「孫文の義士団」(以下、『十月圍城』)のパンフには面白い記述がいくつかあります。その中で『赤膽好漢』という作品が「孫文の義士団」の原案となった映画であると書かれていましたが、これがどんな映画だったのかちょっと気になりますね。
そして、その映画を監督したのが『十月圍城』プロデューサー、ピーター・チャンの父・チャン・タンマン(以下、陳銅民)であるという記述がありました。今をときめくピーター・チャンの父親も映画監督だったんですね。そういえば私が中学生の頃の夢は映画監督になることだったっけ。子供の頃、父に連れられて映画館に行ったのがきっかけだったのかも知れない。(とっくに夢は破れましたが。。)その頃父はアメリカ映画が好きだったけど記憶に残っているのは「戦艦ポチョムキン」と「惑星ソラリス」だ(爆)。
さて、『十月圍城』にありました要人を守って船に乗せるというプロットは「ワンチャイ天地大乱」や『上海灘十三太保』(84年の張徹作品。これもティ・ロン演じる教頭が刺客から江明扮する高先生を守り抜き船に乗せる)などがありますが、『赤膽好漢』も実際に観てみると同様のプロットがありました。今回はこの台湾で一週間だけ公開されたという作品『赤膽好漢』The Bodyguard (74)について見ていきます。
まず監督の陳銅民は息子のピーター・チャンを尽く自ら監督した映画に出演させており、小さな役が多いですが息子に機会を与えていましたね。
・73年『奪命客』killer in the Dark
カンフーを演じるチャン少年
タイロケの『大地雙英』も可能性がありますが、こちらは未確認。
・77年「激殺!邪道拳」
千葉真一と共演するチャン少年
勿論、『赤膽好漢』においても登場させています。
ラーメンを買っているチャン少年
ということで完全に映画の世界に引き込んでいます!これが無ければ『十月圍城』もあの『武侠』も、『金枝玉葉』だって見れなかったかも知れないのでこれは許しちゃいましょうか!(嘘)。
さて、『赤膽好漢』で主演するのは『火燒紅蓮寺』(76)でしか確認できないというマイナー俳優・揚子江。
揚子江
ちなみに脱線しますが『火燒紅蓮寺』ですが、正確には『呂萱良火燒紅蓮寺』という題名が正式なタイトルであったようで海報にはとても小さくさらっと人名の”呂萱良”が書かれていますね(苦笑)。
これでは誰も気がつかない・・・。
ジュディ・リーもとても人気がありますが、少しずつですが興味を持っていろいろ調べていければいいかなと思います。 ついでに未見ながら『新火燒紅蓮寺』という作品も製作されていますね。(ただしジュディ・リーは出演していないようですが。)紅蓮寺が燃える・・・とは何なのか気になりますね。
どこが”新”なのでしょう。
あと、もう一人の主役である李錦坤について。かなりの実力者だと思っていたのですが、グーグル先生で調べてみると李錦坤は剛柔流空手8段の腕前で香港での剛柔流代表者なのでした。(現在は橋治会の館長を務めています。)http://kugekai.org/
こんな本まで書いてます。著書『館長親傳空手道』より
映画は、この李錦坤と上述の揚子江がアサシン部隊から孫文を守り抜くという設定になっています。
共演するスターたちも『十月圍城』ではレオン・カーファイの演じた陳少白(ちんしょうはく)には重鎮の唐菁が。(これは比較は出来ないですけどね(笑))
孫文も『十月圍城』同様、あまり顔を見せない設定にしています。(孫文を演じたのは劉家勇の父・何寶星ではないでしょうか? )
まだまだ、この映画には長江電影で魯俊谷との共演が多かった胡茵茵が出演していたり、武術指導ラウ・カーウィンなど邵氏にいた武師たちが多数出てきますのも見逃せないポイントであります。
あと、南宮勲はどうして出演?と思ってしまうのですが、これは同時期の『一網打盡』にも出演していたことが考えられますね(一応、納得)。
映画の冒頭で孫文が船でやって来ます。
反政府派の揚子江の父は牢屋に入れられ拷問にかけられてしまいます。そして、もうここから外に出ることは叶わないと最後に血文を書き残し、そのまま自ら命を絶ってしまうのです。
血で書いたメッセージを息子に託す…なんて今では全く有り得ず想像できませんがそれだけ魂を込めた必死の思いでメッセージを残したシーンがとても印象的でした。(また更にその父を房勉が演じていたというのも心に残ったと思います。)
毒牙のような南宮勲と朱鐵和の二人が凄い!
頭突きが強烈!
アサシン部隊が迫っている・・・。
決戦を前に誓い合う3人
李錦坤と揚子江の二人が孫文を擁護して無事に船に乗ることが出来ればいいのですが、まだ主人公たちが激しいバトルを続けてるというのにさっさと船に乗ってしまう孫文…。
まぁでも最後にはちゃんと見送っていましたけど。(良かった、良かった!)
見届ける主人公の2人
映画を製作した独立プロ・歐亞公司の創業作でもあった『赤膽好漢』でしたが、やはり『十月圍城』の原案だったということで脚本家に注目されると思います。脚本を書いたのは邵氏でいくつかの作品を書き、「スカイホーク鷹拳」や私の好きだった「燃えよ!ジャガー」を書いたペンネーム・易方こと葉逸芳であり(邵氏の『悪虎村』や徐増宏の『大羅剣侠』も彼によるもの)この70年代に、ボディーガードたちのストーリーを書いてます。監督・陳銅民や70年代の脚本家たちを尊敬しつつ、30年以上も経って『十月圍城』という素晴らしい作品に生まれ変わったということで新しい映画を作った男たちにも感謝したい気持ちでいっぱいです。終
下記は文字の色を見えなくしてあります。
Result:
○揚子江 VS 黄哈●
○伍元勳 VS 田豊●
●伍元勳 VS 南宮勳○
○李錦坤 VS 楊斯●
●伍元勳 VS 朱鐵和○
○揚子江 VS 南宮勳、朱鐵和●
『赤膽好漢』、オリジナルをご覧になったのですか?
ピーター効果で、これDVDがまたリリースされないかしら?と思っていましたが、
私は南兄が観たかっただけ(爆)なので、ロバート・タイ監督の作品に挿入されているもので
よしとしました…
父の作品を元に、息子が同じテーマで作品を作っている、というのが何とも面白いですよね。
チャン少年、可愛いです。
空手本の表紙のラリー・リーにビックリ!
英語音声ですが、"THE ASSASSIN"というタイトルのたぶんオリジナル(?)ではないでしょうか。
ロバート・タイの作品があるんですね。今度チェックしてみます!
そうそう、南兄さんも登場してましたね。この頃の南兄さんも好きなのでいろいろ探してますよ。
>空手本の表紙のラリー・リーにビックリ!
あはは。そうですね。オイオイと思ったのですが1家に1冊どうでしょうか?(笑)。
多分、ブログは何度か(も)拝見していると思いますがコメントは初めてだったと思います。
今回は「新 火燒紅蓮寺」の武術指導を探していたら、辿り着きました(VHSなので現在、プレイヤーが無く確認出来ないのです。
「火燒紅蓮寺」は未見ですが、他の方のレビューをちらりと拝見したところ、似たようなものかなという印象です。
うちは下記の中程に書いておりますが、よく見たらストーリーはたった1行ですね、あはあは♪ 一番多く出て来るのは楊慧珊でしょうか… とにかく最後にぼーぼー燃えます。確か、闘っている内に妖術で火がつき…
www.meng-fei.com/review/movies-6.html
↑↓いずれも頭に http:// を付けて下さい。
下記白鷹のページにも載せてありますが、これからすると戚冠軍が呂萱良(楊慧珊の師匠)だったのでしょうか、自分でやっておいて全く記憶がありません。いやはや…
www.meng-fei.com/actors/bai/
うちの表紙用に作った年賀状(方世玉仕様)を孟飛さま御本人に見て頂いた上に、あけおめっせーじまで頂いて新年より鼻血の管理人、JUNOでした。
こちらには又、幾度となく辿り着くと思いますが、何卒、宜しくお願い致します。2012が(初めましてとか言っていたらシバいて下さい。)
(ぶっちぎれてしまうとは、何と締まりのない…)
そして、明けましておめでとうございます。
情報ありがとうございます。孟飛城は以前から拝見しておりました。ご本人光臨すごいですね。
メン・フェイと言えば方世玉ですが私は「少林寺マスター」のメン・フェイが一番好きですね。
あと『新火燒紅蓮寺』ですが、邦題は「妖術大変化」って言うんですね。
探してみたら画質はよくないですがyoutubeにありました!(何とメン・フェイが小人に・・・(笑)。)
時代劇のメンフェイもなかなかいいですよね。またいろいろ見てみたいと思います。
では、今後も宜しくおねがいします。
CRTの設定を暗~くしたのを忘れて一気に仕上げたまんま、燃え尽きてしまっておりました。
同時代のサイトが消滅、更新停滞する中、新ドメインに移るという時代錯誤な快挙に出ておりますw
ボートクレビューの登録作品が多分、2~3倍になり、画像も文章も膨張しております。
リンクさせて頂いて宜しいでしょうか(…とまだお訊きしていませんよね?)
「メン・フェイと言えば方世玉」
そうですよね~、台湾と大陸ではそうじゃないみたいですが。あの「若いのに人間出来てる像」がたまりません。
>リンクさせて頂いて宜しいでしょうか
はい。リンクしていただいて大丈夫です。是非お願いいたします(笑。(こちらもブックマークに追加させていただきますね。)
>台湾と大陸ではそうじゃないみたいですが。
確かに本数は少ないですから、日本とは違うんですね。これは意外なところでした。
そういえば先日、『鳳舞雲天』を見ました!ヒゲのメン・フェイでしたが、やはり扇子は健在でしたね。
ポスターだけ見たことがあります。
今、気付いたのですが、陸小鳳ものは見た事が無いかも知れません。キンキラ扇子の楚留香といっしょくたになっていた様です。
先程、放置していた「鳳舞雲天」を含む6頁目をデータ修正しました。重複しているものもあるかも知れないのですが、この辺り、よく判りません。
また宜しければ、ストーリーなどおタレコミ下さいませ~♪
こちらもリンク(ブックマーク)完了しました。また、機会がありましたらタレコミ等おじゃまさせていただきます。