舞蛙堂本舗リターンズ!~スタジオMダンスアカデミーblog

ダンス(フラ・ベリーダンス他)と読書と旅行とカエル三昧の日々を綴る徒然日記。

"DARTH VADER and son"

2013-01-30 03:36:13 | ぼくはこんな本を読んできた
"DARTH VADER and son"
Jeffrey Brown
Chronicle Books, 2012



今日は絵本のご紹介です。
と言ってもコレ、絵はめちゃくちゃカワイイけど、完全に子供向けじゃないよね。


タイトルを一目見れば分るとおり、この絵本の元ネタはスター・ウォーズです。
っつーかタイトル一目見ちゃうとモロ究極のネタバレなんですがいいんですかね。
訳題は『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』…って、こっちはもっとネタバレじゃん。いいのかホントに。


……と、ともあれ、スターウォーズ旧三部作の表向きの主人公であるルーク君と、おそらく真の主役であろうダース・ヴェイダー卿のあまりにも、あまりにもほほえましい親子の物語が描かれているのが当作です。
そんな素晴らしい絵本が刊行されたというのを聞いた時からずっとゲットしたいと願っていたのですが、このたびようやく原書を入手する事が出来ました。ありがとう丸善。


この絵本、ルーカスフィルム公認ではありますが、元ネタのスターウォーズを知らなくても、普通の親子のお話として充分に楽しいです。
4歳の男の子に振り回され、泣かせちゃマズい状況でギャン泣きされて肩身の狭い思いをし、何とか親の望む方向に育って欲しくて涙ぐましい努力をし、悪い影響を与える「お友達」とは何とか引き離そうとし、添い寝で腕がシビレ、いつも付いて回られてプライバシーの欠片も無くなり、ほとほと困らされる事も多いけれど、それでも憎めぬ我が子のために心を砕く、そんな微笑ましい(そして経験者にはあるあるネタ満載の)親の姿が実にリアルに描かれてます。

ただ普通の親子と違うのは、その親がヴェイダー卿だって事ですね。

ヴェイダー卿は悪の支配者。多くの配下を従えて君臨しているわけですが、自分が君臨している職場に思いっきり息子を同伴してます
いいのかオイ。そりゃー私だって自分の子供を職場に連れて行ってるが、ヴェイダー卿ともあろうお方がそんなコトしたら、職場の士気に関わるんじゃないでしょうか。
緊張感も悪のムードも台無し。ダークサイド感ゼロです。

しかしながら、そこがこの絵本の魅力でもあります。
可愛い我が子に対して不器用ながらも一生懸命な親ぶりを発揮するヴェイダー卿という図が、ミスマッチなようでいてものすごくハマっているのです。
もちろんずっとあの黒仮面を被っている訳ですが、彼が息子の一挙手一投足にいちいちハラハラしたり喜んだりする姿を見ていると、黒仮面が表情豊かにすら見えてくるんですから不思議です。
まあ、ヴェイダー卿が元々非常に魅力的なキャラクターだからこそ成立した作品といえましょう。


この本、スターウォーズ好きの方には是非ご覧いただきたい。
もう最初の1ページ目でかなりグッと来る事間違い無し。
あと、スカイウォーカー父子の他にもいろんなキャラが出てくるのですが、本編を知る方ならその顔ぶれにニヤリとさせられるはずです。
会話の中だけに出てくるヨーダも、子連れヴェイダーを前にして全然暗黒じゃなくなってるマスターも、登場の仕方が素晴らしすぎるレイアもハンソロもみんな素敵。もちろんもっと脇役の人々(…人?)も登場します。
背景に描かれている景色も、「コレあの場所じゃん」的な発見があって楽しめます。


この絵本は断然英語の原書を読む事をおススメします。元ネタの映画だって英語だものね。
なんたって4才の男の子が中心の作品ですし、ストーリーの連続性も無い(1ページずつ別のシーンが展開される)ので、言葉の壁は殆ど無いと思います。たぶん。

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