メッセージ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
正直に言って一度観たくらいでは分からなかった。なんだろうこれは? と思ってもう一度観た。それでもちゃんとわからなかった。ずるをしてネットであらすじを見て、びっくりした。そんなお話だったのか! でもまあ、そういう感じであっても、不思議と楽しめたということか。量子力学的なお話だったという事であれば、それなりに納得がいく。
宇宙人がやってきた、という感じが確かにいい。実際にやってくると、そんな感じになるのかもしれない。人間は大混乱に陥るが、これも当然だ。交信を試みるが、最初はやっぱりよく分からない。イカのような生物が墨を吐きだして丸い文字のようなものを見せる。それを解読していく言語学者の物語である。そうしてある意味で、彼女の一生の物語で、地球を救う物語だ。そんな風にいうと、なんだか日本のアニメみたいだな。
文字を解読していくと、その理解共に、自分自身もイカのような生物と同じような時間軸を理解できるようになるというお話だという事である。これが分からないと、物語が理解できない。要するに僕にはこれが観ている時にはぜんぜん理解できなかった。しかし、後で考えてみると理解はできるので、それはそれでいいのかもしれない。映画館で観なくて良かった。そういう時間に長い間投げ出されたままでいると、気分はきっと悪くなったに違いない。
実際の話として物理や時間があるのだから、僕は宇宙人がやってこないことは既に知っている。しかしこのような物語であれば、ひょっとすると希望は持てるのかもしれない。なるほどそういう手があったのか、と感心した。それでもそう簡単にはやってはこないだろうけど、夢を見ることくらいは出来るだろう。地球が混乱するのは迷惑だけど、来たらやっぱり面白いだろう。しかしこのように好意的である可能性は、限りなくゼロに近いとはホーキングさんが予言している。その予言が間違っていることを、僕は願っている訳だ。そういう人達が映画を作ると、このような作品になる。人は運命が決まっていても、生きることが出来る。それは希望なのかどうかはよく分からないのだけど、まあ、ひとつの面白い見解であると言えるだろう。