今年もいよいよ押し詰まった。年賀状はとうに投函した。大掃除はすべてすませた。あとは正月を待つだけである。
そこでこの一年、2013年を振り返る。
年を取ると、いま自分はなんの目的で生きているか。よくわからなくなるときがある。それなら明日死んでもいいんじゃないかと思うのだが、なんの強い希望があるでなし、日々が静かに過ぎていく。せめて70歳までは元気で外で活動したい。その楽しみを持ちたい。それがわたしのいまの希望であり人生設計だ。たいがいは70を過ぎるとがたんと体力が落ちる。それを見ているから、現役を卒業した60歳から70歳までが人生を楽しむラストチャンスと思ってきた。せっかくこの世に生まれてきたのだから、生を楽しんであの世に行きたい。よもや70歳からも生きていたらどうするか。いやそれはありえない。それ以上生きているとかみさんは嘆き悲しむばかりだから、最近毎日のように手を合わせている「ぴんころ地蔵」の力を借りて70歳で逝きたいと願う。それまで生きていればの話だ。今年はその折り返しであった。
さてこの1年。隠居の身だからたいしたことはなにもない。それでも感じたことをまとめておきたい。
・健康 ことしは体力の衰えを実感するようになった。案外若い気でいた。じつはいまでも体力気力は十分だ。しかしどうも微妙なのだ。体のあちこちがほんの少しだが油が切れたような感じになるときがある。いやだいやだといってもどうにも年寄りくさくなってきたなと実感する。そう書くのもいやなのだが・・・。
・登山 まだ歩いている。よたよたと、よろよろと。北八ツのテント縦走もできたし、南アルプスの笊ケ岳への長時間の歩きもできた。まだまだ歩けるなという自信を持ったが、持久力がなくなってきた。それでも、来年も山に行くぞという意気込みはある。それだけに体力維持に来年はいっそうのこと励まなければならない。かみさんは8月に百名山を達成。わたしよりも数百倍元気だ。うらやましい。
ことしは日本三大桜を見物してきた。桜見物に遠くまで足を延ばした。桜の名所は観光地化されているから近場で十分だと思ってきたのに、なぜ見に行こうという気になったのか。いわゆる“心境の変化”なのかわからないままに見に行った。これが意外によかったのである。それが可笑しかった。
・菜園 もうはじめてから四半世紀以上になるのだがあきない。畑に立つのがいまも気持ちがいい。毎年小さな新しい発見がある。それが楽しい。
ことしははじめて梅干しをつくった。わたしには手に負えないものとこれまで思ってきたのだが、やってみると簡単であった。それにうまくできた。来年もつくろうと思う。おもしろい。やはり挑戦して見ることが大事だなとわかる。
ジャムづくりは今年も楽しんだ。今年初めてつくったのは、アンズ、イチジク、スモモだ。
・酒 今年は舌なめずりするような、これはうまいなという清酒に出合えなかった。というより、以前のようにうまい酒を求めで買い出しに行かなかったことが原因だとわかっている。
・読書 あいかわらず本は読んでいる。目が弱くなり疲れる。集中力がなくなり、読書時間がめっきり減った。本は一期一会。ことしは次の4作品が心に残った。
・小さいおうち(中島京子著・文藝春秋)
・父、断章(辻原 登著・新潮社)
・安部公房とわたし(山口果林・講談社)
・火山のふもとで(松家仁之著・新潮社)
・ホームページとブログ 日記のつもりで書いている。ぼけてきたから論理に破たんがないか注意する。書くことは頭の体操になる。ブログは今年3月に訪問者数(IP数)が100万人を超えた。
ざっと振り返ってみた。わたしの2013年はこんなものである。
2013年の読書
2013年12月の読書
・紅茶スパイー英国人プラントハンター中国をゆく (サラ ローズ著・原書房)
・にせもの師たち(中島誠之助著・講談社)
・食べる(西江雅之著・青土社)
・ニッポン定番メニュー事始め(渋川祐子著・彩流社)
2013年11月の読書
・安部公房とわたし(山口果林・講談社)
・一の悲劇(法月綸太郎・祥伝社)
2013年10月の読書
・恋しくて(村上春樹編訳・中央公論新社)
・ジヴェルニーの食卓(原田マハ著・集英社)
2013年9月の読書
・中村屋のボース―インド独立運動と近代日本のアジア主義(中島岳志著・白水社)
・緑衣の女(アーナルデュル・インドリダソン著・東京創元社)
2013年8月の読書
・島へ免許を取りに行く (星野博美著・集英社)
・色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上春樹著・文藝春秋)
・絶海の孤島 (カベルナリア吉田著・ イカロス出版)
2013年7月の読書
・コリーニ事件(フェルディナント フォン シーラッハ著・東京創元社)
・巨鯨の海(伊東潤著・光文社)
・果つる底なき(池井戸潤著・ 講談社)
・心(夏目漱石著・岩波書店)
2013年6月の読書
・夕子ちゃんの近道(長嶋有著・新潮社)
・特捜部Q ―カルテ番号64― (ユッシ・エーズラ・オールスン 著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
2013年5月の読書
・山靴の画文ヤ 辻まことのこと(駒村吉重著・山川出版社)
・夢幻の山旅 (西木正明著・中央公論社)
・永遠の0(ゼロ)(百田尚樹著・太田出版)
2013年4月の読書
・火山のふもとで(松家仁之著・新潮社)
・陽子の一日(南木佳士 著・ 文藝春秋)
・戦後史の正体 (孫崎享著・創元社)
2013年3月の読書
・無罪 INNOCENT(スコット・トゥロー著・文藝春秋)
・談志が死んだ(立川談四楼著・新潮社)
・影法師 (百田尚樹著・講談社)
2013年2月の読書
・原発のコスト―エネルギー転換への視点(大島堅一著・岩波新書)
・わたしがいなかった街で(柴崎友香著・新潮社)
・ウエストウイング(津村記久子著・朝日新聞出版)
・ホテルローヤル(桜木紫乃著・集英社)
・小さいおうち(中島京子著・文藝春秋)
・漂流記の魅力(吉村昭著・新潮新書)
・漂流(吉村昭著・新潮社)
・牛を屠る(佐川光晴著・解放出版社)
2013年1月の読書
・ナメクジの言い分 (岩波科学ライブラリー)(足立則夫著・岩波書店)
・大いなる眠り (レイモンド チャンドラー著、村上春樹訳・早川書房)
・父、断章(辻原 登著・新潮社)
・東電OL事件( 読売新聞社会部著・ 中央公論新社)
・ポトスライムの舟(津村記久子著・講談社)
・やりたいことは二度寝だけ(津村記久子著・講談社)
・エンジェルフライト 国際霊柩送還士(佐々 涼子著・集英社)
2012年の読書
2012年12月の読書
・カラマーゾフの兄弟2 (ドストエフスキー著, 亀山 郁夫訳・光文社古典新訳文庫)
・湿地(アーナルデュル・インドリダソン著・東京創元社)
・アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極(角幡唯介著・集英社)
・探検家、36歳の憂鬱(角幡唯介著・文藝春秋)
2012年11月の読書
・カラマーゾフの兄弟1 (ドストエフスキー著, 亀山 郁夫訳・光文社古典新訳文庫)
・中国と 茶碗と 日本と(彭 丹著・小学館)
・佐渡の三人(長嶋有著・講談社)
2012年10月の読書
・昭 田中角栄と生きた女(佐藤 あつ子著・講談社)
・砧をうつ女(李恢成著・集英社 戦争文学全集17 「帝国日本と朝鮮・樺太」)
・去年今年(木山捷平著・講談社)
・ノックの音が(星新一著・新潮文庫)
・横しぐれ(丸谷才一著・小学館昭和文学全集23)
2012年9月の読書
・特捜部Q ―Pからのメッセージ― (ユッシ・エーズラ・オールスン 著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・鍵のない夢を見る (辻村深月著・文藝春秋)
2012年8月の読書
・母の遺産-新聞小説 (水村美苗著・中央公論新社)
・抗争 (溝口 敦 著・小学館新書)
・起終点駅(ターミナル)(桜木紫乃著・小学館)
・大陸の細道(木山捷平著・講談社文芸文庫)
2012年7月の読書
・被差別のわが半生(山下力著・平凡社)
・天地明察(冲方丁著・角川書店)
・下駄にふる雨/月桂樹/赤い靴下(木山捷平著・講談社文芸文庫)
・おじいさんの綴方/河骨/立冬(木山捷平著・講談社文芸文庫)
・ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上)(スティーグ・ラーソン著・ 早川書房)
・ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(下)(スティーグ・ラーソン著・ 早川書房)
2012年6月の読書
・楽園のカンヴァス(原田 マハ著・ 新潮社)
・紅梅(津村節子著・文藝春秋)
・ちくま日本文学 江戸川乱歩(江戸川乱歩著・筑摩書房)
・ミレニアム2 火と戯れる女(上)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)
・ミレニアム2 火と戯れる女(下)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)
2012年5月の読書
・罪悪(フェルディナント・フォン・シーラッハ著・東京創元社)
・曠野(チェーホフ著・岩波文庫)
・PK(伊坂幸太郎著・講談社)
・K(三木卓著・群像2012年2月号)
・戦争はなぜ起こるか(A・J・P・テイラー著・新評論)
・ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)
・ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(下)(スティーグ・ラーソン著・早川書房)
2012年4月の読書
・アイアン・ハウス (ジョン ハート著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・城を噛ませた男 (伊東潤著・光文社)
・中国化する日本 日中「文明の衝突一千年史(與那覇潤著・文藝春秋)
・新釈諸国噺(太宰治全集7・筑摩書房)
・太宰治 滑稽小説集(太宰治著・みすず書房)
・解錠師(スティーヴ・ハミルトン著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
2012年3月の読書
・犯罪(フェルディナント・フォン・シーラッハ著・東京創元社)
・ラブレス(桜木紫乃著・新潮社)
・特捜部Q ―檻の中の女― (ユッシ・エーズラ・オールスン著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・すべて真夜中の恋人たち(川上未映子著・講談社)
・蛍の航跡―軍医たちの黙示録(帚木蓬生著・新潮社)
2012年2月の読書
・遺体―震災、津波の果てに(石井光太著・ 新潮社)
・彼女はもういない(西澤保彦著・幻冬舎)
・半島へ(稲葉真弓著・講談社)
・海松(稲葉真弓著・新潮社)
・二流小説家 (デイヴィッド・ゴードン著・ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
・下町酒場巡礼(大川渉著・ちくま文庫)
・下町酒場巡礼もう一杯(大川渉著・ちくま文庫)
2012年1月の読書
・六白金星・可能性の文学(織田作之助著・岩波書店)
・コンニャク屋漂流記(星野博美著・文藝春秋)
・蠅の帝国―軍医たちの黙示録(帚木蓬生著・ 新潮社)