10月6日の涸沢の紅葉風景。
周囲の名峰があればこその圧倒的スケール感。見ごたえがある
山行日 2020年10月5日(月)から6日(火)小屋泊1泊2日
天気 5日くもり 6日くもりのち晴れ
山域 北アルプス
メンバー 単独
コース&タイム
10月5日(月)我孫子駅5:42=6:12日暮里6:18=6:41新宿駅(あずさ1号)7:00=9:38松本駅(上高地線)10:10=10:40新島々10:55=12:10上高地バスターミナル(梓川右岸を行く)12:45-14:00明神14:05ー14:55徳沢15:00ー16:00横尾(横尾山荘泊)
10月6日(火)横尾山荘5:00-6:00本谷橋6:05ー7:40涸沢分岐ー7:50涸沢ヒュッテ8:20(涸沢パノラマ周回)-10:05涸沢小屋10:35-12:00本谷橋12:05ー13:00横尾13:05ー14:00徳沢14:05ー14:55明神15:00ー15:50上高地バスターミナル16:00=17:05新島々17:22=17:52松本駅18:05(しなの19号)=18:58長野駅19:08(あさま630)=20:52東京駅21:03=21:42我孫子駅
<わたくしの好きな山登り
(⇒2020紅葉の山旅への出発あれこれは4日付の記事を参照)
10月3日の栗駒山の紅葉に引き続いて、1日おいてこんどは5、6の両日に北アルプスの涸沢へ紅葉登山をしてきた。涸沢ヒュッテのHPによると見ごろだという。栗駒山のあざやかな紅葉に心躍らせ、こんどの涸沢もそうだというのだからうれしくなる。
山小屋はコロナ禍のため予約制。涸沢の2つの小屋は予約開始ともにすでに満員だろうからテント泊と決めていた。そのため17キロの荷物を背負い、72歳の老体に鞭打ち体を鍛えてきた。ところが9月下旬にかかりの医者からドクターストップ。
思ってもみない事態になった。となると小屋泊まりになる。いまから予約なんて無理だろう。登山は中止か。ダメもとで涸沢ヒュッテ、涸沢小屋、横尾山荘に電話。なんと横尾山荘に予約できた。ミラクルだった。ちょうどグループがキャンセルしたところに入り込めたようだ。
これで行ける。計画を練り直した。5日は上高地から横尾。歩行時間は3時間。6日は横尾から涸沢をピストンし、さらにゴールの上高地まで。最終バスは17時30分。それまでに戻らなければならない。歩行時間は11時間になる。結果はその通りになった。
72歳になってもヤマケイタイムで歩くことができた。でも6日のラスト2時間はへとへとだった。行き倒れ老人になる寸前といった状態であった。
東北の山の紅葉の美しさを思う存分に楽しんできたという自負がある。その経験から紅葉の山を歩くなら東北の山に限る、とずっとそう思いこんできた。いまもそうだ。北アルプスを含めて全国の紅葉の山を少なからず歩いているが、いつも東北の山の紅葉とくらべると見劣りする。やっぱり東北の山の紅葉にはかなわないと思ってしまう。それほど紅葉の山といえば東北とお決まりのセリフになる。
これまで穂高を歩いた、といってもたかが知れているが夏ばかり。秋の涸沢ははじめてになる。涸沢の紅葉だって、東北の山の紅葉にくらべたら大したことはないと思ってきた。これまで涸沢に紅葉登山していないのもそれが理由だった。それなのに急に涸沢の紅葉を見てみたいとの気持ちが起こった。それほどの評判ならあの世に行く前にこの目で確かめたいと思い立った。年を取ったせいとしか思えない。
東北の山にはなく、中部山岳にあるものは圧倒的スケールの山岳風景だ。涸沢に立つと、左から前穂、奥穂、涸沢、北穂につづく風景は一級品だ。久しぶりに仰ぐ穂高はなんかぞくぞくするくらい雄々して凛々しい姿だった。
涸沢につく前から穂高が姿を見せる。今回はあくまでも紅葉見物と割り切っていたのだが、ここまできて、てっぺんに立つことなく帰るとは・・・。やっぱり少しばかり後悔した。
本番の6日の天気はこの秋一番のいい天気になるはずだった。しかし朝から曇り空で晴れ間が見えない。一夜にして予報が変わり、午前は曇り、午後から晴れに変わったそうだ。
幸いに高曇りであった。晴天よりもこのほうが遠くまできれいに見渡せることは登山者ならわかるはずだ。山の際がはっきりと見て取れてきれいだ。
下山を始めたのが6日の午前10時半。後ろ髪を引かれる思いで振り返ると、なんと奥穂の空に晴れ間が見え始めたではないか。いまごろになってこの野郎と悪態をついた。
7日以降の天気は出発前に確認した天気とはガラリと変わった。雨が続くようだから、涸沢の紅葉は7日で見納めといったところか。
山小屋はコロナ禍で大幅に宿泊者の数を減らすなど対策に懸命だった。館内はマスク着用。それでも涸沢ヒュッテにとまった人によると、予約開始の日は3時間も電話をかけ続けやっとつながったというからコロナ禍でもすさまじい人気だ。その時点で予約するだから、当日の天気、紅葉状状況がまったくわからないまま予約日を決めざるを得ない。今年の紅葉の見ごろは平年に比べかなり遅れた。当てが外れたと嘆く人は少なくないはずだ。
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◆10月5日
この日は横尾山荘泊まり。移動日だから天気はあまり気にしない。本番である明日6日の天気だけが予報通りになれと祈るばかり。
上高地から横尾山荘までの歩行時間は3時間。1時出発だから4時ごろ着く。時間に余裕がある。こんかいは上高地から左岸を行くのではなく、右岸を歩くことにした。河童橋を渡り岳沢方面に行く。この時間帯は朝に山を下山してきた人のラッシュになる。続々向こうからやってくる。左岸はもっと下山者が押し寄せているだろう。
梓川の支流を見ながら明神橋を渡り明神へ。ここからは左岸を行く。徳沢にまもなくというところで奥に前穂(間違えました、大天井岳のようです)が。
予定通り3時間で16時に横尾山荘に着いた。テント場は混んでいた。横尾山荘に泊まるのはもちろん初めて。建て替えているから新しく清潔そうだ。旅館といってもいいほど。
コロナ感染防止対策にかなり神経を使っていることがよくわかった。ピリピリした雰囲気が安心感をもたらす。経営者も従業員もたいへんだ。今年は予約制で人数もかなり制限している。そのため部屋のスペースに余裕があった。食事も申し分ない。この山荘には立派なお風呂がある。こうなるとやはり山小屋というより旅館だ。快適に一夜を過ごすことができた。
テント場は登山道のすぐわき、小屋の目の前にある。
奥が横尾山荘。手前2棟がトイレと水場。テン場は道を挟んだ反対側にある。かなり便利なテン場だ。
横尾大橋。あしたこの橋を渡ってすすむ。
◆10月6日
予定では朝の5時に宿を出て、8時に涸沢到着。周辺の紅葉をめぐって遅くも10時30分には下山開始。17時までに上高地に戻り、最終バス17時30分で家路につく。歩行時間11時間になる。
宿の朝食はとらないで朝5時に宿を出る。ヘッドランプを照らしてまずは横尾大橋を渡る。足が滑る感じがする。足元をよく見ると霜が降りていた。橋を渡り終えると平坦な道になる。暗闇でも安心して歩ける。
5時20分になるとヘッドランプの明かりがいらないほどうっすらと見通せるようになる。灯を消した。5時40分にはすっかり明るくなった。これまでの経験ではあるが、早出のときは日の出30分前から歩くようにしている。
朝の暗い静寂の道をいい気分で歩いている。後ろからくる同年代と思われる3人グループの熊除けベルがうるさい。かなり耳障りだ。登山者がひっきりなしに往来する穂高への道で熊を警戒してそこまでやる必要があるのか。北海道の人けがない山を単独で歩くのなら熊除けベルを鳴らすのは肯けるが、それ以外なら必要ないというのが私の考え。せっかくの静かな山をどうして楽しむことができないのか。静寂を破って騒音をまき散らしてるとしか思えない。過去にもそんなことをなんども経験してきた。
明るくなったから熊除けべルをしまい込むのかと思っていたら、鳴らし続けている。とうとう堪忍袋の緒が切れた。見ると3人のうち2人が熊除けベルを鳴らしてる。年の功でやんわりとやめるようにおねいがいした。それでもその後もやめる気配がない。先に行かせた。相手が休憩を取っているところで、うるさいのでやめてもらいたい、やめないのなら先行するか、後行するかにしてほしいと再度。わたくしが先行するしかないようだ。あまりかかわっているとせっかくの山歩きが台無しになる。年を取ってまでこんなことに煩わされるとは迷惑千万。本谷橋に向けてスピードを上げた。といっても72歳の老人には限りがある。
熊除けベルにはいつも悩まされる。人の通りが多いコースで必要なのかと。賛否があろう。かつて熊除けベルがはやったことがある。特に初心者はそれがはやりの登山スタイルと勘違いしたのだと思っている。熊除けベルが気になるのはわたくしばかりではないはずだ。
閑話休題。
横尾から1時間、6時に本谷橋に着く。仮の橋ができていた。ここから本格的な登りがはじまる。
本谷橋を振り返る。仮の橋が見える。
本谷橋から約1時間。周囲が紅葉に彩られるようになると、吊り尾根と涸沢カールが見えてきた。やってきましたよ。
するとすぐに奥穂が。いいですね。山にスレているわたくしですがやはり感激しました。好きなのは、前穂か、奥穂か、涸沢槍か、北穂か。ひとそれぞれです。わたくしは奥穂です。
吊り尾根もここまで見えてきた。
涸沢の全容がしだいに姿を見せてきた。期待は高まるばかり。
一刻も早くこの分岐にと思うのだがなかなかつかない。それでも頑張ってとうとう。どちらを選択するか。まずは涸沢ヒュッテへ。
7時50分に涸沢ヒュッテ。横尾山荘から2時間50分。すぐにテラスへいそぐ。
涸沢の紅葉といえば代表的なのが、涸沢ヒュッテのテラスから眺めるこの紅葉。写真でかなり見慣れてはいるが、実際にこの目で見るのとではかなり違う。涸沢の紅葉のすばらしさはその圧倒的なスケール感だろうか。周囲の名峰たちがあればこその力強く生き生きとした景色である。
ここまで上高地から6時間。横尾から3時間。しばし見とれる。わたくしの通称バカ〇〇〇カメラではその広大な眺めを表すことができない。やはりこの目で見るに限る。
カール底に広がるガレ場にテント場。この時間帯は撤収、下山したばかりだから少ない。
ぐるっと見渡せる風景を一枚の写真に収めることができれば、この涸沢の全容を見ることができるのだが、それができない。左から前穂、奥穂、涸沢、北穂がそびえている。
左に奥穂(左)、右に涸沢と涸沢槍を見る。この左手さきに前穂があり、この右手さきには北穂が。
ここらあたりで涸沢の紅葉報告1回目として、2回にわけて報告する。書かなくてもいい余計な熊除けベルのことを書いたので長くなってしまった。結構力が入っている。よほど腹が立ったのだろう。
次回の2回目は明日にアップの予定でいる。
2020紅葉の山旅-10月6日の北アルプスの涸沢(2)⇒
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