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30坪+20坪の菜園

BIG FARMの農事日誌です。

父の日にこんな清酒がやってきた

2015-06-30 | 

乾坤一「純米吟醸 鈴風 ササシグレ」1800ml

龍力「純米大吟醸 日本の櫻」720ml

半年ぶりの「酒の話」。

こんなタイトルだと、清酒のPRかと間違われかねない。ただただ清酒が好きなだけで他意はない。

父の日は楽しみである。贈り物が清酒だとわかっているからで、さてどんな酒がやってくるのか、と。わたくしが、贈ってくれるなら清酒がいいよといっているわけではない。子どもたちが(といっても中年だが)清酒が一番よろこばれると分かっている。この判断は正しい。ヘタなものなら押し入れにしまいかねないが、清酒なら間違いなく開栓して嬉々として飲む。

ことしやってきたのは、乾坤一の「純米吟醸 鈴風 ササシグレ」と龍力の「純米大吟醸 日本の櫻」。

まずは乾坤一の「純米吟醸 鈴風 ササシグレ」1800mlから。わたくしの好みを知っているものと見える。この蔵の酒は好きである。純米吟醸クラスの酒が数本あると、最初に瓶がカラになるのがこの乾坤一だ。だから気に入っているのだろう。いつも仙台に住むお医者さんからいただく。そういえば「乾坤一・純米吟醸 ササシグレ」は昨夏にいただいたはずだ。わたくしのブログでたしかめるとそうだった(下写真)。

こんかいの酒はラベルからしてすぐに「夏酒」とわかる。シブいデザインである。同じササシグレの純米吟醸酒でも、夏酒はどこが違うのか。「要冷蔵」とあるから早めに飲んでしまわないといけない。

次は龍力「純米大吟醸 日本の櫻」720ml。720mlのこの手の「いい酒」はもったいなくてなかなか開栓できない。うまいことはわかっている。ふだん晩酌の酒のように気楽には飲めない。まあ貧乏性だからどうにもしょうがないのだが、それでもうまいから飲む。飲み方は、定番の酒の前に盃に2、3杯ちびちびと飲む。それで満足する。ケチな飲み方をしているなと言われてしまうが、舌が鋭敏なうちにその味を楽しんでいると言いたい。ほんとうかな? そうやって少しでも毎日飲んでいるとすぐにカラになる。

龍力は父の日によくいただく。たしか以前にもいただいたはずだ。私のブログで確かめると下の2件が出てきた。包装紙がいつも小田急百貨店のものだから地下の酒売り場で購入したとわかる。たぶん売り場の人は、贈答なら「龍力」をすすめているのではないかと思ってしまうほどだ。自分ではまずこんな「いい酒」は買うことはないから、こんな機会でもないかぎり「いい酒」に出合うことはない。それだけにありがたいと感謝している。


2015年の読書

2015年5月と6月の読書
・宮本常一(日本文学全集14・河出書房新社)
・宮本常一(ちくま日本文学全集・筑摩書房)
・大岡昇平(ちくま日本文学全集・筑摩書房)
・街道をゆく17島原・天草の諸道 (司馬遼太郎著・朝日新聞)

2015年4月の読書
・三四郎(夏目漱石著・日本文学全集13 河出書房新社)
・中島敦(ちくま日本文学全集・筑摩書房)
・悟浄出立 (万城目学著・新潮社)
・宇喜多の捨て嫁(木下昌輝 著・文藝春秋)

2015年3月の読書
・高い窓(レイイモンド チャンドラー著、村上春樹翻訳・早川書房)
・鬼はもとより(青山文平著・徳間書店)
・認知症の「真実」 (東田勉著・ 講談社現代新書)

2015年2月の読書
・阿蘭陀西鶴(朝井まかて著・ 講談社)
・肥満―梟雄安禄山の生涯(東郷隆著・エイチアンドアイ)
・鳳雛(ほうすう)の夢(上田秀人著・光文社)

2015年1月の読書
・櫛挽道守(木内昇著・集英社)
・闇に香る嘘(下村敦史著・講談社)
・小さな異邦人(連城三紀彦著・文藝春秋)
・廃墟となった戦国名城(澤宮優著・河出書房新社)
・戦国廃城紀行(澤宮優著・河出書房新社)

⇒2014年、2013年、2012年の読書


        
    

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正月は宮城の酒が並んだ

2015-01-13 | 

酒の話は半年ぶりになる。毎晩酒を飲んでいるのだから酒のことを忘れるわけはないのだがどうもいけない。いつものことだが自分に言い訳する。酒は飲むべきもので書くものではない。うまいうまいと飲んでいればいい、と。

正月は子どもがやってくる。子どもといっても中年になる。二人とも男で飲んべえだから酒の用意しなければならない。ハレの日に出す酒はやはりそれなりにいいものをと思う。しかし私はいつも定番の酒を熱燗で飲んでいるものだから、よほどのことがないかぎり分に過ぎる「高い酒」は買わない。身の程をわきまえて飲んでいる。かように定番の酒で満足しているのだが、たまには浮気をしたくなる。そんなときは少し背伸びしていいものを買う。

私が買う以上に、ありがたいことによそさまから酒をいただく。それが垂涎の酒ばかりなのだ。しかしケチで貧乏性のわたしはこんな過分の酒はもったいなくて飲めない。2,3杯飲めば気が済んでしまうから在庫はたまるばかりでなかなか減らない。封を切り、在庫を減らすには正月はいい機会なのである。

ところが年の瀬も押し詰まって仙台在住のお医者さんから酒が届いた。夏にも沢山のうまい酒をいただいている。いただくばかりだ。困った、困ったといいながらも、こんどの銘柄はなんだろうかとすぐに開梱してしまう自分が情けないと感じるものの、やはり好きなものには目が行ってしまう。

その酒がこれ。いずれも宮城の酒だ。「乾坤一・ひより純米吟醸原酒」に「橘屋・雄町特別純米酒」。こんないい酒ばかりをいただいて申しわけない。でも飲みたくなるいい酒だ。わたしが独占してちびりちびりとやりたいところだが正月だ。せっかくだからこのうまい酒を子どもにも飲ませてあげることにした。この親心には自分でも泣ける。ということでまずは正月の酒としてこの二本が決まった。

つぎも宮城の酒になった。「戦勝政宗・特別純米」。仙台の勝山酒造のものだ。これは長男がぶら下げてきた。東京駅のエキナカショップの「はせがわ酒店」で買ったのだという。あまたある酒のなかから宮城産のものを買ったというのだから偶然にしてはでき過ぎだ。勝山酒造はうまくなったと噂に聞くが飲むのは初めてになる。

これで宮城の酒が三本そろった。子どもの友人が一人加わったのだが、それでもこれだけあれば十分だろう。そうなると私の酒の出番がない。在庫を減らしたいのだが様子を見るほかない。一本ぐらいは出すかと「龍力・米のささやき大吟醸」を選んだ。

いずれもいい酒だ。うまいかどうかはあとは好みの問題。龍力の大吟醸は食前酒だなと意見が一致。それから食うほどに飲むのだが、なかでも乾坤一と戦勝政宗が好評だった。後者は四合瓶だからすぐに空っぽになった。それ以上に乾坤一がいい。ことしの乾坤一は夏にもいただいたがうまかった。こんかいのもいい。わたしは自分のペースでちびりちびりやっているのだが、乾坤一の残りが少なくなってきたことが気になりだした。私はそれほど飲んでいない。「オレの分を少しは残しておけよ」とストップをかけた。親ごころより飲んべえの意地汚さの方が優先だ。

ということでこの正月の酒はいずれも到来物をいただいた。わたしのとっておきの在庫の酒は減らなかった。ふだんは定番の酒ばかり飲んでいるから台所の物置にある過分の酒たちは当分のあいだ出番がない。


      
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夏の酒、これだけあれば!

2014-07-14 | 

清酒が2本届いた。これだけではすまなかった。すぐまた2本が届いた。全部で1800mlが4本、それもすべてが純米吟醸。いただきものだ。貧乏酒飲みのわたしは目を見張った。なにかの間違いではないかと思いながらも、眺めてはうれしかった。あたりまえだ。わたしにかぎらず飲んべえならだれでもそうだろう。

しかし喜んでばかりいられない。うれしいのだが困った。常識的に考えればこんなにいただくとだれだって困る。困ったといいながらもにんまりしている。どっちなんだ。送り主は仙台に住むお医者さん。長い付き合いだ。酒ばかりではなく宮城のうまいものを送ってくれる。ありがたいひとなのである。

肝心の酒は、すべて宮城の酒。清酒に詳しい人ならだれだってよだれが出てくる銘柄ばかりだ。いい酒ばかりである。それは十分にわかっている。問題は口に合うかどうか。味吟醸とか香り吟醸とか、かつては言っていたがいまでもたぶんそんな評価があるはずだ。晩酌は食べながら飲むから香りの高いのは邪魔になる。それに飽きてしまう。わたしは味吟醸、しみじみと酒を楽しむにはわたしはこちらのほうだ。幸いなことに蔵元をみるとみな味吟醸の酒ばかりと期待できる。

酒に講釈はいらない。要は自分の口に合うかどうか。うまいか、そうでないか。それに尽きる、といいたいのだが、少々首をかしげる酒でも、もったいないから飲む。慣れるとしだいにうまく感じるものだ。なんだ、酒ならなんでもいい口かといわれてしまうのだが、このクラスの酒ともなると、たしかに香りがきつすぎるのはだめだが、たいがい飲める。

これだけのラインナップだ。さてどれから飲もう。これまた困る。それに4本のうち3本が要冷蔵だ。

まずははじめの2本。少しばかり講釈つき。わすれないためのメモである。

思愛(おもあい) 純米吟醸「愛国」(新澤醸造店)
はじめて目にする酒。醸造元を見ると新澤醸造店だった。愛宕の松や伯楽星のあの蔵元だ。原料米は「愛国」。明治時代の米を地元農家で栽培して復活させた。「愛国」で検索すると次に登場する乾坤一にも愛国の酒があった。「思愛」のラベルにはその由来が小さな字で記載されている。一番下をみると、監修として仙台市若林区の「熊谷酒店」とある。ということはこの酒は熊谷酒店限定か。送り主はいつも熊谷酒店で買うからたぶんそうだろう。

乾坤一 純米吟醸生詰原酒「ササシグレ」(大沼酒造店)
原料米がササシグレの酒は2011年にもいただいた。それは2011年3月11日の大震災のちょうどその時絞っていたものだという。

次の2本。いずれも夏季限定の酒である。
愛宕の松 ひと夏の恋 純米吟醸「ひとめぼれ」(新澤醸造店)
昨年の9月にこの酒「ひと夏の恋」を知った。うまいという評判を聞いたからだ。味以上に団塊老人はこんなネーミングにぐっと来る。ネットで探したが売れ切れだった。なぜないのだ。夏季限定の酒と知った。手配するのが遅過ぎた。道理で売れ切れのはずである。
こんなことがあったから、最初の2本のうちの1本が新澤醸造店の酒だったこともありその縁を感じた。そのことをお礼に書いた。折り返し、ひと夏の恋を送ったというメール。余計なことを書いてしまったものである。厚意に感謝しよう。遅過ぎたひと夏の恋を期待して飲もう。飲むだけではなく・・・。





萩の鶴 純米吟醸 別仕込 猫ラベル(萩野酒造)
これも夏季限定の酒だ。この夏は飲むのに忙しくなりそうだ。ひと夏の恋にしろ、この酒にしろ、ラベルがしゃれている。夏季限定の酒の雰囲気をうまくあらわしている。清酒のラベルは重くこってりした味わいのものが好きなだけに、しゃれたラベルを見てこれがほんとに清酒なのかと思ってしまうくらいだ。



この4本が加わって、わが酒倉は狭いだけに清酒の瓶で埋まっている。長男と二男からの父の日のプレゼントさらにかみさんの山歩きのお土産と近所からの差し入れと、このところ清酒のいただきものが続く。うれしくないはずがない

酒倉はこんな状態だ。この夏は飲むのに忙しくなる。貧乏性だからいい酒にはふだん手が出ない。そうはいっても清酒だから飲まないといけない。まず開栓したのは乾坤一だ。定番の酒がかすんでしまった。やっぱりうまい酒はうまい。ほかの3本の酒との飲み比べも楽しみになる。ほんのちょびっとずつ飲みながら、わかったような顔をして。もちろん仙台に向かって感謝を込めて。


     
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晩酌の酒が代わった

2014-02-13 | 

酒の話である。気にはなっていたのだがつい書くのを忘れてしまう、と毎回のように同じことを言っている。それにしてもなんと5ヵ月ぶりになる。禁酒しているわけではない。あいかわらず毎晩飲んでいるのに。

「休肝日を取ったほうがいいいですね」
年末の健康診断の結果で注意されたのは「γ―gtp」だけだった。これはいつものこと。あとはクリアした。ほかにも悪いところがぞろぞろ出てくるのではと覚悟していたのだが結果は意外であった。素直に喜ぶべきであるのに、ホントにそうなのかなと疑ってしまう。検査項目が少ないから安心してはいられない。

年を取ると、ここが痛い、あそこが痛いと、次々と具合が悪いところが出てくる。“金属疲労”みたいなものだなと思っている。それにしてもまたぞろ出てきた。こんどは左腕が上がらなくなった。拳を空に突き上げることができない。180度まっすぐに上げることができない。130度ぐらいで痛みが走る。病院に行ったほうがいいのかな。いやしばらくすると直るだろうと様子を見ていた。無理してはいけないと思い、そのままにしておいた。それがいけなかった。整形外科で見てもらったら「肩の関節が固まってしまったようだ」「もっと早めにきてくれれば・・・」とも言われた。それからは、理学療法士に付いて週一でリハビリ通い、家では風呂上りにリハビリに励んでいる。一日も早く治したいと痛さを我慢して懸命に励んでいるが、あまり無理してもだめだといわれている。リハビリに励んで1ヵ月半。徐々になんとか手が上がるようになったが、いまだにまっすぐとはいかない。

「γ―gtp」から思わぬ方向に話が行ってしまった。閑話休題。
晩酌の清酒の銘柄が交代しつつある。「〆張鶴(月)」(新潟県村上市)から「岩の井・山廃辛口純米」(千葉県夷隅郡御宿町) に代わった。そう移行しつつあるといったほうがいい。淡麗から濃醇に好みが変わった。この好みの変化は急にきたものではない。

これまでは「〆張鶴」にこだわってきた。30代半ばからこの酒が定番だったのだから、もう30年近くなる。まさに愛飲してきた。この酒がわたしの清酒の原点だ。そこから清酒の世界に分け入り、全国の多くの銘柄の清酒を飲んできた。それでも原点はいつも〆張鶴だった。ほかに酒に飽きるときまって〆張鶴に帰った。

ところが、清酒の世界に遊んでいると、年とともにしだいに嗜好が変わってきたのがよくわかる。原因はわからない。淡麗では飽き足らなくなった。濃醇な味がうまく感じるようになった。もう5年ほど前からだろうか。こんどは濃醇な酒を求めて、いま評判のあの酒をこの酒をと飲んできた。そのなかで懐具合と相談しながら〆張鶴と同じくらいの値段で、近所の酒屋で求めることができる「岩の井」をよくもとめるよになった。味は値段相応だが、これが気にいった。〆張鶴に代わり岩の井がいま定番になりつつある。

いま飲んでいる酒。すべて到来物だ。これらを冷やでおちょこ一杯だけ飲み、すぐに「岩の井」の熱燗にいく。


    
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山の名前が付いた酒

2013-09-12 | 

薬師岳、恵那山、丹沢山(左から)

つい書くのを忘れてしまう酒の話。なんと5カ月ぶりのアップとなる。

今回は山の名前が付いた清酒の話。山歩きが好きで、かつ清酒が好きなわたしは、山の名前が付いた酒となるとつい飲みたくなる。山の名前の付いた酒は多い。思いつくままにあげてみよう。といっても、最近はとんと固有名詞が出てこない。いくら思い出そうとしても出てこない。最後には「あれだよ、あれ」と代名詞で間に合わせているのだが、これをフォローして話がわかってくれる人はあたりまえだがまずいない。有名なところでは、八海山、大平山、立山、月山、麒麟山、白山、石鎚といったところか。なんかもっと有名な酒を忘れているような気もするが。いつでも手に入る酒なら別だが、この機会を逃したら飲む機会が今後ないような酒はできるだけ飲むようにしている。

夏の終わりにはいつものようにかみさんの山歩きの土産の酒がある。この夏も“薬師岳”と“恵那山”という酒を買ってきてくれた。

まずは純米吟醸・薬師岳。このことはすでに書いた。再録するとこうだ。
「この夏、かみさんが日本百名山を達成した。百座目は北アルプスの薬師岳。室堂から入山して8月28日にその頂を踏んだ。この日は薬師岳直下の薬師岳山荘に泊まった。百名山達成を聞いた宿の主人から
、お酒2本と記念のバンダナを贈られ、その酒で居合わせた登山者と乾杯し、みなさんが祝ってくれたという。わたしにもその酒を2本買ってきてくれた。醸造元は地元富山市の富美菊酒造。あの『羽根屋』をつくっている酒屋だ。300mlで1300円というのだから、いい酒でないはずがない。」
ちなみに薬師岳山荘は2010年に新築リニューアルオープンした。わたしも真新しいこの小屋に2011年に泊まっている。

ふと気がついて調べてみると、かみさんはこの富美菊酒造の酒を一昨年も富山からの帰りに買ってきてる。名醸地の富山だからうまい清酒は多い。土産の酒が同じ醸造元のものになるのはまずあり得ない。それなのに重なったというのだから不思議だ。山小屋の酒は町で買うよりも高い。350mlのビールならたいがい600円だ。山の上まで運ぶのだから値段が高くなるのは当然だが、それにしてもこの純米吟醸・薬師岳は山の上の値段とはいえ高すぎる。酒に意地汚くて貧乏性のわたしには手が出ない。300mlと少ないのだからすぐに飲んでしまいそうだが、どうももったいなくて飲めないでいる。

次は本醸造の恵那山。
かみさんとは一昨年に恵那山に登ったのに、昨年もかみさんは友だちとの付き合いで再度恵那山を目指し、山中の山小屋に泊まったものの天気が悪く山頂は踏めなかった。ことしになってその友達とまたも恵那山に行った。こんどは山頂を無事に踏めた。わたしからすれば、付き合いとはいえ、3年連続して恵那山に行くというのはわからない。よく行くよなあと、ついからかったり、嫌みを言ったりした。わたしの気持ちを察したのか、「これ、おみやげ」。それが恵那山という名の酒であった。わたしには複雑な気持ちで飲む酒であったが、味はさっぱりとしている。

最後は丹沢山という名前の酒。丹沢山のふもと、神奈川県山北町の酒である。一昨日に東京に買い物に行ったついでに買ってきた。薬師岳、恵那山とつづいたのだから、買うのは山の名前の付いた酒にしようと決めていた。わたしのお気に入りは「赤ラベル」なのだが、切らしているというのでレギュラーの純米酒にした。わたしにはこれぐらいの値段のものがいい。これははじめて飲む。丹沢山の味は濃醇でこれもそうだ。冷やでもいける。東京からぶら下げて自宅まで持って帰った酒がうまいとなると、素直にうれしく感じる。

これら3本の酒を眺めていると、この夏の山歩きの思い出に浸ることができる。そろそろ熱燗で飲むのもいいかなと思う季節を迎えた。


   


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酒店をめぐりては舌なめずり

2013-04-02 | 

ことしになってはじめての「酒の話」。更新するよりも飲む方が好きだからどうしてもこうなる。

隠居してからというもの東京に出向く用事も、東京で飲む機会もめっきり少なくなった。東京へ出ると必ずといっていいほど、帰りには酒店に寄り道する。これまでの習慣がわすれられないのか、つい酒店に入ってどんな酒が置いてあるか、棚を眺めるのが好きだ。気に入った酒があれば買って帰る。

酒店だから清酒、洋酒、ワイン、焼酎などがある。わたしがのぞくのは清酒が充実している店だ。むかしは「地酒」を扱う店だが、いつのまにかその言葉を聞かなくなった。いいことである。それだけ清酒がうまくなったということだ。きょうはこの店、こんどはあの店と、近くまで行くとなじみの酒店に入る。いろいろな銘柄を見ては、「これはうまそうだな」と舌なめずりをしながら眺めている。大きな店なら別だが、小さな店に入ると、目当ての酒がなくても手ぶらで出るわけにはいかない。無理して1本ぐらい買わないと申しわけない。

山を歩いた帰りに電車の終点が東京駅となると、「リカーズ ハセガワ(八重洲地下街北)」と「はせがわ酒店」(八重洲エキナカ)をのぞく。これまでは東京駅周辺の酒店といえば前者だけだったが、数年前に後者が開店した。同じ名前の店だが、関係はない。そうだろうなと思ったが、それでも尋ねた。「エキナカのはせがわ酒店とは関係があるのですか」「まったくありません」。そうだろうと思ってもつい尋ねてしまう。

エキナカの「はせがわ酒店」は各地の銘柄が多い。しかも単価が高い。ざっと見渡すと3000円前後の清酒ばかりだ。いくら小銭持ちで飲んべえのわたしでも、毎晩この手の酒を飲むのは、たとえ「家飲み」にしても、バチがあたるのではないかと思って買い控え、通い慣れた「リカーズ ハセガワ」をのぞく。ここは銘柄が少ないものの、わたしの好きな銘柄を扱っているからよく訪ねる。

酒店はどこも取り扱う銘柄が違う。どの銘柄がどの酒屋に行けば手に入るか。これが私には大事なことで、棚を眺めながら情報収集している。この日は、「リカーズ ハセガワ」で〈竹鶴〉(広島県竹原市)」と〈常山〉(福井県福井市)を買った。いずれも2100円。なんども書くが、2000円~2500円ぐらいの価格帯がわたしの身の丈に合っている。値段の高い酒は飲まないのかというと、飲んでいる。手が出ない?いや手を出さない値段が高い酒は、到来物で十分間に合っている。「高い酒は買えないだろうからそれじゃ贈るか」というありがたい思いやりの贈り主に感謝するばかりだ。

東京でほかにのぞく酒屋は次の通り。
・酒のサンワ(上野) ・鈴木三河屋(赤坂) ・吉池(御徒町) ・リカーズのだや(千駄木)

地元では
・春日や(我孫子) ・植要酒店(柏)

ラッシュの電車の中に、1升瓶2本を持ち込みのは大変だ。「邪魔だな、このやろう」と思われているのかもしれない。非難のまなざしを浴びながらも瓶が割れたらと思うと防戦必死ある。そんなジジイ?を電車の中で見かけたら、どうかあたたかく見守ってほしい。


 2013年の読書
2013年3月の読書
・無罪 INNOCENT(スコット・トゥロー著・文藝春秋)
・談志が死んだ(立川談四楼著・新潮社)
・影法師 (百田尚樹著・講談社)

2013年2月の読書
・原発のコスト―エネルギー転換への視点(大島堅一著・岩波新書) 
・わたしがいなかった街で(柴崎友香著・新潮社)
・ウエストウイング(津村記久子著・朝日新聞出版)
・ホテルローヤル(桜木紫乃著・集英社)
・小さいおうち(中島京子著・文藝春秋)
・漂流記の魅力(吉村昭著・新潮新書)
・漂流(吉村昭著・新潮社)
・牛を屠る(佐川光晴著・解放出版社)

2013年1月の読書
・ナメクジの言い分 (岩波科学ライブラリー)(足立則夫著・岩波書店)
・大いなる眠り (レイモンド チャンドラー著、村上春樹訳・早川書房)
・父、断章(辻原 登著・新潮社)
・東電OL事件( 読売新聞社会部著・ 中央公論新社) 
・ポトスライムの舟(津村記久子著・講談社) 
・やりたいことは二度寝だけ(津村記久子著・講談社)
・エンジェルフライト 国際霊柩送還士(佐々 涼子著・集英社) 


 2012年の読書
2012年12月の読書
・カラマーゾフの兄弟2 (ドストエフスキー著, 亀山 郁夫訳・光文社古典新訳文庫) 
・湿地(アーナルデュル・インドリダソン著・東京創元社)  
・アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極(角幡唯介著・集英社)
・探検家、36歳の憂鬱(角幡唯介著・文藝春秋) 

2012年11月の読書
・カラマーゾフの兄弟1 (ドストエフスキー著, 亀山 郁夫訳・光文社古典新訳文庫) 
・中国と 茶碗と 日本と(彭 丹著・小学館)
・佐渡の三人(長嶋有著・講談社)

2012年10月の読書
・昭  田中角栄と生きた女(佐藤 あつ子著・講談社)
・砧をうつ女(李恢成著・集英社 戦争文学全集17 「帝国日本と朝鮮・樺太」)
・去年今年(木山捷平著・講談社)
・ノックの音が(星新一著・新潮文庫)
・横しぐれ(丸谷才一著・小学館昭和文学全集23)

2012年9月の読書
・特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ユッシ・エーズラ・オールスン 著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・鍵のない夢を見る (辻村深月著・文藝春秋)

2012年8月の読書
・母の遺産-新聞小説 (水村美苗著・中央公論新社)
・抗争 (溝口 敦 著・小学館新書)
・起終点駅(ターミナル)(桜木紫乃著・小学館)
・大陸の細道(木山捷平著・講談社文芸文庫)

2012年7月の読書
・被差別のわが半生(山下力著・平凡社)
・天地明察(冲方丁著・角川書店)
・下駄にふる雨/月桂樹/赤い靴下(木山捷平著・講談社文芸文庫)
・おじいさんの綴方/河骨/立冬(木山捷平著・講談社文芸文庫)
・ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上)(スティーグ・ラーソン著・ 早川書房)
・ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(下)(スティーグ・ラーソン著・ 早川書房)

2012年6月の読書
・楽園のカンヴァス(原田 マハ著・ 新潮社)
・紅梅(津村節子著・文藝春秋)
・ちくま日本文学 江戸川乱歩(江戸川乱歩著・筑摩書房)
・ミレニアム2 火と戯れる女(上)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)
・ミレニアム2 火と戯れる女(下)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)

2012年5月の読書
・罪悪(フェルディナント・フォン・シーラッハ著・東京創元社)
・曠野(チェーホフ著・岩波文庫)
・PK(伊坂幸太郎著・講談社) 
・K(三木卓著・群像2012年2月号)
・戦争はなぜ起こるか(A・J・P・テイラー著・新評論)
・ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)
・ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(下)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)

2012年4月の読書
・アイアン・ハウス (ジョン ハート著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 
・城を噛ませた男 (伊東潤著・光文社)
・中国化する日本 日中「文明の衝突一千年史(與那覇潤著・文藝春秋)
・新釈諸国噺(太宰治全集7・筑摩書房)
・太宰治 滑稽小説集(太宰治著・みすず書房)
・解錠師(スティーヴ・ハミルトン著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

2012年3月の読書
・犯罪(フェルディナント・フォン・シーラッハ著・東京創元社)
・ラブレス(桜木紫乃著・新潮社)
・特捜部Q ―檻の中の女― (ユッシ・エーズラ・オールスン著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・すべて真夜中の恋人たち(川上未映子著・講談社)
・蛍の航跡―軍医たちの黙示録(帚木蓬生著・新潮社)

2012年2月の読書
・遺体―震災、津波の果てに(石井光太著・ 新潮社)
・彼女はもういない(西澤保彦著・幻冬舎)
・半島へ(稲葉真弓著・講談社)
・海松(稲葉真弓著・新潮社)
・二流小説家 (デイヴィッド・ゴードン著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 
・下町酒場巡礼(大川渉著・ちくま文庫)
・下町酒場巡礼もう一杯(大川渉著・ちくま文庫)

2012年1月の読書
・六白金星・可能性の文学(織田作之助著・岩波書店)
・コンニャク屋漂流記(星野博美著・文藝春秋)
・蠅の帝国―軍医たちの黙示録(帚木蓬生著・ 新潮社)


  


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かわりばんこに飲む熱い酒

2012-12-15 | 

酒の話、である。
忘れる前に記しておこう。前回書いた到来物の[乾坤一 純米吟醸原酒「ひより」]はうまかった。開栓してすぐは固かったが、しだいに味が乗ってきた。酒のうま味、コメのうま味に納得しながら飲んでいる。うまいねえとしみじみと飲んでいる。うまい酒に出会ったこの瞬間が飲んべえとして幸せのときだ。開栓してからもう3カ月近くになるのに、いつまでも3,4センチほどが残っている。飲み干すのがもったいなくて、さてどうするかとビンとずっとにらめっこしている。なんとも意地汚い話になったが、こんな酒に巡りあえるのは幸運といえるだろう。仙台に単身赴任していたときは「乾坤一」はたびたび飲んだ。これほどうまいのにはあたらなかった。たぶん、この酒は天の采配でこんなにうまくできたのだろう。よほど気に入ったのだろう。こんどは自分で買おうとネットで調べると、肝心の[乾坤一 純米吟醸原酒「ひより」]はどの酒店でも「完売」となっていた。そうなると、ますます残りの酒に愛着がわく。しかし年の瀬を迎えて酒瓶は貯まってくるから、ここらあたりで飲み干してほかの酒に場所を譲らなければならない。

今回は熱燗に合う酒の話だ。いつのまにか晩酌は熱燗の季節になった。熱燗用のうまい酒を全国に探せばいくらでもあるのだろうが、あれもこれもと飲むほどの体力がなくなってきた。それに肝臓に黄色信号が点滅している。飲んべえとしては哀しいかぎりである。飲んべえのだれもが加齢とともに歩む道をわたしもしっかりとなぞっている。

いま、熱燗用の酒は3本ある。「岩の井 山廃辛口純米」「香取 生もと純米80」「香住鶴 生もと辛口」。これを毎晩かわりばんこに飲んでいる。いずれも味は濃く、これを好むようになった。定番の「〆張鶴 月」の熱燗ではややもの足りなくなっている。年とともに好みは変わる。この3本は今年から飲み始めたものではなく、4,5年前から飲んでいる。定番として熱燗の酒はこの3本に落ち着きつつある。

以前は分不相応にも全国から酒を取り寄せていたが、いまは近くの酒屋から買っている。近くにさがせばあるものだな思わせる。この3本もそうだ。しかし、同じ酒店ではない。3軒の酒屋から買っている。1本は隣町まで自転車を走らせる。酒は飲んでみないとわからない。これがいいかなと飲んでみる。うまい、まずいといいながら選り分けて、定番になる。その過程も楽しい。

定番の「〆張鶴 月」がそうであるように、3本も1升瓶が2000円前後の酒である。わたしのふだん飲む酒はこの価格帯である。だから前述のような値段が高い酒を飲むと、うまいと感じる。たしかにそう感じる。2000円と3000円では1000円の差で歴然と味が違う。もちろん自分の好みの酒なら高いほうがうまい。

いまの飲み方は到来ものの高い酒の冷やを盃で2、3杯ほど飲んでから、定番の熱燗の出番になる。なんともみみっちい飲み方だがうまい酒を味わうにはこれくらいでいい。つぎに質の下がる熱燗になるのだが、たしかに味の違いを感じるもののたいして気にはならない。それがあまたある酒の中からさがし当てた定番の酒の実力といえるだろう、と思っている。


           


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9月になると酒がうまくなる

2012-09-22 | 

酒がうまくなる季節。久しぶりに「酒の話」。

秋分の日。月がきれいにみえだした。それに酒もうまくなった。季節の変化は生活に彩りを与えてくれる。

夏の酒はあわただしいが、秋の酒は落ち着いて飲める。それに合わせるかのように続々と酒がやってくる。ふだんは安い酒しか飲めない身としては、ありがたいことだなと感謝しながら飲んでいる。

定番の酒と比べると、到来の酒は値段が高いうえに上等のものばかりだ。自分で買うことはまずないので、まさに一期一会の酒になる。うまいもんだねと舌鼓を打つ幸せを感じながらも、なんかバチがあたりそうだ。うまい酒を、うまいと感じることができるいまの体調にも感謝しなければならない。

まずは仙台のお医者さんから昨年に続いて今年も酒がやってきた。両方とも宮城産である。
乾坤一 純米吟醸生詰原酒「ひより」 
橘屋 特別純米 雄町

後者の「橘屋」は知らなかった。調べてみると「黄金澤」の酒造会社の酒だった。まずはこれからいただく。まだ固くて少し待たなきゃならないかなと思って口に含むとこれがいけた。熟成していて、それに味もわたしの好みだ。続いて乾坤一の「ひより」。評判のいい酒だけに楽しみだ。飲み比べると酒の味はわかる。前者に比べるとコクがあり、程よい酸味を感じる。くせになりそうな味わいだ。いつもうまい酒をいただく。申しわけないなあと思いながらも、楽しみにしている自分がいる。ああ、これだから飲んべえはいやだ。

こんどは身内からの酒だ。

大信州 超特選 純米吟醸 極上粒選り
請福 VINTAGE(ビンテージ)古酒 43度 720ml(2008年蒸留)

前者は信州の酒。かみさんが北アルプスの帰りに「いつも留守番をさせて申しわけない」と松本で買ってきた。だれもが知る酒である。しかし同じ銘柄でもこのランクの酒ははじめてである。値段に見合う味である。この蔵元は松本から上高地への道の途中にある。よもやこんなところにあるとは知らなかったから、見つけたときは、へえ、ここにあるんだ、と思ったものだ。

後者は清酒ではなく、泡盛のクース(古酒)である。これは次男からの石垣島の土産だ。わたしの好きな「請福」だった。なんでオレの好みを知っているんだと驚いたものだが、まったくの偶然だった。あまたある泡盛の中でも「請福」は私の好みだ。しかしこんな高級な「請福」は飲んだことがない。しかも43度だ。香りとコクがいい。寝酒に毎晩ちびりちびりやっている。あまりにもうまいもんだから瓶をながめては、残りを気にしている。

酒がうまくなる9月にこれだけの酒だ。ぜいたくな9月になった。しかし高くてうまい酒ばかり飲んでると、定番の酒で口直しをしたくなる。やっぱり貧乏人根性から抜け出せないでいる。


          


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酒をなめるように飲むようになったのは

2012-04-01 | 



三遊亭円生の「一人酒盛」をCDで聞いたところで、酒の話である。きょうは、酒の飲み方だ。いつの間にやら酒をなめるように飲むようになった。いつからこうなったのかふと気になったという話である。

最近読んだ小説でこんな場面があった。舞台は終戦直後の北海道の開拓村。反抗期の少女が、母親が茶碗酒の縁をなめるようにして飲む姿を嫌悪する。たしかに母親がそんな飲み方をすればだれだって見苦しいと思うだろうなとうなずく。

子どもはたいがい大人が酒を飲み泥酔する姿には目をそむけるはずだ。私が大人の酒飲みに接したのは冠婚葬祭の席が多かった。酒に酔い、てららてらした赤ら顔で上機嫌、いつまでも帰らずに長っ尻のおじさんが必ずといっていいほど、ちびりちびりやっていた。お勝手ではいいかげんに腰をあげてくれないかと手伝いのおばさんたちが首を長くしていた。婚礼ならまだしも通夜などでは飲んべえは歓迎されないが、やはり長っ尻の飲んべえのおじさんが一人や二人はいた。場所がらをわきまえているはずなのだが、だらしなくなめるようにいつまでも飲んでいた。

そんな思いで飲んべえたちを眺めていた少年がいつのまにか長い年月を経て、よもやと思いたいが、いまは酒を毎晩なめるようにして飲んでいる。それも意地汚く飲んでいるのである。若いころの飲み方は、すいすい飲む。口の中に放り込むといった飲み方だ。酔って酒にあきてくると、ちびりちびりと飲む。若いころは酒をなめるよう飲んだという記憶はない。いや、そんな飲み方はやるまいと思っていたのかもしれない。

私がもっぱら清酒をやるようになったのはちょうど地酒ブームで一気に酒がうまくなった頃である。30代になっていた。そのときも「うまいなあ」と舌づつみを打つことはあったにしても、なめるような飲み方はしなかったはずだ。それがいまは酒をなめている。いつごろからそうなったのかと思う。

年を取ってからだ。50代に入ってからだろうか。本当にうまい酒に出会ったときは感激する。口にふくんだとたんに気が遠くなるように感動し、ここはじっくり味わって飲みたいと思い、一滴一滴をなめるるようにして飲んでいる。いまはたしかにそうして飲んでいる。

もうひとつなめる場面がある。いいかげん燗酒を飲み過ぎて盃をおき、少し間がおいてから燗冷ましの酒を飲む時である。昔は燗冷ましの酒といえばまずいに決まっていたが、いまはしっかした造りの純米酒だと燗冷ましの意外なうまさにびっくりする。まさに冒頭の小説ではないが盃のふちをなめまわすように、ときにずるずるとすするように飲んでいるのである。

こう思い返してみると、なめるように飲むようになったのは、酒の味よりも、年のせいかなと思う。

盆と正月にやってくる息子が酒を飲む姿を見て驚いた。酒を楽むようになった。飲み方までも親に似なくていいのだが、似つつある。その姿をはじめて見たときはおぞましいものを見たかのようであった。あまり見たくない光景であった。

上の写真は近くの2軒の酒屋で買い求めた3月の酒だ。たいした酒ではないが、定番ばかりでは面白くないからこうしてあれこれ飲んでみる。飲んでみなければ、なめるような酒に出会えない。なめるような酒に出会えると小躍りしたいくらいうれしい。そのためにもうまい酒をうまいと感じられる体調を維持するのがいちばんだ。とろがここにきてγ―gtpが高くなったと指摘された。注意してきたつもりなのだが。ああ。


         


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冬の夜は身の丈に合った燗酒で

2012-01-28 | 

かみさんの海外遠征でひとり暮らしが続いている。すでに5日がたった。慣れてきた。ひとり暮らしのリズムができてきた。かみさん元気で留守がいい、もうそんな気分になっている。現金なものである。

柏税務署に確定申告のため出向いた。税の知識はまったくない。無知である。勉強しても理解できない。無限無知、超無知である。信じられないだろうが、いまでも”控除”が正直のところ理解できない。それでもなんとか申告書を提出している。といっても、なに、指定されたところに数字を打ち込むだけだから、内容を知らなくてもできる。確定申告のこの時期、税務署の窓口には行列ができる。後ろを振り返ると、私と同じ老爺ばかりが並んでいた。ジジイデビューしてからというもの、こんな光景に身を置くことが多くなった。

ここからは酒の話だ。

帰りはついでだからと柏駅前の[植要酒店]に寄って「香取80」(千葉・寺田本家)を購入した。この酒は燗酒にする。何度も飲んで気に入っている。
さらに四谷駅前の[鈴傳]で「ん」(青森・三浦酒造)と「宮の井」(兵庫・下村酒造店)を買った。これも燗酒用である。この店に行くのは楽しみだ。1階にも地下にも全国の酒がこれでもかと並んでいる。見ているだけでよだれが出てくる。その空間に身を置くだけで幸せになる。値段もピンからキリまである。燗酒用にとキリばかりを買ってきた。

この3本ともに1本当たり約2千円で、合わせて6千円ぐらいだ。冷や(常温)で飲む酒は、一般的には値段が高いほどうまいのだが、燗酒にむく酒は高ければうまいというわけではなく、気に入ればこれぐらいで買えものが毎晩の相手をしてくれるからありがたい。

厳寒期はやはり熱燗がいい。燗の酒は、前回取り上げた「岩の井」(千葉・岩瀬酒造)と今回買ってきた「香取80」が私の定番だ。どちらも千葉の酒になった。うまい具合に地産地消である。千葉は醸造元が多い。こんなことも酒飲みだから知ることができる。といってもたいがいの醸造元は海側にある。

家で飲む燗酒は、酸味があって濃醇なものが好みだ。そうなると生もとや山廃づくりに目が行く。燗酒用だから高い値段のものには手を出さない。晩酌の熱燗にはこれぐらいの値段のものがちょうど身の丈に合っているし、懐具合にもかなっている。

しかし、燗酒だけではもの足りなく、燗の酒を飲む前にちょっとばかりいい酒を冷やでやる。それが冬の夜の私の晩酌の風景である。


       


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宗旨替え?寝酒に1升瓶ワイン

2012-01-07 | 

5日に続いての酒の話だが、これは番外編。晩酌の酒ではなくて今回は寝酒の話、それも清酒ではなく、めったに飲まないワインだ。

葡萄酒を買った。それも1升瓶に入ったものだ。ワインは普段まったく飲まない。厳密にいえば買っては飲まないが、到来物はもったいないから飲む。このところその到来物のワインを寝酒に飲んでいた。これまで寝酒は蒸留酒ばかりだった。寝酒の好みも変化して、ウイスキーから泡盛、そして焼酎になった。この到来物のワインを寝酒に飲んでみて、これが蒸留酒よりも具合がいいことに気がついた。体にゆっくりとしみわたっていくといった感じで、体に負担にならない。ということは蒸留酒が負担なってきたということか。やはり年のせいかなと思ってしまう。

到来物のワインが空になった。寝酒とはいえ飲兵衛だから720mlなんてすぐに空っぽになる。体になじむのが気に入ったようで、寝酒にこんどはワインを用意したくなった。しかし720mlではすぐに飲んでしまう。そこで1升瓶ワインがあるのを思い出した。昔のことだが、山梨にブドウ狩りに行くと、そこのブドウ園では1升瓶の「葡萄酒」が売っていた。いまでも売っているのだろうか。ネットで探すとすぐに見つかった。1升瓶ワインを作っている醸造元は多く、種類も豊富だ。そのうえ値段も安い。ワインについての知識はほんのわずか、いやまったくないといったほうがいい。それに関連するブログを見ながら銘柄を選んでネットで注文した。翌日には受け取った。便利になったものだ。

飲兵衛だから酒なら何でもいける。しかしワインだけは駄目だった。魚を食べながらワインを飲んだときの味は最悪だった。生臭さが強調されて口中に広がる。うまいものもまずくさせてしまう。それ以来、すし屋でワイン、料理屋で刺身でワインを飲んでいる人を、ホントにうまいと飲んでいるのかと思ってしまう。もちろん魚以外ではワインはまったく平気だが、平気だといっても、ワインを飲みながら漬けものや煮物といった和食を食べている夕飯の風景を自分には想像できない。ワインを晩酌にしている人は、おかずにどんなものを食べているのか。ワインに合うおかずばかり作るかみさんはいるんだろうかとも思ってしまう。しかし世の中広いから、きっといるんだろうね。

話はそれるが、ビールを飲みながら魚を食べている人をみるが、私はビールでも魚をたべると生臭さを感じるばかりで、「まずはビール」でも、刺身を食べるときは清酒に切り替える。私の舌が異常なのかと思ったら、同じ意見の人がけっこういるものだ。

ホンジョウ金ラベル甲州醸し1800cc(岩崎醸造・1260円)
前置きがずいぶんと長くなった。いま寝酒に飲んでいるのがこのワインだ。淡いピンク色をしている。好きな作家の田中小実昌が愛飲していたというから買ってみた。1升瓶でこの値段だから真っ先に気になるのは味である。このワインは手ごわい。最初はおやっと思ったが、すぐに慣れた。これなら飲める。辛口だから私には清酒感覚で飲める。これを寝る前に湯のみ茶碗で飲んでいる。清酒と異なるところは、がぶがぶと飲んでしまえるところだ。ペースが速い。あぶない。何杯も行けそうだ。湯のみ茶碗一杯でやめておく。飲むスピードは清酒の倍以上だから分量が減るのも早い。大金持ちでなく小銭持ちの私には、これくらいの値段はありがたいし、分相応だろう。

ウインワイン白ラベル1800cc(北野呂醸造・1320円)
これはまだ開栓していない。1升瓶ワインの白として評判のいいものだから楽しみにしている。

ここにきてワインを飲むとは自分でも驚いている。「おい、宗旨替えでもしたのかよ」と言われても仕方ない。あくまでも寝酒に限っての話だ。しかし体に心地いいと感じるのだから、当分寝酒に飲んでみることにした。すぐにあきてしまって、また元に戻るかもしれない。


     


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さみしかった正月の酒

2012-01-05 | 

久々に酒の話を。

正月の酒をなににしようかと考えるのは楽しい。定番以外の酒を飲むにはいい機会である。家族のためにも、自分のためにも、いい酒をさがして集める。飲兵衛の腕の見せどころだ。いまなにが評判でうまいのかと、アンテナを張っているつもりだ。それらはこれまで買い求めてきた酒店を3,4軒回れば手に入る。

いつもはそうしていた。ことしはちがった。さぼってしまったのである。これでは収穫があるはずがない。結局用意したのは3本。八海山(しぼりたて原酒)、岩の井(山廃純米)、久保田(紅寿)だ。この酒たちには申し訳ないが、このラインアップではさみしい。なんで手を抜いてしまったのか。要は是が非でも飲みたいという酒がなかったからだ。これもさみしい。それとも酒に対する意欲が失われてきたのか。そうであればもっとさみしい。例年だと、これはうまいと思うよと自慢していたのだが、今年はそれがなかった。これもさみしい。

八海山(しぼりたて原酒) それでも努力はした。近くに地酒ブームで評判になった酒店がある。定番の「〆張鶴」はこの店でいつも買う。近くにこんな店があるのはありがたい。この店も近年は清酒の売り場が年年小さくなるばかりで、かわりに焼酎が幅を利かせている。大型冷蔵庫をみると、いくつものしぼりたてが並んでいる。おやっ、八海山のしぼりたてがあるぞ。隣には〆張鶴のしぼりたてがある。〆張鶴のしぼりたては飲んでいるので、八海山を買った。八海山は好きでも嫌いでもない。実はこの八海山のしぼりたては年末に飲んでいるはずだった。ところが買ったはいいものの瓶を壊してしまった・・・。はじめて飲む酒だから私は飲んでみたかった。あきらめるしかない。群馬県みなかみ町での忘年山行でのことだった。その酒になんと近所の酒店で再会した。買わないわけにはいかない。はじめて飲む酒にはまじめに向き合う。開栓してすぐの味は不満だった。しかし、数日してしだいに味がのってきた。いまはこの味なら大丈夫だと言えるようになってきた。うまいしぼりたては、すいすい飲んでしまうから身構えて飲む酒である。

岩の井(山廃純米) 熱燗定番の酒である。この2,3年、燗酒はこの酒になった。飲んでいてあきないのがいい。酔っても飲める酒だ。それに1升瓶で2000円だ。この安い値段で、気に入る味なら大満足である。この酒も近くの別の酒店で買えるのがうれしい。しかし正月に定番の酒を出さざるを得ないのがわれながらさみしい。

久保田(紅寿) これは冷やだ。燗酒にするとおやっと思う味に変化する。すぐに冷やに変えた。これならなんら問題はない。

おやじとしては、さぼった手前、申しわけないなと思いながら飲んだ。評判がよかったのは岩の井だった。定番の安い酒がうまいと言われてうれしいものの、ますます困ってしまう。


      


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かみさんの山歩きのみやげ酒

2011-10-26 | 

あいかわらず能天気な酒の話を。

今回の酒は、かみさんが登山の帰りに土産に買ってきてくれた酒だ。新潟の白瀧酒造「魚沼」と、富山の富美菊酒造「富美菊 純米5年古酒」の2本である。前者は奥只見の山の帰りに浦佐駅近くの酒店で、後者は北アルプスの帰りに富山駅ビルで買ってきてくれた。

まずは「魚沼」。飲兵衛ならすぐわかるとおり、白瀧酒造といえば「上善如水」である。そこにこの「魚沼」が加わった。白瀧酒造は南魚沼郡湯沢町にある。魚沼米ブランドにあやかっての命名だろうかなと思ってしまうのだが、そんな土産酒はたいがいうまくないのが相場だ。せっかくだから飲んでみるか、そんな失礼な先入観で慎重にほんの少し口に含んでみた。おやっ。おやっ。これは違うぞ。そこでグイッと杯を挙げた。うーん、これはいける。さわやかだ。それでいて米のうま味も感じるぞ…。自分の先入観が見事に違った。なんともバツが悪い。甘く見ていた私のこんな思いはだれにも知られていないからそっと一人自分の中にしまっておこう。かみさんに、たいした酒じゃないんだろうなんて言わなくて良かった。

次は「富美菊 純米5年古酒」。富美菊酒造という造り酒屋ははじめて聞く名前だった。それに5年古酒ときている。えらいものを買ってきてくれた。すぐに飲んでもいいものか。戸惑う酒だ。富山は名醸地である。私の好きな酒がいっぱいある。古酒だけに見るからに見事な黄金色というか山吹色をしている。思い切って開栓した。これは5年古酒だという構えて飲むのである。古酒といえば、これまでのわずかな経験からして「ひね香」に似た香りがするものだ。これは腐った酒かと思うときがある。劣化した酒と古酒とを混同してしまいがちだ。この酒もそんな香りがわずかに感じられる。古酒をありがたいと飲める人はいいのだが、私は敏感でどうも苦手だ。気になるものだから富美菊酒造をネットで見た。やってみるもんだね。おかげでこの造り酒屋があの「羽根屋」の蔵元だとわかった。なんだ、そうだったのか。かみさんは私に気遣って高い酒を買ってきてくれたのだろうが、私の好みからすれば「羽根屋」のほうはよかった。しかしそんなことはかみさんにいえないからね。

いつも私に向かって不平たらたらのかみさんだが、こうして私の好きな酒を下山してからわざわざ現地から持ち帰ってくれるのだからわからないものだ。それとも遊び過ぎの自分を省みてのしょく罪なのかと考えないでもないのだが、好意をそう考えること自体失礼千万だとすぐに思い直し、感謝しよう。感謝である。


   


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0氏の無事と、蔵人の健闘に、杯を挙げよう

2011-09-02 | 

いつも飲むばかりで書くのを忘れてしまう「酒の話」。

今回は自分がつくづくいやになってしまった話だ。うかつだった。しまったと思った。なんてオレは、と自分の頭をぶん殴りたいほどだった。

クール宅急便で酒が届いた。仙台のO氏からだった。0氏はお医者さんで、女川町の生家はこんどの大震災の津波で流されてしまった。

3月の震災後すぐに安否を尋ねた。なかなかケータイがつながらない。それだけで心配がいや増す。やっとつながった。生きていた。胸をなでおろした。

その後の連日の被害の報道に接して、また少しばかり心配になった。思い切ってまた電話した。そこで生家が流されたことをはじめて知った。まったく大丈夫だと思い込んでいた自分のうかつさを恥じた。

それから間もなくだった。酒が届いたのである。これまでもうまい酒を送ってくれていた。「しまった」と思った。被災された人からの酒である。つらい思いをしている人からの贈り物なんて、立場が反対だった。気を遣わなければならないのは自分のほうだ。またも恥じ入った。「救援」すべきは私からだ。

いくら清酒が好きだからといって、どう考えてもいただけるものではない。厚意に感謝しながらも、恥ずかしさと戸惑いで、しどろもどろ状態だった。

ありがとうございます。私の好きな酒ばかりで、それも上等な酒ばかりというのですから、うれしくなりました。しかし、困りました。本来なら私のほうからお見舞いをしなければならないのに、逆に「被災」された方からいただくとは・・・。なんとも自分の対応がのろまであったばかりに、それが情けなく感じます。幸いにも生活にはなんの問題もないとうかがっていたものですから、ついこちらも安心していたのですが、だからといって、たしかにいまのおかれた状況を考えるに、うまい、うまいとノウ天気に飲むわけにもいかず、さりとて飲まないわけにもいかず・・・。じつに困りました。うかつだった己を恥じるばかりです・・・・・・

開梱すると、「日高見・純米吟醸」と「乾坤一・純米吟醸」が入っていた。いずれも宮城県にある蔵元で、清酒が好きならだれもが知っている銘酒だ。もちろん私も好きな酒である。このふたつの蔵元も被災した。「乾坤一」のほうには「平成23年3月11日絞り 宮城県産ササシグレ」とある。大震災の日に絞っていたものらしい。

いまだ封を切っていない。ありがとうと言って素直に飲めるものではない。酒の神様は、おまえなんぞに飲む資格があるもんか、とそっぽをむいているだろう。しかし酒は目の前にある。ちらちらと眺めながら、飲んでやってこそ酒だ、そろそろ封を切ってやらないとなあ・・・。結局はここに落ち着く。

思いきって乾坤一の封を切り、杯に酒を満たした。遅ればせながら、O氏の無事と、蔵人の健闘に、杯を挙げた。


 

    


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待ちきれなくてちびりと

2011-04-25 | 

酒の話」。

晩酌は365日欠かさない。ただ風邪をひいたときは飲まない。飲んだところでちっともうまくないからだ。その風邪をひいてしまい、ここ1週間は飲めない状態で、ふだんは実行ができない肝休日が続く。うれしいやら、うらめしいやら。

いま飲んでいるのは「久保田」。写真右から純米大吟醸、特別純米、特別本醸造の3本。いわずと知れた新潟、朝日酒造の酒だ。この酒は昨年12月、家の建て替え完成のお祝いにいただいた。久保田を飲むのは初めて?かな。どこかで飲んでいるのかもしれないのだが、私にその記憶がないからたぶんそうなるだろう。

飲んべえだから酒の贈り物はうれしい。贈ってくれた人には申し訳ないのだが、この「久保田」は封を切らないままにしておいた。なぜか。この酒はいまもプレミアムが付加されて、定価よりも高値で売られていることが多い。プレミアムの酒はどうも苦手だ。私に言わせればうまい酒はごまんとあるのだから、わざわざプレミアムの高い酒を飲むことはない。これが私の酒に対する姿勢だ。

と、酒にも妙なこだわりを持っている。正規取扱店なら定価で買えるのだが、ほかの店ではこれ見よがしに高い値札が付けられている。しかし久保田もいっときほどの威光はないというのだが。贈ってくれた人は定価で買ったのか、それとも…。後者だったらなんとも申しわけない。それんなわけでなかなか封を切れないでいた。

贈り主がたまたま再度わが家に寄ってくれた。相手も知っていたらしく、これは親戚の酒店で買ったもの。そこは定価で買える。これを知ったら、しょせんは飲べえだ。さっそく開封して飲んでいる。この久保田、3本ともにうまい。

酒は健康のバロメーターだ。どこか具合が悪いと酒はまずい。じつにまずいくなる。晩酌はいってみれば毎日の健康チェックになっている。かみさんはありがたいことに飲べえには寛容だ。「酒を飲めるのは元気なうちだからどんどん飲んでください」。どう解釈すればいいんだろう。

もう1週間も酒を口にしていない。ふと、酒を飲んでみようかという気になった。少しは回復してきた証拠でもある。ためしにと、ちびりと飲んでみた。まずい! 口の粘膜が熱でやられているせいかピリピリする。こんなことなら飲むんじゃなった。もうしばらく辛抱だな、と言い聞かせるほかなかった。


        

 


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