『なんか、落ち着くよね〜』
「ちょっと遠かったけど、来る価値あるねー」
『この縁側、なんか良いよねー』
「お腹イッパイだわー。デザートの豆腐プリン、絶妙に美味しかったわ」
『ジビエ彩りカツに、地元の野菜に、ミニミニ田楽、ソバ米スープ、全部美味しかったねー』
「サラダの中のプチプチって入ってたの、アレって何?」
『あれねー、私も気になったから、聞いたんだ。
お蕎麦になる前の、ソバ米の粒を素揚げしてあるんだって』
「初めての食感だねー!ホントに、来て良かったね。明日から、また、頑張れるね!」
『この場所の菅生って、すげおいって読むんだって。私はカンセイって思ってたわー』
「ほんと、読めないよねー、祖谷も、普通はソヤって読むよね。そこからが、不思議よねー」
『次はいつ、来る?』
「不定期営業みたいだから、また、インスタ見て決めよう!」
『そうだね、それまで日常を、頑張ろうねー』
「ごちそうさまでしたー美味しかったです」
『コハルちゃん。またねー』
カフェ・こはる
井川インターから、車で1時間20分
大歩危駅から、車で50分。
営業 日曜日 (不定期)
前略。
私は香川県でC子ちゃんとランチを楽しみながら、
頭の中で、空想を爆発させていた。
C子ちゃんと、林道巡りにカフェ巡り。
仕事以上に、忙しい?
一見、閑散としているように見えても、ドアを一枚開ければ、
そこは満席の賑やかさ。喋り場が、真空パックされてるみたいだ。
お洒落な女子に、普通のおばちゃん達が、それぞれに会話を弾ませながら、運ばれてくる食事を楽しんでいる。
しばらく、食事を楽しんでいると、C子ちゃんが、ポツリと呟いた。
『こんなに、ゆっくりとした時間を過ごせる日がくるなんて、あの時は思わなかったよなぁ』
「そうだね‥」
『一つ一つ向かい合って、乗り越えてきて、良かったな』
「うん、そうだね‥」
ちょっとウルっときたが、我慢した。
カフェで泣きながら食事する人なんか、見たことがない。
そんな光景は、戦後の白黒画面のドラマの話だ。
カフェを、訪れる度にいつも、感じる。
田舎にあるカフェのまわりは、日常生活が慌ただしく動いている。
そこに住む住民の、日常生活だ。
カフェを訪れる人々は、それらの日常から少し逃げ出して、別の空間を楽しむ。
日常生活とは少しかけ離れた空間を楽しむ。
壁の材質。木の椅子の異なるデザイン。小物のディスプレイ。
運ばれてくる器のデザイン。
それぞれに試行錯誤したであろう、メニューの数々。
丁寧な料理に出会うと、身体中の細胞が、ワクワクする。
平和ボケで、ごめんなさい。
東祖谷で、日曜日に営業している食事処は、お蕎麦屋さんだけだ。
ちょっと誰かとお茶をしたいと思っても、場所が無い。
都会に住む人達には、毎度毎度、ピンとこないでしょうが、
地元住民は殆どが、立ち話か、長電話。
唯一のコミュニティの場所は、地元の診療所。
病気を抱えた方々とは思えないくらい、待合室は賑わっております。
C子ちゃんの耳にタコが吸い付く?くらいの頻度で、
カフェやろう、カフェ、カフェ!
楽しませたくない?
祖谷に来てくれた人を、楽しめたくない?
と、言っていましたら、
C子ちゃんが、ポツリと言いました。
『来るか来ないか、わからない人をじっと待つことは、わたしは、出来ないんよ』
私は出来るよー!
私は一日中待つことが出来るよー。
待つことは得意中の得意だけど、
私は、つむじんこちゃんや、ちなみ女史や、C子ちゃんみたいに、
オシャレなケーキもパンもお菓子も作れないっ!
料理を運んで、お皿を洗うことは、自信を持って出来るっ!
私に垢抜けた能力があれば、問題は8割解決するのに、
何て地味な中途半端な仕上がりになってしまったんだろう。
やたらと鼻のデカかった父の顔が浮かぶ。却下する。
この非日常の空間に、更に非日常なカフェが出来ることを夢みて、
私は今日も、空想を爆発させる。
草草
「ちょっと遠かったけど、来る価値あるねー」
『この縁側、なんか良いよねー』
「お腹イッパイだわー。デザートの豆腐プリン、絶妙に美味しかったわ」
『ジビエ彩りカツに、地元の野菜に、ミニミニ田楽、ソバ米スープ、全部美味しかったねー』
「サラダの中のプチプチって入ってたの、アレって何?」
『あれねー、私も気になったから、聞いたんだ。
お蕎麦になる前の、ソバ米の粒を素揚げしてあるんだって』
「初めての食感だねー!ホントに、来て良かったね。明日から、また、頑張れるね!」
『この場所の菅生って、すげおいって読むんだって。私はカンセイって思ってたわー』
「ほんと、読めないよねー、祖谷も、普通はソヤって読むよね。そこからが、不思議よねー」
『次はいつ、来る?』
「不定期営業みたいだから、また、インスタ見て決めよう!」
『そうだね、それまで日常を、頑張ろうねー』
「ごちそうさまでしたー美味しかったです」
『コハルちゃん。またねー』
カフェ・こはる
井川インターから、車で1時間20分
大歩危駅から、車で50分。
営業 日曜日 (不定期)
前略。
私は香川県でC子ちゃんとランチを楽しみながら、
頭の中で、空想を爆発させていた。
C子ちゃんと、林道巡りにカフェ巡り。
仕事以上に、忙しい?
一見、閑散としているように見えても、ドアを一枚開ければ、
そこは満席の賑やかさ。喋り場が、真空パックされてるみたいだ。
お洒落な女子に、普通のおばちゃん達が、それぞれに会話を弾ませながら、運ばれてくる食事を楽しんでいる。
しばらく、食事を楽しんでいると、C子ちゃんが、ポツリと呟いた。
『こんなに、ゆっくりとした時間を過ごせる日がくるなんて、あの時は思わなかったよなぁ』
「そうだね‥」
『一つ一つ向かい合って、乗り越えてきて、良かったな』
「うん、そうだね‥」
ちょっとウルっときたが、我慢した。
カフェで泣きながら食事する人なんか、見たことがない。
そんな光景は、戦後の白黒画面のドラマの話だ。
カフェを、訪れる度にいつも、感じる。
田舎にあるカフェのまわりは、日常生活が慌ただしく動いている。
そこに住む住民の、日常生活だ。
カフェを訪れる人々は、それらの日常から少し逃げ出して、別の空間を楽しむ。
日常生活とは少しかけ離れた空間を楽しむ。
壁の材質。木の椅子の異なるデザイン。小物のディスプレイ。
運ばれてくる器のデザイン。
それぞれに試行錯誤したであろう、メニューの数々。
丁寧な料理に出会うと、身体中の細胞が、ワクワクする。
平和ボケで、ごめんなさい。
東祖谷で、日曜日に営業している食事処は、お蕎麦屋さんだけだ。
ちょっと誰かとお茶をしたいと思っても、場所が無い。
都会に住む人達には、毎度毎度、ピンとこないでしょうが、
地元住民は殆どが、立ち話か、長電話。
唯一のコミュニティの場所は、地元の診療所。
病気を抱えた方々とは思えないくらい、待合室は賑わっております。
C子ちゃんの耳にタコが吸い付く?くらいの頻度で、
カフェやろう、カフェ、カフェ!
楽しませたくない?
祖谷に来てくれた人を、楽しめたくない?
と、言っていましたら、
C子ちゃんが、ポツリと言いました。
『来るか来ないか、わからない人をじっと待つことは、わたしは、出来ないんよ』
私は出来るよー!
私は一日中待つことが出来るよー。
待つことは得意中の得意だけど、
私は、つむじんこちゃんや、ちなみ女史や、C子ちゃんみたいに、
オシャレなケーキもパンもお菓子も作れないっ!
料理を運んで、お皿を洗うことは、自信を持って出来るっ!
私に垢抜けた能力があれば、問題は8割解決するのに、
何て地味な中途半端な仕上がりになってしまったんだろう。
やたらと鼻のデカかった父の顔が浮かぶ。却下する。
この非日常の空間に、更に非日常なカフェが出来ることを夢みて、
私は今日も、空想を爆発させる。
草草