スティーヴンス島のネコという有名な話がある。スティーヴンス島の灯台守に赴任した人が、猫を飼っていた。スティーヴンス島には、スティーフンイワサザイという飛べない鳥が生息している島だった。この猫は、毎日スティーフンイワサザイを獲ってきた。そしてついにこの固有種は、ネコ一匹によって絶滅してしまった。
実際には他にも猫が住んでいた(過去に持ち込まれていた)とも言われていて、一匹の猫が絶滅させたというのは違うとも言われているが、少なくとも独自の進化で飛べなくなった固有種が、人間の影響で絶滅したのは間違いないだろう。そういう象徴的な逸話として有名なのである。
これまでにも人間の影響で、多くの生物が死滅させられたには違いない。それくらい固有種というのは、実に別の環境にもろい存在と言えるのかもしれない。またはある種の条件に特化しすぎることで繁栄しても、別の外的な要因によって、先には致命的な影響を受けるということにもなるのかもしれない。
もちろん地球環境下でなければ生きられない生物がほとんどである。宇宙の中では極めて特殊な環境下にあって、我々は生きながらえているのである。地球にとってのスティーヴンス島の猫は、なんであるかはわかりえない。しかしそれは、おそらく人間であっても狩ってしまうような脅威であるはずだ。また人間は自らを脅威に陥れる技術さえ持っている。それは語らずも分かり切っていることであろう。