秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(解体と悪魔と天使と時々シゲオ)

2024年07月16日 | Weblog
お久しぶりの前略。
ブログの更新で、主様と私の安否確認をして下さっている、
読者の皆様。ありがとうございます。
珍しい写真も撮れなくて、ついつい不精をしておりました。ごめんなさいませ。
今年も有り難く、うっちゃんが収穫した祖谷のじゃがいもを、頂きました。
大変な労力で収穫されているので、農業オンチの私は、毎年感謝感激致しております。
我が家のプランターのネギは、
アジサイに占拠されて、雑草との区別がつきません。
持ち家があって、庭があって、畑がある家に、憧れます。
縁側なんかあると、それはもう、究極のしあわせ!
我が家は、崖っぷちに近いような場所に、建っています。そして、谷に囲まれています。
裏に祖谷川が流れているので、地下の部屋は、カビの温床。
昔、私の両親が立地条件の悪い土地と判っていても、食堂を営む為に、借金をして、購入したのです。
その土地に家を建て直して、私が住んでいますが、昔の家具は使えるものは、そのまま使っています。

コツコツと、自分で出来る範囲で、色んな物を処分しています。
地下の部屋には、引き出しが6つ付いた古いタンスを、不要な物入れとして置いていました。
60年以上前のタンスは『指し物』技術によって、作られたものでした。釘は一本も使われていません。
天板と側面に薄い化粧合板が貼っているだけで、合板の下はベニア板です。
中に主人の少量の洋服とか、タンスの上には人形ケースを、置いていました。

人形ケースの中には、これまた古ーいお土産に頂いた置き物。
修学旅行で買っただろう、『根性』と書かれたペンケース。木彫りの熊。小さいダルマ。
海外の人形?今は亡き友人から、誕生日に頂いた数個の貯金箱。
それらが、白黴に覆われながら、ガラスケースの中で、辛うじて息を潜め
ておりました。 
カビが臭い。これは我が家の難題でした。何度換気して、何度拭き掃除しても、すぐに新たなカビが、出現します。
『タンスと人形ケースを処分しなさい』神様の声がしました。
そして、涼しかった昨日。
引き出しを空っぽにして、引き出しを全て外に運び、軽くなったタンスの本体を、
階段を一つ一つ持ち上げて運び出し、ガレージの横で解体です。 
燃えるゴミの袋に詰めれるサイズまで解体します。
谷に流したら早いじゃない!
悪魔の声が囁きましたが、天使が優しく囁きました。
『それは不法投棄よ』
悪魔と天使の間には、中間派天使もいます。中間派天使が囁きました。
『収集してもらえなかったら、流しなさいー!貴方は頑張りましたー!』
で、一枚一枚コツコツと外して、ノコギリで切り、切り目に足を勢いよく下ろし、真っ二つ。
私は本当に、気が長い。
一人でコツコツするのが、大好きです。(側溝掃除以外)
で、小雨が降り出して、最後の一段の引き出しをバラしていたら、それは出てきました。
最後の一段をバラし、何気なく左手に握った側面の板を見ると、
見覚えのある文字。それは黒マジックで書かれた父の文字。
『京上 古物商 ◯◯』
荒っぽい字体だが、苗字の筆跡は父だ。
60年ぶりに現れた父の文字は、みつけた瞬間に、一瞬にワープして、ポンっと父が声をかけてくれたみたいだった。父の気配を感じた。
『がんばりよるばいねー!よかよー!よかよか!』

タンスの中に、名前を残す。
シゲオは、やっぱり オモシロイ!
それを、みつけることが出来た、偶然の神様に、ジワーと感謝する。
手作業だったから、見つけられた奇跡。

ひぐらしが鳴いている。増水した祖谷川の音に、かき消されていく。
歳を重ねる度に、その鳴き声は切なく響く。
抱く不安は誰もが同じだ。
抱え方が、少し違うだけで、誰かといても、何をしていても、
不揃いな虚無感は消滅はしない。人は永遠に『個』なのだから。
その『個』は、誰の領域でも無い。
その『個』の、陽の射す場所を、楽しもう!
『ココロ』だけは、カビてはならない!
よかよー!よかよかっ!

           草草



















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