舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

フラの存在意義とは?

2009-05-11 00:51:13 | ダンス話&スタジオM
分りもしない分際で偉そうにF1の在り方について書いた勢いで、フラの在り方も考えてみましょう。
これは「分りもしない分際で」ってことは無いな。なにせ四半世紀(※25年です)やってきましたから。

これだけブームになると、いろんなコジツケによって喧伝されることも少なくありません。
流行に便乗して始めた人が自分の得意分野に引き寄せて語ったり、他の流行の要素(健康だったりスピリチュアルだったり)と抱き合わせにされたりすることも。
そんな時代の趨勢の中で、フラの真実の姿が見えにくくなっているのではないかと、私は危惧しているのです。


かくいう私が「フラとは何か」を敢えて定義するならば、
1に「文化」、2に「芸術」、3・4が無くて(笑)5に「健康」
ってとこでしょうか。

フラが「文化」であること、これはどなたも異論が無いですね。
文化には言語、文学、生活、伝承などさまざまな要素が含まれます。フラはハワイ文化におけるそのさまざまな要素のすべてと密接につながっていると言ってよいでしょう。

そして、多くの文化がそうであるように、ハワイ文化はハワイの人々のアイデンティティーです。
だから、文化を尊重するということはすなわちそれを担う人々を尊重するということ。
異文化の人間である我々がフラを学ぶにあたって、ゆめゆめ忘れてはならない大切なことですね。

ここからはたしょう私の個人的な意見が入りますけれど。
私は、その次に大切なのはフラの芸術性だと思います。
広義にいえば芸術も文化に含まれるのですが、どうもフラの世界では、伝統が重んじられるわりには芸術性に重きがおかれない傾向があるように思われます。
ですから私は敢えて「文化」と別のものとして「芸術」を挙げてみました。

もっと分りやすくいえば、「観客に見せるフラは伝統の観点からみて正しいだけでなく、ショーとしての完成度も高くなければならない」ということです。
よく、ハワイでもショーアップされたフラを程度が低いもののように言う人がありますが、「文化に対するリスペクトがあれば」という前提つきで、演じ手には芸術性を高める義務があると私は思います。

もちろん、神前に捧げるものであれば作法に則っていればそれでいい(私が神様なら断然素敵なショーを好みますが、そんな不遜な話はまぁいい)。
まして、誰も見ていない所で一人あるいは仲間内で踊って自己満足に浸りたいのなら、何を着て何を踊っても私は止めません。

しかし、一人でも観客がいれば、演じ手としてその人に出来る限り楽しんでもらうことを目指すべきです。
これは決して「間違えず完璧に踊らなければならない」という意味ではありません。
基本に忠実に、丁寧に踊っていたり、命じられてする作り笑いではなく自然な楽しさから浮かぶ笑顔で踊っていたりすれば、十分に観客にとって好ましい演技の素質があります。

でもって、「健康」というのはその次です。
その次もその次、5どころか49番目くらいでもいいんじゃないかというような要素です(笑)。

というより、フラにおける「健康」という要素は、これまでに上げた二つとは根本的に違うことを、これを読んでいる方には是非ともご理解いただきたいです。
つまり「文化」および「芸術」はフラと切っても切れないものであり、これらを除いたらフラ自体が根幹から存在し得なくなってしまうような要素ですが、「健康」というのはフラに付随する要素に過ぎません。

おっと、これも分りやすく言い換えましょう。
「フラを踊ると健康に良い」というのは事実ですが、「健康のためにフラを踊る」となると、本末転倒になってしまいます。

どう違うの? と疑問をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。
私はつまり、健康のためにフラを踊ろうという発想により、最も重要なフラの文化性・芸術性が無視される、あるいはおろそかにされることを何より危惧しているのです。

むろん取っ掛かりが「健康のため」であっても差し支えは無いと思います。
ただ、曲がりなりにも「フラ」を標榜するものを踊り続けるのであれば、その背景にある文化や、芸術性の大切さにも目を向けるべきでしょう。
それに、文化性や芸術性を無視したフラは往々にして健康にも悪い代物であることが多いです(笑)。
まぁ、卵も割れないのにオムレツを作ろうとしたり、日本語の読み書きも出来ないのに書道をしようとしたりするのと同じようなものですからな。

ともかく大切なのは、フラにはただのフィットネスとは一線を画した奥深さがあるということ。
それを理解して初めて、フラの本当の魅力が垣間見られたといえるのです。

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