カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

検索三位の恐ろしさ、そして嫌な感じ

2024-12-16 | HORROR

 今年のグーグル検索上位は、1位はドジャース、2位がオリンピック(って今年だったんだ!って感じもするな)。そして3位が、田中真美子だったんだそうだ。いったい誰だなんだろう、とは思ったが、しばらく考えてみると、たぶんあの人だろうとはわかることだった。そして同時にひどく寒気を覚えた。これは仕方のない事なのだろうが、そのようにして日本中の注目が集まったことで、さまざまなことが変わってしまったことだろう。たぶん僕のような人間だってその姿というか、写真で顔を知っているはずで、僕は検索した覚えはないまでも、そのようにして彼女の注目がはびこる結果になったはずだ。いまだに動いている姿は観た覚えがあんまりないが(そういえば一度だけ賭博の人の近くに居る動画は観たような気がする)、そのようになる前にずいぶん注意して、露出は最小限に抑える処置がなされていたはずだ。それというのも、そもそも彼女は一流のスポーツ選手だったのだから、普通の人よりもだいぶ露出が多かったにもかかわらず、むしろその情報は限られていた。周到に準備して、いわばフィルターが掛けられていただろう状態であっても、多くの人が検索に走った訳である。もしもそうでなかったならば、もしもこれが日本の一般の体制であったならば、彼女の家族をはじめ、もっと大変なことになっていたのではないか。もっともその情報の少なさもまた、彼女への興味をある程度は助長させたものがあったとしても……。
 多くの人の興味が、どのような視点で彼女にそそがれているのかは、僕には知る由もないのだが、実際には特に悪意のこもったものでは無いというのも分からないではないうえで、非常に不気味なものを感じる。基本的には彼女らは、特に何をしたということは無いので、一般的な傾向としては好意的なものを書かざるを得ない状況にある。一種の皇室のようなものであるのだが、それはその距離感もはじめ、その裏にあるファン心理の神格化した人物の陰にあるからだ。これが状況の変わり次第どうなるものなのかは、大衆の興味の移り変わりの裏にある訳だ。要するにこれからも、彼女らは注意深く行動せざるを得なくなることだろう。そうして、大谷君本人も、さらに何かを残さなければならない使命が先にある訳だ。
 大衆の消費がそういうものだというのは、繰り返すが、ある程度は仕方がない。しかしながらここまでのことはめったにない事だとはいえ、一方で誰もがこの被害者にならないとは、誰が言いきれることなのか。その恐ろしさに無頓着なことが、その寒気の背景にあることなのである。
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悲しい不条理な労働者の恋   枯れ葉

2024-12-16 | 映画

枯れ葉/アキ・カウリスマキ監督

 女はスーパーで働いていたが、賞味期限切れの商品を、おそらく貧困のために苦しんでいる人に横流しし、ちょっと自分でも一つ持って帰ろうとしたところ、手荷物検査で見つかりクビになる。次に怪しいバーで洗いものの仕事をするが、給料日に店主が麻薬取引で捕まってしまい、給与が未払いで泣き寝入りである。そんな中、以前カラオケ屋で知り合った男と偶然会い、コーヒーとパンをおごってもらい映画を観る。なんとなく気が合うものを感じ、電話番号を男に渡すが、男はタバコを吸う時にポケットに入っていたその電話番号を書いた紙を落としてしまう。
 男も職を転々としている。理由はアル中で、仕事中に酒を飲まずにいられず、検査されたり注意されたりすると、仕事を辞めざるを得ない。そういう訳で、二人ともなんだか暮らし向きはよくならない。電話番号を失ったので、なかなか出会えないが、男は女を探し求め、二人で行った映画館の前でずっと待ちつづけていたりしているのだったが……。
 セリフはぶっきらぼうで、出会った二人はお互い名前さえ知らない。男には問題がありすぎて、しかし惹かれあう二人は、自分の感情に抗えない。おそらくこれは、それでもコメディになっていて、ときどき奇妙なコントのような笑いがある。映像はその少ないコントのために作られているとさえ言ってもいい。一発ギャグを決めるために、奇妙な設定が延々と続く。この監督さんらしい演出と、その個性がふんだんに盛り込まれた作品と言っていいだろう。過去の作品も同じように面白いので、これが切っ掛けになって追って観ることもお勧めである。いわゆる過去作も、三部作と言われる同じような作風のものがある。しばらく楽しめるのでお得である。
 寒く閉鎖的であろうフィンランドの情景も垣間見えるが、この監督さんが影響を受けているのは、たぶん日本映画だろう。日本の古い映画を観て、よく分からない奇妙な感慨を得たはずだ。そういう奇妙な映画的な面白さを、西洋の文化ながら少し外れた地にあって、静かに面白おかしく映画をこしらえたらこうなってしまった。勝手な想像だが、そういう作風なのではないかと思うのであった。
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