10月24日は町内で秋の催しがあった。そこで「イモ煮」がふるまわれた。具だくさんのうえに大きなサトイモが入っていた。正真正銘の立派なイモ煮だった。
「今年はサトイモが不作だったのにどこから手に入れたのだろう」
尋ねてみたら私の知り合いの農家だった。ちょうどその方が居合わせたので「こんな立派なサトイモが取れたんですか」。そうだという。私ばかりでなく周辺がすべて不作であっただけに、近くでこんな大きなサトイモ(といってもこれがいつものサイズなのだが)取れていたなんて不思議だった。さすがに農家だ。
わが家のサトイモはすでに書いたように、今年はわが菜園史上最悪の年であった。
なにしろ子イモが小さくて数が少ないのだからどうしようもない。小さなイモでも捨てるのはもったいないのですべて収穫した。小さいイモばかりだが、それでも大中小に分け、小さなイモから先に食べようと家に持ち帰り、残りは保存のため土に埋め戻した。
かみさんがすぐに煮てくれた。出てきたものを見て、それはまさに「きぬかつぎ」だった。そうして食べるにはちょうどいい大きさだった。きぬかつぎは本格的な収穫の前に早めに取って食べるものだけに、いまの時期にこんな食べ方があったのだなと感心し、同時にうれしくなった。
「きぬかつぎ」は私の大好物だ。酒の肴には最高だ。手は汚れるものの、両わきを押すと皮がはじけて、まるで赤ちゃんのような白い肌が現れる。ぬめりのあるやわらかいに食感がたまらない。ことしのイモは食感も悪かっただけに、この小さいイモには本来の食感があった。災い転じて福となす、そう考えようと思うのだが、なにしろ数が少ない。サトイモを楽しむ季節はこれからなのに、さてどうしたものか。考えてもどうにもならないだけに、不作は痛い。
今年のサトイモは小さなものばかり。それでも大中小に分けてみた。
これは「小」。親指ほどの大きさ。「きぬかつぎ」にちょうどいい
ついでこれが「中」なのだから、がっかりするはずだ。今年の不作がわかる