カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

おとぎ話は現代の方が向く   アラビアンナイト 三千年の願い

2024-12-29 | 映画

アラビアンナイト 三千年の願い/ジョージ・ミラー監督

 考古学や神話の研究をしている女性が、イスタンブールで古いガラスの小瓶を買う。ホテルの部屋に入ってその瓶をこすると、中から魔人が出てきて、三つの願いをかなえてやるという。まさに神話の世界の話なのだが、魔人は3000年にも渡る歳月、魔法で閉じ込められる人生を送っており、その時代時代で、さまざまな体験をしてきたという物語を語るのだった。
 不思議な体験を映像の世界で体験するという、映画ならではのおとぎ話である。最初から何か不思議な魔力に満ちた者たちが、時折彼女の周りに現れてきており、なにかが起こる予感はしていた。しかし実際に魔人が現れて不思議な話を聞かせてくれると、何やら彼女は落ち着いて物事を考えられるようになり、ちょっと不思議な選択をすることになる。
 おとぎ話が現実になると、このように頭のいい専門家の女性はどうするのか。そういう意味では実験的なことかもしれない。物語られる物語にしても、人の運命の不思議は感じられるものの、本当の歴史というよりは、おとぎ話や民話といった趣である。むしろ魔人はそれに振り回されて、瓶の中などに閉じ込められることになってしまうのだ。出してくれたお礼に願い事を叶えてくれるというのだから、ふつうなら富であるとか、具体的な欲望につながるものを願いそうなものだが、やはり願いには裏があるという考えもあるのかもしれない。僕としても見ながらそれを考えていたのだが、永遠の命などは願えないらしいし、いくつも願いを増やすこともできない。厳選して三つというのは、十分なのか少なすぎることなのか、よく分からなくなっていくのだ。それほど実際の人間は欲張りだし、願い事のセンスというようなものがあるのかもしれない。
 ほとんどはCGであることはそうなのだろうが、このようなお話というのは、アニメでなければ、以前ならまったく上手く行かなかったことだろう。荒唐無稽でありながら、一定のリアリティのようなものが保たれた上でのファンタジーというのは、現代だからこそもたらされることになった映像美術だろう。昔話が中心だが、現実には極めて現代的なお話にもなっていくのである。三千年も前からガラスの瓶は無かっただろうとは思うけれど、それはそれで、楽しい現代のおとぎ話なのであった。
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24年を振り返る4は日本映画編

2024-12-29 | なんでもランキング

 邦画を分ける必要はないのかもしれないけど、やっぱり別物感があるのは確かだ。僕は日本人なので、邦画の細部は感覚的にわかる部分が深くなる。そういうのがいいのかもしれないし、逆に合わないものもあるのだが……。


愛なのに/城定秀夫監督
 一種のポルノには違いないが、なんとなく考えさせられた。この映画が一番ってわけではないが、一連としてよかった。
 
猫は逃げた/今泉力哉監督
 なんですかこの話は、という奇妙なコメディになっている。笑えると言えば笑える。
 
 これは、荒唐無稽なんだけど、ちょっと感心してしまった。面白いんではなかろうか。
怪物の木こり/三池崇史監督
 
さがす/片山慎三監督
 これもなんだか変なものを見ている感覚はあったのだが、変なりに面白いのである。

 タイムループ物は好きなのかもしれない。
リバー、流れないでよ/山口淳太監督
 なんとなくこの場所に行ってみたい(行ったことあるけど、食事したことないんです)。

夜を走る/佐向大監督
 どんどん変な具合になっていく感じが、ホラーと言えばそうである。


福田村事件/森達也監督
 なんとなく知っている話なのだが、日本人の恐ろしさを知るのもいいのでは。

 これはポルノだけど、やっぱり面白い話だと思う。
欲しがり奈々ちゃん~ひとくち、ちょうだい~/城定秀夫監督
 

ベイビーわるきゅーれ/阪元裕吾監督
 脱力系アクション映画。今一つ僕はノレないものがあるけど、ハマる人が多いのもよく分かります。 

市子/戸田彬弘監督
 まあ、共感できないけど、なるほどね~、とは思った。

罪の声/土井裕泰監督
 よく出来てるな、と感心したので。誰でも知ってる話でこういう芸当ができるとは、驚きである。

怪物/是枝裕和監督
 いわゆる羅生門映画。再生産で、作りが上手い。



 ワーストであるが、笑えると言えば、そんな見方もできるかもしれない。
リボルバー・リリー/行定勲監督
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