カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

困った状況に時間あり   アニアーラ

2024-12-12 | 映画

アニアーラ/ペッラ・カーゲルマン、フーゴ・リリア監督

 スウェーデン映画。アニアーラというのは、地球を脱出して火星に移住する人々数千人を乗せて、宇宙を航行している巨大宇宙船の名前である。宇宙船と言ってもけた違いにでかいわけで、一種のまち全体が移動しているというイメージである。船を運航しているスタッフが働いている訳だが、長い時間宇宙での生活をしていくために、乗船している人々の運動や精神的なケアをする様々な施設が整っている。一見平穏に日常を送っていたわけだが、突然船が故障して制御不能に陥り、助けが無ければ自力では動けなくなってしまう。さいわい栽培している妙なもので食糧問題は何とかなるようだが、人々は計算できない長い時間を、宇宙空間で過ごさなければならなくなってしまうのだった。
 ちょっと哲学的なことを言いたい映画のようで、奇妙なヨガ教室のようなところでインストラクターをしている女性を中心に、地球ではない絶望空間でどのように精神性を保つことが出来るのか、という事なのかもしれない。実のところ僕はよく分からないことが多かったが、それなりに退屈しながら、一緒に考えましょう、という事だろう。西洋人たちの行動を見ながら考えるわけで、つまるところ理解しがたいわけだが。
 途中救助船のような物体がやってきたり、機械が人間の感情に耐えられなくなって機能停止になったりする。その意味するところのあれこれは分からないではないのだが、ともかく期待を裏切られることが続いて、人々は困ってしまうという事である。そうして時間ばかり空しく過ぎ去ってしまうのだ。
 僕は子供のころに手塚治虫作品で、さんざん無限の時間については考えさせられたわけで、このような映画で同じように時間のことを考えてみると、なんとなく幼稚に感じられる。西洋哲学というのは、ちょっと深みが足りないのではなかろうか。彼らには本音と建前があって、それを克服するのに苦労するのだろう。東洋人は、そのあたりはうまくかわしてしまう自然観がある。そういうところに、映画的な哲学の限界を感じる。
 という事で、そんなに面白くない作品だが、文化比較にはなるかもしれない。
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