秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

菜菜子の気ままにエッセイ(馬鹿道・東祖谷ウルトラマラソンありがとう!後編)

2024年05月22日 | Weblog
鴨鍋の夜に、
漠然と聞いていた、今回の企画。
ユルユルシローと、ばんどーうさぎの話を聞きながら、それでもピンとこなかった。
ピンとこないままに、付き合い程度で、参加初日を迎え、
数時間してなんとなく、馬鹿道マラソンの私なりの景色が、見えてきた。
うさぎいわく、ボランティアスタッフは最小限で良い。
道案内も、要らない。
ランナーは、迷ったら誰かに道を尋ねて、迷う先にある出来事も、それはそれで、愉快痛快快感!
必要なのは、出会うこと。

感じること。探し、目覚めること。
その場所を訪ねて、その場所で出会った方々に感謝し、ほんの気持ちの地域経済活性化のお手伝い。
走らせてもらって。ありがとう!
みたいな。
前略。
私の趣味は、ボランティアであります。最近は貧困生活の影響を受け、
かなり意識は変わりましたが、基本、ボランティア精神に欠ける人は、
私の中の人ではありません。
儲け主義を掲げて、突っ走る方々には、何の魅力も感じません。
勝手に儲けてくださいね。みたいな。
そんな、私にしてみたら、マラソン初参加のランナーを傍観しながら、
知らんぷりは出来ません。
迷ったら、それはそれで良し!は、走るペース配分に余裕のある方の話で、
ヘトヘトになりながら、迷い、その無駄になった体力で、
ゴールを諦めてしまったとしたら、それはそれで、気の毒だと思うんです。
祖谷の道は、一度迷ったら、引き返しにかなり時間がかかります。
祖谷で道を尋ねて、『すぐそこよ』は、歩いてでも10分20分は、かかります。
なるべくなら、誰にも会わない農道や林道で、迷ってほしくなく、
迷うなら誰かに会える集落で、迷って欲しい。
酒の飲み方を知らない人に、取り敢えず飲めるとこまで、飲んでみろー!
などとは、私は言えませんっ。
手を貸すな、手を貸すな。
うさぎは、歯痒い気持ちで、見ていたでしょう?
でも、圏外で冷たい雨に打たれて、一人で歩くランナーを待つだけは、
私の中では絶対に無理でございました。
再び、N BOXを始動し、再び落合峠を目指す。
真っ直ぐな姿勢で、ひたすら歩く彼の背中を、尾行並みに距離をとり、
分かれ道を間違わないで進めたか?確認しながら、追跡する。
落合峠の山々は、まさに新緑真っ盛り!雨上がりの条件も重なり、立ち上がる霧が、また絶景!
『キレイー!』
と何度も雄叫びをあげながら、立ち止まる。
彼も彼で、何度も立ち止まり、シャッターを押していた。
この3時間遅れの状況で、ただモノでは無い。
無事に昼食予定の、落合集落の古民家『なこち』に着き、
縁側にすわり、そば道場のお蕎麦を堪能していた。
遅れましたが、今回のこの企画で、私の1番のミッションは、
C子ちゃんと二人で、そば道場の打ちたて蕎麦と、おにぎりをランナーの皆様に、
お出しする事で、ございました。
なこちの縁側からは、中上集落が、一望できます。一瞬一瞬で変わる、
雨の中の景色を、皆さん一同感動されておりました。 
日本の原風景ですね。こんな場所が、あったんですね。本当に来て良かったです。ホンモノの非日常ー!
褒めて褒めて褒めまくって、おりました。
村人が生活を営み、その普通の丁寧な暮らしのそれらが、
そこに在るだけで、訪れた人は、感動を受ける。
補助金の煩雑な手続きとか、承認もいらない。
一番大切な、在るべき姿は、普通のささやかな暮らしの営み。
その暮らしを万全に支える一生懸命な市政。
ランナーの皆さんのお名前を、覚えようと務めましたが
、4人まででギブアップしました。ごめんなさい。
ランナーの皆さんの弾ける元気に包まれた二日間。
本当に貴重な非日常を経験できました。ありがとうございました。
企画して下さった、坂東様、ついでにユルユルシロー様、ありがとうございました。
新鮮な時間で、贅沢になれた気持ちで、日常のお仕事に戻りました。
祖谷の村人は、お接待が大好きです。
そして、『しものひと』に、親切です。それは、祖谷の文化です。
また、会いましょう。
まだまだ、走るコースは、無限大!
何故か、本日500メートルの坂道を走って上がって、息を切らせた。
私は他者からの影響を、すぐに受ける。単純で判りやすい。
そして、シツコイ位の、おせっかいだ。

         草草




















































菜菜子の気ままにエッセイ(東祖谷ウルトラマラソン・初日)

2024年05月21日 | Weblog
前略。
初日は夏日でありました。参加ランナー14名
朝の5時に京上の宿を出発。 
小島大日堂、釣井木村家、龍宮崖コテージ、阿佐家、昼食後、大枝武家屋敷喜多家。
更に中上集落にある、落合集落展望所。そして1日目のゴール、
案山子の待つ名頃を目指して、炎天下をひたすら走る。歩く。立ち止まる。

2日目は昨日とは真逆の冷たい雨。朝からずっと降り止まない。
冷たい雨に打たれながら、名頃を出発。そして難所の落合峠!電波は圏外。
この冷たい雨が、ランナー達を苦しめた。と思う。
今回、初チャレンジした、若者がいた。マラソン未経験。時々祖谷を訪れている、祖谷好き。
話を聞いて、なんか面白そう?と軽い軽いノリで、参加したみたいだ。
交流会の夜、自ら、皆さんの足を引っ張ります。すみませんと、公言していた、爽やかな好青年。

⁂私は男前には、全て好青年と書く。悪しからず。
マラソン未経験。100キロマラソンも、当然未経験。
他のランナー達は、軽装なのに、この若者、重たいリュックを前掛けにしている。大事そうに抱えている。
その中身は、一眼レフカメラ。
姿勢は良い。姿勢よく、歩いている。
初日から足の裏にいくつもマメが出来て、裂けかけて、痛くて走れなくなった。
走れないが、声は軽快だった。
彼の後ろを、時速4キロくらいで、付いて走った。
『大丈夫、頑張れそう?』
と、おばさんは声をかける。

「足のマメが裂けそうで、痛いです」
『コットン、持っているから、とりあえず当てて様子みてみる?』
「ハイッ、ありがとうございます。使わせてもらいます!」
近くの石に座らせて、コットンを渡す。⁂仕事で持ち歩いている、消毒用のコットン。
少し離れて、見守る。
コットンをあてると、大分楽になったらしく、展望所をあとにして、歩き出した。木漏れ日のコースを下って、
再び、炎天下の国道におりた。
再び、後方から彼の背中をずっと、見守る。時々立ち止まり、カメラをその都度とりだして、風景を写している。
相変わらず、姿勢は良い。

姿勢は良いが、苦しいですー、僕はどうしたら良いのでしょうー!の哀愁が、背中に漂っている。
再び、車を止めて、声をかける。
『オーエスワンのゼリー、とりますか?』
「ありがとうございます!頂きます!」
本当に、声は軽快だ!
きっと、彼のお母様が、挨拶だけは、きちんとしなさい!と、躾をして、育てたんだろう。
それと、人様が下さる物は、断ってはいけません!とも、言い聞かせていたのかも?しれない。
彼はゼリーも一気に口に流し込む。
再び、歩き出す。
私も 這うような速度でついて行く。
『虹の見える橋は、まだですか?』
と聞いてくる。
「あと、1時間以上は、かかるかな?」 おばさんは、適当に応える。
虹の谷に、到着した。
再び、写真を、撮っている。
『早い人は、ゴールしているんでしょうね』と、ぽつりと呟く。
「大丈夫よ。自分のペースで、ゆっくり行こう」
おばさんは、優しく声をかける。こんなに優しい声が、自分のどこに隠れていたのか、おばさんは、考えた。
考えながら、私は多重人格なのかも知れないと、自分を納得させた。
「ピーナッツ、食べる?」
『はいっ、頂きます』
私の車のダッシュボードの中には、大量のピーナッツの小袋が、入っている。正確に白状すれば、
在宅の訪問先の池田町の山の上の利用者様が、おやつに食べなさいと、行く度に持たせてくれるピーナッツだ。
池田町の山の上の利用者の手から、放たれたピーナッツを、今、沖縄県の若者が、それを食べて、空腹を満たしている。なんか、楽しい~!
アリナミンのパウチのゼリーも、渡した。一気に口に運ばれた。
「この、掘っている石ね、これね、日浦の義時さんって言う、面白いオッちゃんが昔いてね、
全部一人で掘ったんだよー。凄いでしょう!」
私は、しもの人の前では、キチンと標準語が使える。エライッ!わたしっ!
彼は何枚も写真を、撮っていた。
なんか、義時爺が、喜んでくれている気配がした。
再び、彼は初日のゴールを目指し、歩き始めた。
菅生から、C子ちゃんと一緒に一台で彼の背中を、ゆっくり追いかけた。
しばらくすると、途中でリタイヤされた方が、車で駆けつけてきてくれた。
ここからは、私達で見守りますから、大丈夫ですとのことで、
私達は、短いドライブを楽しんで、1日目の帰路に着いた。
         後半に続く