ケーン、ケーンとキジがしきりに鳴いている。手を休めていると畑の中をすごいスピードで走って行くのが見える。キジは飛ぶのが苦手だというが、飛ぶのをはじめてみた。重い体を無理して持ち上げているようで、やはり下手だった。何年か前に隣りの畑との境に巣を作って卵を産んでいた。これは孵化しなかったが、それほどキジはこの時期に野良仕事をしていると身近にみることができる。
今年もトマトハウスを建てた。周囲のトマトハウスはみんな立派だ。ところがわがトマトハウスだけはなんともみすぼらしい。見劣りがする。自分でもいやになるくらいの出来栄えだ。とりあえずつくたっといった感じで、まるで私の性格を見るようで目をそむけたくなる。どうみてもいいかげんで、やっつけ仕事だ。それなら最初から見た目がいいものを作ればいいものをと思うのだが、これができない。どうも大工仕事ができない。それでも汗をかいて作った。とりあえず作ったのだから、これからは少しずつ修正していけばいい。と思ったところでたぶん変わり映えしないだろう。要はトマトを雨から防いでやることができればいいのだ。それさえできれば見た目なんか気にしなくてもいい、なんて思うのだが、やはり見た目も大事だ。それにこうも貧弱だと台風にフレームごと吹き飛ばされてしまう。そこだけはきちんと補強しておこう。
トマトハウスの出来具合にあまりこだわらないのは、トマトが好きでも嫌いでもないからだ。トマトは出されたら食べるが、自ら手を出す方ではない。かみさんが好きだから、それじゃ作ってやるかといった感じで向き合っている。
トマトの苗は購入したものだ。トマトをタネをまいて苗を育てるのはむずかしくない。しかしいまの時期までに、植えつけるだけの苗を作るには、3月上旬にタネをまく必要があり、加温が必要だ。その手間ヒマを考えるとこの時期の苗は購入したほうがいい。
その4月中旬に購入した苗は、ひと回り大きなポットに移して、家で育ててきた。第一花房がついてきた。そうなると植え時である。ことしのトマトの株数はやや少なめにした。大玉が4株、ミニが5株の計9株である。小さなトマトハウスは9株も植えつけると窮屈だ。仕方ないから株間を狭くして植えつけている。
黒マルチを張って植えつけたら、まずは天井にビニールを張り、これが肝心の雨よけになる。さらに少しの間は風よけに寒冷紗を周囲にぐるり巻いてあげる。これで準備完了、これから栽培スタートとなる。トマトに限らず、ナス、キュウリ、ピーマンなどの果菜類の栽培は、なにかと資材がいり、それに栽培中もなにかと手間がかかる。面倒だなと思うときがたびたびある。