今年のグーグル検索上位は、1位はドジャース、2位がオリンピック(って今年だったんだ!って感じもするな)。そして3位が、田中真美子だったんだそうだ。いったい誰だなんだろう、とは思ったが、しばらく考えてみると、たぶんあの人だろうとはわかることだった。そして同時にひどく寒気を覚えた。これは仕方のない事なのだろうが、そのようにして日本中の注目が集まったことで、さまざまなことが変わってしまったことだろう。たぶん僕のような人間だってその姿というか、写真で顔を知っているはずで、僕は検索した覚えはないまでも、そのようにして彼女の注目がはびこる結果になったはずだ。いまだに動いている姿は観た覚えがあんまりないが(そういえば一度だけ賭博の人の近くに居る動画は観たような気がする)、そのようになる前にずいぶん注意して、露出は最小限に抑える処置がなされていたはずだ。それというのも、そもそも彼女は一流のスポーツ選手だったのだから、普通の人よりもだいぶ露出が多かったにもかかわらず、むしろその情報は限られていた。周到に準備して、いわばフィルターが掛けられていただろう状態であっても、多くの人が検索に走った訳である。もしもそうでなかったならば、もしもこれが日本の一般の体制であったならば、彼女の家族をはじめ、もっと大変なことになっていたのではないか。もっともその情報の少なさもまた、彼女への興味をある程度は助長させたものがあったとしても……。
多くの人の興味が、どのような視点で彼女にそそがれているのかは、僕には知る由もないのだが、実際には特に悪意のこもったものでは無いというのも分からないではないうえで、非常に不気味なものを感じる。基本的には彼女らは、特に何をしたということは無いので、一般的な傾向としては好意的なものを書かざるを得ない状況にある。一種の皇室のようなものであるのだが、それはその距離感もはじめ、その裏にあるファン心理の神格化した人物の陰にあるからだ。これが状況の変わり次第どうなるものなのかは、大衆の興味の移り変わりの裏にある訳だ。要するにこれからも、彼女らは注意深く行動せざるを得なくなることだろう。そうして、大谷君本人も、さらに何かを残さなければならない使命が先にある訳だ。
大衆の消費がそういうものだというのは、繰り返すが、ある程度は仕方がない。しかしながらここまでのことはめったにない事だとはいえ、一方で誰もがこの被害者にならないとは、誰が言いきれることなのか。その恐ろしさに無頓着なことが、その寒気の背景にあることなのである。