長女が帰省する。
オーガニック絶対主義政党員?が、帰省する。
とりあえず、白砂糖を見えない場所に、隠す。
普段は赤砂糖を使用しているが、酢の物には白砂糖を使うことが多い。
とにかく、争いを避ける為に、白砂糖を隠す。
長女は、帰るなり、扇風機の掃除を始めていた。
それを終えると、台所に立ち、シンクの掃除を始めた。
ひたすら、磨いたら、洗面所に向かっていた。私は動かないで、ジッとしていた。
ヘルパーさんも十人十色だと、昔言っていた利用者の言葉をふと思い出した。
今、目の前にいるヘルパーさんは、添加物と農薬を敵とする、オーガニック絶対主義党プラス掃除魔なんだ。
掃除魔は、水回りを掃除して、座って私に聞いてきた。
『あー、スッキリした。なんか、やることあったら、言うてな』
その一言を待っていた。
「片手でも出来るけど、ついでに掃除機かけてくれる?」
『掃除機かけんでも、部屋キレイなよ』次女と同じことを言う。
「細かいホコリとか気になるけん、かけてくれたら、有難い」
どこかで言った同じセリフだ。
『母ちゃんは、壁の汚れとかは、気にならんの?』
「かべ?」
『壁のホコリ、ヤバいよ。普通、壁のホコリを取ってから、床の掃除だろー』と、ヘルパーさんが言う。
そんなに隅から隅まで、普段はやらんよと、適当に返事をする。
友人がアメゴの唐揚げと、コロッケを持って来てくれた。
感謝!感謝!祖谷川で釣ったアメゴを食べたのは何年振りだろう。
美味しく美味しく頂く。
2日後は、年に一度の村の一斉清掃の日だ。
今まで不参加したことは無く、それなりに頑張って参加してきた。
高齢化でも、みんな頑張って各自の集落の草刈りや側溝掃除をしている。
蜂に刺されてドクターヘリで運ばれたり、側溝の蓋に指を詰めたり、
草刈りの際の石が跳ねて、車を傷つけたり、毎年何かしらの被害がでる。
祖谷に帰省したり、観光で訪れたりする人達が、気持ち良く道路を走れるのは、
そんな見えない村民の苦労があっての事だと、覚えておいて下さい。
目の前の大量の草を刈るのは、労力のみです。お金や、熱意ではありません。
村に生きると言うことは、日々、労力と自身の体力との駆け引きです。
炎天下で、家の前の僅かな草をひきながら(次女も必死で掃いていた)、長女が言う。
何回しても、すぐに葉っぱだらけになるなあ!
『家の周りだけでもキレイにしておかないと、みんなに迷惑かけるようになる』と呟いたら、
長女の中で、何かのスイッチが入った!次女のキャベツの千切りの前と同じ横顔だ!
手袋と帽子と剪定バサミ貸して!と炎天下なのに、隣の空き家の前の草を抜き始める。炎天下なのだ。
長女が頑張るのに、私が家の中で、寛いではいられない。
小さなホウキを出して、右手で掃く。長女は、剪定バサミで小さな草を丁寧に摘んでいく。
石垣の隙間の草も、丁寧に丁寧に摘んでいく。まるで、趣味の園芸コーナーを
ライブ配信しているみたいだ。暑さで顔は真っ赤になっている。
『あのな、そんなに丁寧にせんでもええよ、道つくりの草刈りは、大きな草だけ刈るんよ』
そっと背後から声をかける。
「なんでー!そんなんでは、全然キレイにならんだろ!?」
オーガニック絶対主義党員が、真っ赤な顔で振り返る。
熊手を出すから、熊手で掃いた方が楽じゃよと、熊手を差し出すと、
長女は、『待って!ちょっと休む!なんか飲む!シンドイ!』と帽子を取る。
「一気にやった方が楽なよ」と言うと、『待って!水分摂るから待って!』とスマホと一緒に、
必死で家の中に入っていく。スマホは身体の一部みたいだ。
水分を得た長女は、再び作業を始め家の周りはキレイになった。
うっちゃんに頂いた祖谷の芋を炊いて、醤油をつけて、二人で食べる。
『母ちゃん、なんでこんなに、美味しいん?売りよる芋と、全然味が違うわ!』と感激していた。
ごうしゅ芋は、地元では〔ごうしも〕と呼ばれている。急斜面と気候の具合で、集落ごとに微妙に味は変わる。
自信を持ってお伝えします。
私は味には結構、うるさいですが、本当に小さな芋の中に、
永遠と引き継がれた祖谷の暮らしが詰まっていて、種芋が数十年の暮らしを生き、
継がれていく。祖谷のごうしもは、祖谷山の暮らしの全てです。食文化の歴史そのもの。
そして、宝物です。
長女と過ごした3日間も終わり、長女は心配しながら、帰って行った。
人差し指一本のケガで、何人の人達に迷惑をかけたんだろう。
逆に何人の人達の利益になったんだろう。病院の領収書の束を見ながら、
社会は何かしらのハプニングを軸にして、シーソーみたいに動いている。
シーソーに乗ったり、降りたりを繰り返しながら、毎日が繰り返される。
宿題の無い、私の長い夏休みは、もうすぐ終わる。
セミの声。祖谷川の音。ソバとんぼが、木立の向こうを流れるように飛んでゆく。
慣れ過ぎたヤマガラの愛しさ。
盆も過ぎましたが、今年も沢山の消えてしまった生命の魂に向けて此方からの
合掌
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オーガニック絶対主義政党員?が、帰省する。
とりあえず、白砂糖を見えない場所に、隠す。
普段は赤砂糖を使用しているが、酢の物には白砂糖を使うことが多い。
とにかく、争いを避ける為に、白砂糖を隠す。
長女は、帰るなり、扇風機の掃除を始めていた。
それを終えると、台所に立ち、シンクの掃除を始めた。
ひたすら、磨いたら、洗面所に向かっていた。私は動かないで、ジッとしていた。
ヘルパーさんも十人十色だと、昔言っていた利用者の言葉をふと思い出した。
今、目の前にいるヘルパーさんは、添加物と農薬を敵とする、オーガニック絶対主義党プラス掃除魔なんだ。
掃除魔は、水回りを掃除して、座って私に聞いてきた。
『あー、スッキリした。なんか、やることあったら、言うてな』
その一言を待っていた。
「片手でも出来るけど、ついでに掃除機かけてくれる?」
『掃除機かけんでも、部屋キレイなよ』次女と同じことを言う。
「細かいホコリとか気になるけん、かけてくれたら、有難い」
どこかで言った同じセリフだ。
『母ちゃんは、壁の汚れとかは、気にならんの?』
「かべ?」
『壁のホコリ、ヤバいよ。普通、壁のホコリを取ってから、床の掃除だろー』と、ヘルパーさんが言う。
そんなに隅から隅まで、普段はやらんよと、適当に返事をする。
友人がアメゴの唐揚げと、コロッケを持って来てくれた。
感謝!感謝!祖谷川で釣ったアメゴを食べたのは何年振りだろう。
美味しく美味しく頂く。
2日後は、年に一度の村の一斉清掃の日だ。
今まで不参加したことは無く、それなりに頑張って参加してきた。
高齢化でも、みんな頑張って各自の集落の草刈りや側溝掃除をしている。
蜂に刺されてドクターヘリで運ばれたり、側溝の蓋に指を詰めたり、
草刈りの際の石が跳ねて、車を傷つけたり、毎年何かしらの被害がでる。
祖谷に帰省したり、観光で訪れたりする人達が、気持ち良く道路を走れるのは、
そんな見えない村民の苦労があっての事だと、覚えておいて下さい。
目の前の大量の草を刈るのは、労力のみです。お金や、熱意ではありません。
村に生きると言うことは、日々、労力と自身の体力との駆け引きです。
炎天下で、家の前の僅かな草をひきながら(次女も必死で掃いていた)、長女が言う。
何回しても、すぐに葉っぱだらけになるなあ!
『家の周りだけでもキレイにしておかないと、みんなに迷惑かけるようになる』と呟いたら、
長女の中で、何かのスイッチが入った!次女のキャベツの千切りの前と同じ横顔だ!
手袋と帽子と剪定バサミ貸して!と炎天下なのに、隣の空き家の前の草を抜き始める。炎天下なのだ。
長女が頑張るのに、私が家の中で、寛いではいられない。
小さなホウキを出して、右手で掃く。長女は、剪定バサミで小さな草を丁寧に摘んでいく。
石垣の隙間の草も、丁寧に丁寧に摘んでいく。まるで、趣味の園芸コーナーを
ライブ配信しているみたいだ。暑さで顔は真っ赤になっている。
『あのな、そんなに丁寧にせんでもええよ、道つくりの草刈りは、大きな草だけ刈るんよ』
そっと背後から声をかける。
「なんでー!そんなんでは、全然キレイにならんだろ!?」
オーガニック絶対主義党員が、真っ赤な顔で振り返る。
熊手を出すから、熊手で掃いた方が楽じゃよと、熊手を差し出すと、
長女は、『待って!ちょっと休む!なんか飲む!シンドイ!』と帽子を取る。
「一気にやった方が楽なよ」と言うと、『待って!水分摂るから待って!』とスマホと一緒に、
必死で家の中に入っていく。スマホは身体の一部みたいだ。
水分を得た長女は、再び作業を始め家の周りはキレイになった。
うっちゃんに頂いた祖谷の芋を炊いて、醤油をつけて、二人で食べる。
『母ちゃん、なんでこんなに、美味しいん?売りよる芋と、全然味が違うわ!』と感激していた。
ごうしゅ芋は、地元では〔ごうしも〕と呼ばれている。急斜面と気候の具合で、集落ごとに微妙に味は変わる。
自信を持ってお伝えします。
私は味には結構、うるさいですが、本当に小さな芋の中に、
永遠と引き継がれた祖谷の暮らしが詰まっていて、種芋が数十年の暮らしを生き、
継がれていく。祖谷のごうしもは、祖谷山の暮らしの全てです。食文化の歴史そのもの。
そして、宝物です。
長女と過ごした3日間も終わり、長女は心配しながら、帰って行った。
人差し指一本のケガで、何人の人達に迷惑をかけたんだろう。
逆に何人の人達の利益になったんだろう。病院の領収書の束を見ながら、
社会は何かしらのハプニングを軸にして、シーソーみたいに動いている。
シーソーに乗ったり、降りたりを繰り返しながら、毎日が繰り返される。
宿題の無い、私の長い夏休みは、もうすぐ終わる。
セミの声。祖谷川の音。ソバとんぼが、木立の向こうを流れるように飛んでゆく。
慣れ過ぎたヤマガラの愛しさ。
盆も過ぎましたが、今年も沢山の消えてしまった生命の魂に向けて此方からの
合掌
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