軍が上陸作戦を行うと予測されている。
おまえのもう一つの任務は、米軍の侵攻を誘う囮(おとり)になることだ。
このは紅葉>……。
分隊長>守備隊が撤退したことを敵に悟られてはならない。
毎日通信を行い、敵機が飛来したなら対空射撃を行い、上陸してきたなら砲撃し、未だ戦力の有せることを示せ。
1分1秒でも長く敵をこの島にひきつけて時間を稼ぐのがおまえの任務だ。
わかったか?
このは紅葉>つまり、わたしにこの島で死ねと言うことですね…
分隊長>いや、死ねとは言わん…。
和田君、例の物は出来とるかね?
和田少尉>はい、準備万端です。
分隊長>よろしい。
このは…おまえの努力と運次第だが、助かる道はある…。
次回につづく…
分隊長>おう! 和田君! 案内役を頼むぞ。
和田少尉>はい。
分隊長>こっちは女子挺身隊の「このは紅葉」だ。
このは紅葉>お願いします。
和田少尉>時間がありませんので、お二人とも、とにかく車にお乗り下さい。
まあ、心配するな、駆逐艦ほど揺れんぞ(笑)
……なに、自分で乗れないのか?
乗せるのも手間がかかるな…目方が軽いからまだ良いが…。
孤島であるが故に補給がままならず、かつ戦況の悪化により、本島の守備戦力を維持することが困難になった。
よって、本島守備隊は後方基地へ転進し、戦力の立て直しを図ることとなった。
「転進」というのは体よく聞こえるが、要するに撤退すると言うことだ。この島を捨てると言うことだ。
そこで、おまえの任務だ。
おまえはこの島に残り、気象観測をする。毎日気象情報を送信するのだ。これも重要な軍事情報だ。
このは紅葉>わたしだけで?
分隊長>そうだ、おまえ一人でだ。もはや、一兵卒も無駄には出来ない状況だからな。
気象観測と通信はそれほど難しくはあるまい。
ここまではわかったか?
このは紅葉>はい。
分隊長>そして、もう一つ重要な任務がある。
きわめて困難なことで無茶だと思うが、軍令部ではそのもう一つの方を主に考えているようだ。
おまえのもう一つの任務は、米軍の侵攻を誘う囮(おとり)になることだ。
このは紅葉>……。
分隊長>守備隊が撤退したことを敵に悟られてはならない。
毎日通信を行い、敵機が飛来したなら対空射撃を行い、上陸してきたなら砲撃し、未だ戦力の有せることを示せ。
1分1秒でも長く敵をこの島にひきつけて時間を稼ぐのがおまえの任務だ。
わかったか?
このは紅葉>つまり、わたしにこの島で死ねと言うことですね…
分隊長>いや、死ねとは言わん…。
和田君、例の物は出来とるかね?
和田少尉>はい、準備万端です。
分隊長>よろしい。
このは…おまえの努力と運次第だが、助かる道はある…。
次回につづく…
見た夢の内容が忘れられず、わたしも描ききるまで心の安寧を得られません。
涙なくしては読み進められそうにありません(;へ;)
「死ぬな!このは紅葉」
続きが気になって夜も眠れません