依頼を受けて人前で話す機会があった。人前で話す機会は少なくないが、いわゆる講演というのは、そんなに受けない。もっとも今回は10数人の小さい会ではある。仕事の関係で長時間話すようなこともないではないが、だいたいテーマが決まっているものだし、自分だけのアイディアであるということもない。まあ、たいていは自分なりに味付けはするけれど、それはある意味で自分の都合で、そうしなければ自分が面白くないせいだと思う。今回の場合ある程度自由に話していいと言われるし、なんと頼んではいるが、断ってもいいとまで言われた。話してもらうのは気の毒だから、という理由で。結果的にお話を受けたのは、そういう頼まれ方が面白いな、と思ったからかもしれない。
いくつかマインドマッピング風にメモを作って、話は組み立てておいた。1時間でも1時間半でも、だいたい大丈夫かな、という程度には話のまとまりは作った感じである。まあ、基本的には一時間ちょっと話して、質問を受けてもいいかな、と考えていた。
それで当日を迎えたわけだが、最初に挨拶をして立って話していたのだが、狭い部屋だし机椅子があって、どうぞ座ってください、ということだった。で、座って15分ほど話を進めていると、なんと話の途中で、感想を交えた質問が出た。質問の方に答えていると、次にも質問が…。また、話に戻ってさらに15分くらいすると、また質問が出た。そんな風にしていつの間にか1時間20分ほど話が進んで、まだ質問が出たところでリーダー格の人が、そろそろ終わりましょうと言われた。次の都合があるらしかった。おみやげを頂いて終了となった。
なんとなく不思議な気分にもなったが、それなりに面白いものだな、とも思った。実はひどく忙しい毎日やスケジュールの合間の休みの日だったから、ちょっと負担にも感じていたのだが、こういうことなら話をしてよかったな、と思った。僕の話でよかったのかどうかは最後まで分からなかったけれど。もっとも、だからと言って話して欲しいという依頼は無い方がやっぱりいいかな、とも思う。こういうのが生活になるのは、どうにも座りが悪いと感じる。まあ、無いんだろうけれど…。