春夏秋冬
朝昼晩
年がら年中、お財布の中が、ぺっちゃこな
〈うし女〉
の長女が、安否確認の電話の後で…
声を裏返して
可愛らしく、お母様に聞いてきた
段取りの鬼のお母様は、春祭りの当家の準備に、大忙しだった。
……
……
「母ちゃん…あのな…父ちゃんに聞いてほしいんじゃけど」
『なんて? 聞いたらええん?
「あのな、可愛い娘に、財布の中のお金、プレゼントしてくれんか?聞いてみて…」
『なぬっ?』
お母様は おくちが開いたまま、鼻呼吸をした。
※鼻の穴は また 大きくなった。こいつのせいだっ!
『ちょっと待ちなよ、父ちゃんに聞いてあげるわ~』
一秒、主人を見た
『イカンゾっ!やらんぞっ!父ちゃんの財布は、父ちゃんのもんじゃ!』
…と 主人は答えた。
うし女に伝えた。
『やらんって!』
うし女
撃沈っ!!!
お母様も、うし女の知らない日に、
父ちゃんの財布の中身を数えた。
心の中で つぶやいた
『なあ~なあ~これで宝くじ買って、当たったら返すから、暫くわたしに、預けてくれんの~?』
※可愛らしく…新婚時代のように、話しかけてみた
声が 聞こえた
『ごじゃあは
言うなよ~!』
嫁さん 撃沈っ!
春祭りの当家だったので、神主さんが、家に来て下さった。
昔から、地元で這うように頑張っていた、神主さんは
※祖谷では おたゆうさんと呼ぶ
あちゃらの世界に 旅に出られたので、神主の資格を取得した
プチプロ神主さんが、祝詞をあげて下さった。
普段は 地元の人達には、
〇山のオッチャンで、名が通っている。
祝詞が始まった。
ドラえもんみたいな、区長さんと一緒に、神主さんの後ろで、厳粛に聞いていた。
神主語は さっぱりわからない。
般若心行はスラスラ言えるが、
神主語は、宇宙人が二日酔いになって、朝から寝言を言っているみたいに、耳に聞こえる。
じっと、厳粛に
寝言のような?ありがたい祝詞を、聞いていた。
途中で、わたしの
名前が、入る。
わたしが、家主だからね。
……も〇〇〇 ま〇〇
の○△□◇…
○△□◇ ○△□◇
……?
……?
オッチャンの肩を後ろから、チョンチョンとつついて
わたしは 言った
『わたしの、名字ちがうよ~~さ〇〇ら』
「あ~そうか~!嫁さんに行とったんじゃのうや~!前の名前と、違うんよのうや~!
スマン~スマン」
再び 神主さんの顔に?なり、
祝詞を続けた オッチャン~
後ろを振り向けば
笑いのスイッチが入ったまま、必死で堪える、ドラえもん区長さん。
わたしも 必死で笑いを堪えた。
※苦しかった
春祭は 盛大に終わり、
長い間、気になりながら、逃げてきた当家の務めを果たし、
スッキリとした、わたくしで ありました。
そして
気がついた ことがあった。
わたしは、誰かの為に料理を作っている時間は、全然、疲れないという事実!
ストレスが ない!
ストレスがないから
疲れない!
やっぱり 食堂をやっていた両親の遺伝子だ。
友達がお手伝いを、してくれて、
近所の おばちゃんが
手伝って下さって
わたしは、何て 幸せ者なんだろう~!
神様に 感謝っ!
※顔が 浮かばない?
そして 料理の残り物は、テラオの兄さんに、食わせてやり、
わたしって めちゃくちゃ エエ奴~!
そして あくる日
清められたお体で、仕事の途中で、立ち寄った先は…まいどの
《宝くじ売り場》
……
……撃沈
死ぬまで 働けと
神様が 言いました。
浮かんだ 顔は
ブサイクでした。
頑張ります
死ぬまで 働きます
頑張れ! 庶民!
頑張れ! 氏子!
頑張れ! 神主さん!
草 々